わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

青花(染付け)について4(コバルト)

2011-08-05 20:56:50 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
「青花」(染付け)は、酸化コバルトを、主成分とした、下絵用の発色剤を使用しています。

5) 酸化コバルトについて

 ① イスラム産のコバルト

   最初に使われた、元の時代コバルトは、イスラム世界より、シルクロードを通り、もたらされた

   物です。これは、かなり純粋なもので、鮮やかな紫色を 呈しますが、このままでは、高温に耐えず、

   更にザラザラしていて、描き難い為、マンガン、鉄、クロム、ニッケル、銅等の、天然の金属原料を、

   微量に混入させ、扱い易くして、深みの有る青藍色を、発色させています。

 ② 中国産のコバルト(青土と言います)

   政権の交代や、戦乱、世界経済の変化などにより、しばしばイスラム産のコバルトが、輸入停止に

   成ります。その為、中国本土でも、幾つかの場所で、コバルトが発見され、使用されています。

   ) 成化~正徳年間: 江西楽平産=平等青

   ) 正徳~嘉靖年間: 高安産=石子青

   ) 万暦年間以降 : 浙江省 =浙江青

   これら以外にも、福建、広東、広西、雲南等で、青土は発見され、使用されています。

   但し イスラム産よりも、鮮明さが欠け、黒っぽく濁った感じのものが、多いです。

   この発色の違いによって、作られた時代が推測されます。

6) 呉須(ごす)に付いて

  コバルトを主原料にした、下絵付け用の青色顔料を、「呉須」と呼びます。

  ① 極細粉末を水に溶き、更に乳鉢等で、細かくして、使います。

   ) 昔より、粉末状の呉須は、お茶(の水)を入れて、乳鉢で擦ると、お茶に含まれるタンニンに

      よって、素地への接着性と発色が、良くなると言われています。

   ) 機械的に粒子を均等に擦るのではなく、不均一の方が良い色が出ると言われ、手に乳棒を

      持ち、気長に乳鉢で擦ると、良い結果が出るとも、言われています。

   ) 現在では、絵の具の様に、チューブに入った物が市販されていて、そのまま絵皿などに

      出して、使用できる物もあります。粉末とどちらが良く発色するかは、不明です。

  ② 水の量によって、色に濃淡を付ける事が出来ます。

    下絵付けで、この様に、しっかり濃淡が付けられるのは、「呉須」のみです。

    (鬼板なども、ある程度の濃淡を、付ける事も可能ですが、薄過ぎると、消えます。)

  ③ 濃淡を付ける事により、水墨画風の描写が、可能になります。

  ④ 現在では、コバルト以外の金属の含有量によって、色違いの「呉須」が市販されて、います。
    
    古代呉須、墨呉須、青呉須、紫呉須、焼貫呉須などが、あります。

  ⑤ 現在、天然の「呉須」は手に入れる事は困難で、ほとんどが、合成品です。

    それ故、昔の「呉須」の色とは、若干違いがあると言われています。

7) 呉須の使い方

   基本的には、素焼き後に筆を用いて、文様を描きますが、土物(陶器)の様に、素地が真っ白でない

   場合などでは、白化粧を施し、その上から絵付けすると、発色が良い様です。
 
 ① 筆で塗る: 水彩絵の具の要領で、文様を付けます。

    鉛筆などで、下書きする事も、可能です。(鉛筆の線は、焼成すると、消えます。)

  ) 注意点は、一度描いた所は、手を触れない事です。素地の表面に載っているだけですので、

    触ると、直ぐに手や指に転写します。呉須はどんなに薄く塗っても、必ず発色しますので、

    この汚れた手で、他を触ると、そこに青い色が移ります。

    絵を付ける際、作品を持つ場所を、確保しながら、描く必要があります。

    但し、釉を掛ける前までの話で、施釉してしまえば、触る事が出来ます。

  ) 描き方は、線状に輪郭を描く方法と、濃(だみ)と言い、輪郭線内を、塗りつぶす方法が

     有ります。濃の場合濃専用の、筆があります。根元が太く、先端が極端に細くなった形を

     しています。

 ② 吹墨(ふくすみ)による方法: 霧吹き(スプレー)やブラシング(金網とブラシを使う)の

   方法で、呉須を霧状にして、作品に吹き付ける方法です。作品に切り抜いた絵柄を、貼り付ければ、

   絵柄には、呉須が掛からず、模様が抜け出ます。

 ③ 呉須は、水の量を調整する事により、濃目~薄目へと、連続して濃淡を付ける事が出来ます。

  他の下絵の絵の具では、このような事は困難です。それ故、水墨画の様な、描写も可能に成ります。   

8)コバルト釉: 透明釉に添加する事により、青い釉を作る事が出来ます。

  酸化コバルトを、呈色剤に使った、紺青色系の釉で、我が国では、「瑠璃(るり)釉」が有名です。

 
以下次回に続きます。
   
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 青花(染付け)について3(日本... | トップ | 青花は世界へ(海揚がり1) »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL