7) 撫ぜる、寝かせる、起こす、立てる(自立)、支える行為とは?
陶芸作業で使う言葉は、当然ですが暴力的な物のみが、用いられている訳ではありません。
優しい言葉も多く用いられています。
① 撫(な)ぜる行為とは?
② 寝かす行為とは? 以上が前回までのお話しです。
③ 起こす、自立、支える行為とは?
) 焼き物は立体的な構造物です。それ故、何らかの方法で、高さを作り出す行為でもあり
ます。面倒な事に、素材になる粘土などは、乾燥すれば強度が増しますが、加工し易い程度の
乾燥具合では、機械的強度はさほど強くはありません。それ故、高さを増す行為はすこぶる
苦手です。土台部分を太くし、断面積を増せば、高さを出す事も可能ですが、余り実用的では
有りません。更に、見た目も綺麗ではありません。勿論、太くした基礎部分は乾燥後に、
削り取る事で修正する事は可能ですが・・。
) 轆轤作業で難しいのは、高さを出す事と言われています。即ち背の高い作品を、一度の
作業で作るのには、熟練を要する訳です。その為、轆轤作業と手捻り(紐作りなど)の要素を
ミックスさせて、背の高い作品を作る方法も存在します。又時間を掛けて、乾燥させながら、
下から上に順に繋ぎ合わせて、上に伸ばす方法が取られます。更に、上下を別々に作り、
やや乾燥した状態の時、繋ぎ合わせる方法もあります(碗継ぎ)。素地の可塑性や伸び易い
土かなどで、どの方法を取るかは産地毎に、又は作者毎に異なります。
) タタラ板(陶板)を組み合わせ、張り合わせる事て背の高い作品を作る方法は、普通に
見られる行為です。
a) 問題になるのは、タタラ板が自立するには、ある程度乾燥し、強度がある事が必要です。
特に、厚みの薄いタタラの場合、立ち上げながら、組み立てる作業には苦労するはずです。
例えば箱状の作品を作る際、四辺が繋がれば姿勢は比較的安定しますが、最初の一枚と隣合
せの二枚目を貼り合わせるには、何らかの方法でタタラを一時支えておく必要があります。
但し、タタラを筒などに巻きつける方法をとれば、30cm以上の円筒形を作る事は比較的
簡単です。勿論、タタラの肉厚や、筒の直径によってはそれ以上にする事もできます。
b) 箱などの蓋も支え難くなっています。
特に面積の広い大きな蓋で、水平にすればする程作る事は困難になります。勿論山形
(アーチ状)であれば、比較的容易なのですが、肉薄で平たい物ほど問題になります。
同様な物として、平皿があります。平皿に高台を付けると、高台脇から下に垂れ下がります
生の状態であれば。周囲に枕を置き支えながら乾燥する事ができます。乾燥してしまえば
素焼きまでは、その形を保持して置く事ができます。
c) 本焼きで下に垂れ下がる。
粘土などが本焼き程度の高温(1200~1300℃)で、素地自体が軟らかくなりますので、形が
崩れる事に成ります。その為、要所要所を下から支える必要が生じます。その際無釉の作品
ならば、道具土で作った粘土を丸めて使う事も出来ますが、施釉した作品では釉薬がある為
何らかの工夫が必要です。例えば、二枚貝の片割れに粘土を詰め、貝殻を上にして作品を
支える等の方法です。作品に貝殻の跡が付きますが、窯から取り出せば、貝殻自体は白い
粉末となり、容易に作品から取り除く事ができます。
尚、下から作品を支える方法に付いては、以前お話していますので、ここでは省略します。
以下次回に続きます。
陶芸作業で使う言葉は、当然ですが暴力的な物のみが、用いられている訳ではありません。
優しい言葉も多く用いられています。
① 撫(な)ぜる行為とは?
② 寝かす行為とは? 以上が前回までのお話しです。
③ 起こす、自立、支える行為とは?
) 焼き物は立体的な構造物です。それ故、何らかの方法で、高さを作り出す行為でもあり
ます。面倒な事に、素材になる粘土などは、乾燥すれば強度が増しますが、加工し易い程度の
乾燥具合では、機械的強度はさほど強くはありません。それ故、高さを増す行為はすこぶる
苦手です。土台部分を太くし、断面積を増せば、高さを出す事も可能ですが、余り実用的では
有りません。更に、見た目も綺麗ではありません。勿論、太くした基礎部分は乾燥後に、
削り取る事で修正する事は可能ですが・・。
) 轆轤作業で難しいのは、高さを出す事と言われています。即ち背の高い作品を、一度の
作業で作るのには、熟練を要する訳です。その為、轆轤作業と手捻り(紐作りなど)の要素を
ミックスさせて、背の高い作品を作る方法も存在します。又時間を掛けて、乾燥させながら、
下から上に順に繋ぎ合わせて、上に伸ばす方法が取られます。更に、上下を別々に作り、
やや乾燥した状態の時、繋ぎ合わせる方法もあります(碗継ぎ)。素地の可塑性や伸び易い
土かなどで、どの方法を取るかは産地毎に、又は作者毎に異なります。
) タタラ板(陶板)を組み合わせ、張り合わせる事て背の高い作品を作る方法は、普通に
見られる行為です。
a) 問題になるのは、タタラ板が自立するには、ある程度乾燥し、強度がある事が必要です。
特に、厚みの薄いタタラの場合、立ち上げながら、組み立てる作業には苦労するはずです。
例えば箱状の作品を作る際、四辺が繋がれば姿勢は比較的安定しますが、最初の一枚と隣合
せの二枚目を貼り合わせるには、何らかの方法でタタラを一時支えておく必要があります。
但し、タタラを筒などに巻きつける方法をとれば、30cm以上の円筒形を作る事は比較的
簡単です。勿論、タタラの肉厚や、筒の直径によってはそれ以上にする事もできます。
b) 箱などの蓋も支え難くなっています。
特に面積の広い大きな蓋で、水平にすればする程作る事は困難になります。勿論山形
(アーチ状)であれば、比較的容易なのですが、肉薄で平たい物ほど問題になります。
同様な物として、平皿があります。平皿に高台を付けると、高台脇から下に垂れ下がります
生の状態であれば。周囲に枕を置き支えながら乾燥する事ができます。乾燥してしまえば
素焼きまでは、その形を保持して置く事ができます。
c) 本焼きで下に垂れ下がる。
粘土などが本焼き程度の高温(1200~1300℃)で、素地自体が軟らかくなりますので、形が
崩れる事に成ります。その為、要所要所を下から支える必要が生じます。その際無釉の作品
ならば、道具土で作った粘土を丸めて使う事も出来ますが、施釉した作品では釉薬がある為
何らかの工夫が必要です。例えば、二枚貝の片割れに粘土を詰め、貝殻を上にして作品を
支える等の方法です。作品に貝殻の跡が付きますが、窯から取り出せば、貝殻自体は白い
粉末となり、容易に作品から取り除く事ができます。
尚、下から作品を支える方法に付いては、以前お話していますので、ここでは省略します。
以下次回に続きます。