わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の失敗と対策 3 (梅花皮=かいらぎ)

2009-01-31 14:42:04 | 失敗と対策

5) 梅花皮(かいらぎ)について

  前回 釉の「ちぢれ」に付いて述べましたが、この現象を積極的に評価し、取り入れた物に、

  茶道の抹茶々碗、特に井戸茶碗があります。 

  茶碗の一部分のみ、特に高台際に出します。この「ちぢれ」を梅花皮と言い、珍重します。 

  ・ 梅花皮を、器全体に出す事は、それほど難しい事では無い様ですが、高台際にのみ

    出すのは、それなりの工夫が、必要です。

  前回述べたように、「ちぢれ」は、素地(土)と釉の収縮に差(釉が多く縮む)がある為に

  起こります。

  ・ 茶碗の腰から下に、梅花皮が出るのは、高台部分と器本体との温度差と、言われていますが、

    その信憑性は不明です。

    即ち、高台は棚板に接している為、器本体より温度が低く、その温度差が20℃程度

    有ると、梅花皮が出来るとの事です。


   実際には、以下の方法を取る事が多いです。

  ① 高台削りの際、削った所のみに、梅花皮を出す方法

    目の粗い土を削ると、粒子が起きて「ささくれ」が起こります。

    「ささくれ」立つと、釉も均等に載らず、濃淡が出来、厚く塗れた部分の釉が寄り集まり、

    周囲の薄い釉が、引っ張られて、梅花皮が出来ると、考えられています。

   a) 縮緬皺とは、砂気の多い土や、粒子の粗い土を削ると、削った面が「ささくれ」立ちます。

     この面を縮緬皺(ちりめんしわ)と呼びます。特に抹茶々碗の高台際や、高台内に出します。

    ・ 梅花皮を出すには、縮緬皺を作る事が大事な、要素です。

   b)   施釉すると、縮緬皺の、凸凹に釉が入り込みます。焼成すると、土と釉は膨張します。

    その際、土と釉の接している所の、バランスが崩れ、部分的に釉の、過不足が生じます。
   
    その結果、釉の多い所には、より釉が集まり、梅花皮状に成ります。

 ② 梅花皮向きの土を使う。

   梅花皮は、土が大きく作用します。それなりの土を見つける事です。

  ・ ポイントは、砂気の多い土を使う事です。(例、唐津の土)

    又、粒子の粗い土を使う事です。

 ③ 焼成温度に付いて

   梅花皮を出すには、1230℃~1250℃位が良いと言われています。

   温度が高過ぎても、釉が熔けすぎて、出ないそうです。

 ④ 釉の長石の種類を換える

   長石と土の相性で、出方も変化します。長石の種類や、分量を適宜変化させ、

   色々試して下さい。


 尚、色々な方(陶芸家など)がそれなりの工夫をし、良い梅花皮を出そうとしていますが、

 土の種類、窯の種類、燃料、窯の焚き方、焼成温度、削りの仕方、カンナの種類などによって、

 出方が違います。 

 色々説明はしていますが、参考程度にした方が、無難です。

 御自分で、試行錯誤をし、自分なりの方法を見つけて下さい。
陶芸釉薬の失敗と対策 

かいらぎ 梅花
 

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