わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

窯を築く 10 施工2

2016-08-25 15:08:16 | 陶芸の窯を築く
7) 窯を作る作業

 ① 窯の周囲を鉄骨で支える。 (以上までが前回の話です。)

 ② 耐火レンガ(煉瓦)を積む。

  ここでは、主にガス、灯油窯に付いて述べます。薪窯に付いては、別の項で述べたいと思って

  います。

  耐火レンガは窯の壁の厚みによって、一種類又は二種類のレンガを使います。  

  (軽量断熱など)煉瓦の大きさは、JIS規格により 230x115x65 mm と成っています。

  どの方向を壁の厚みとして使うかによって、230、115、65 mmとなります。

  但し230 mm方向で使えば、一種類で良いのですが、煉瓦の枚数は当然増えてしまいます。

  高価な耐火レンガの枚数を少なくし、且つ壁の厚みを増すには、耐火度がやや落ちる安価な

  煉瓦を外側に重ねて積むか、シリカボードの様な耐熱断熱素材で周囲を包み込む事に成ります。

  例えば、高価な煉瓦を65mmとし、安価な煉瓦を65mmで使えば、壁の厚みは130mmとなり、

  高価な煉瓦を115mm、安価な煉瓦を65mmとして使えば、壁の厚みは180mmと成ります。

  当然、これらの事は、設計段階で決定されていなければなりませんし、耐火煉瓦や耐火モルタル

  等は手元に無ければなりません。

 ⅰ) 窯の底から作りだします。

  a) 煉瓦を所定の位置に並べて、配置状態や枚数を確認する。

   いかに手抜かり無く設計されていても、実際に煉瓦を並べると、不都合な点も出てくるかも

   知れません。更に煉瓦と煉瓦の隙間には、接着材の耐熱モルタルが入りますので、隙間を空け

   て並べる事になります。尚、隙間は2~3mm程度です。

   要所要所に水糸を張り、煉瓦が綺麗に並ぶ様にすると、全体の歪みも少なくなります。

  b) 最初に安価な(耐火度の低い)断熱煉瓦又は、シリカボードを貼っていきます。

   一般に煉瓦類をモルタルで貼り付ける際には、水に漬けるか水を掛けて若干濡らす事が多い

   です。これはモルタルの水分を煉瓦が急速に吸収し、十分伸びなくなるのを防ぐ為です。

   但し、安価な耐火煉瓦(B-1等)は水に漬けると、表面が溶ける恐れがありますので、素早く

   処理すか、霧を吹き掛ける事です。

  c) 窯の底面の角(コーナー)部分から着手します。

   一枚を角にセットしたら、その横に接着面にモルタルを盛ったもう一枚貼り付けます。盛る際

   には、左官用の鏝(こて)を使います。モルタルはなるべく均等の厚みにした方が良いのですが

   余り拘る必要はありません。モルタルの量はタップリある事が重要です。貼り付けた際に

   隙間から「ニョロ」とはみ出す程度が適度の軟らかさで、且つ適量です。はみ出したモルタル

   は綺麗に拭き取っても良いのですが、そのままの方が、強度的には強くなりますので、その

   ままにしておくか、上に煉瓦を積む際に、邪魔になる様でしたら取り除きます。

   注意点はなるべく空気を閉じ込めない事です。閉じられた空気は、窯の熱で膨張し悪さをする

   からです。

  d) 木(ゴム)槌又は、鏝の柄で軽く叩き煉瓦同士を密着させます。

   同様にして次々に煉瓦を貼り付けていきます。又、隣の煉瓦との水平度や底全体の水平度も

   重要になりますので、水準器を用いて確認する事です。その際、縦横十文字方向の水平度も

   測定します。

  e) 耐火度の高い煉瓦を積み重ねて貼る。

   貼る場合なるべく、下段の煉瓦の位置からずらします。同じ位置で接着すると、強度が全体に

   弱くなるからです。出来れば煉瓦の半分ずらす事をお勧めします。

 ⅱ) 煙道を作る。電気窯の場合は必要ではありません。但し還元を掛ける場合には、必要です。

  倒炎式の窯の場合、窯の底より一段下で、窯の中央に縦長方向に、煙道(排気口)を設けるのが

  普通です。煙道は細長い溝とし、要所要所に移動可能な耐火煉瓦(軽量では無い)の蓋を設け

  ます。蓋の移動によって、穴の幅と間隔を変化させ、煙突の引きの強さや、炎の方向が制御で

  きます。

  a) 煙道の周囲も軽量耐火煉瓦を用いますが、複数の蓋には昔ながらの重たい耐火煉瓦を使い

   ます。これは、複数の棚板を使った場合、棚板を支える「サイコロやツク」が蓋の上に架かる

   場合が多く、棚板を支える強度が必要になるからです。

  b) 煙道の溝の幅は、耐火煉瓦の長手方向の寸法230mmより若干短くし、煉瓦で蓋が出来る

   様にする為です。煉瓦の115mm方向は垂直になる用にすれば、上からの強度も増し、煙道に

   抜ける幅も増えます。勿論、煙道部分も他の部分と同じ壁の厚みにします。

  c) 煙道の一端は袋状になり、他端はダンパーや煙突に繋がりますので、開けておかなければ

   成りません。

  ⅲ) 焚口(バーナー口)用の穴(孔)を開ける。

以下次回に続きます。 
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