わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 292 陶芸の手順とは9(轆轤作業の手順9)。

2017-06-28 10:35:49 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

1) 全体の手順

 ④ 底削りの手順

  ⅴ) 底削りの仕方。

   イ) 高台の種類。

   ロ) 削りの実際。

   ・ 削り出す前に、出来れば、削る周辺の肉厚を把握しておく事が大切です。

   ・ 高台の種類と大きさ(高台の外形)を決めます。

   ・ 逆さに伏せた底面を平らに削ります。

   ・ 底の中心を少し凹ませます。

   ・ 高台の外形を針等で丸く描きます。

   ・ カンナの刃の動かせ方に決りは有りません。

   ・ 一番削りかす(滓)が出る位置でカンナを使う事。 以上迄が前回の話です。

   ・ 轆轤の回転速度は、最初は遅く綺麗な円が出たらスピードアップする。

    削り出す作品の底周辺は、凹凸が有るのが普通です(中心が出ていない事も一つの原因です)

    この段階で回転を早くすると、カンナの刃が出っ張った部分に強く食い込み、作品を大きく

    傷付けたり、最悪作品を轆轤上から転落させたりしてしまいます。そこで回転を遅くし少し

    ずつ削り、底周辺が綺麗な円に成ってから、スピードアップすると安全です。

   ・ 綺麗な円が出たら、大胆に削ります。

    底周辺は思っている以上に肉厚の場合が多いです(特に初心者の場合)。その為慎重に少し

    づつ削ると時間が掛過ぎますので、削り始めは大胆に削り、肉厚が薄くなるに従い、削り量

    を少なくして行きます。即ち、仕上げで少しづつ削る事になります。

    高台の外径の罫書(けがき)線まで削ったら、高台の種類によって削る方法が異なります。

   ・ 輪高台の場合には、高台脇を削り凸状態に削り出します。

    削り出す量は最低でも5mm程度が必要です。この値は高台を持って施釉する為に必要な数値

    です。削った後高台が指で掴める事を確認します。又高台脇が斜め状の場合には、指が滑って

    しまいますので、出来れば垂直に又は高台付け根が狭い(撥=ばち)様に削ります。

    外側が削り終えたら、高台の内側を削ります。高台の内側の壁は垂直よりも根元部分が広い

    台形状が望ましいです。これは汚れが内側角に溜まった際、洗浄し易くする為です。

    高台内を水平に削る場合と、中央をやや高く削る場合があります。後者を兜 巾(ときん)と

    呼び、抹茶々碗に多く見られる削り方です。

    一般的には高台の縁は均等に削りますが、三日月高台の様に、一方が幅広、一方が巾狭と

    不均一に削る場合あります。即ち、外側とは異なる位置に移動し中心をづらす事により削り

    出せます。尚、割り高台や切高台は輪高台を完成した後、ナイフやカンナで高台の一部を

    切り取ります。切る数も好みに応じて、1~5箇所位です。

   ・ 碁笥底高台の場合は、高台内側のみを削る事に成り、外側に段差を設けません。

    尚、外側を削る事で形を整えたり、作品を軽くする事が出来ます。

    削り方は上記輪高台の場合と同じです。

   ・ ベタ高台の場合には、ここで削り作業を終えます。 但し、底の角部分は面取りし作品の

    割れ(ヒビ)を防ぎ、更には作品を床から少し浮き上がらせ、軽見せる効果もありますので

    やや大きく面取りする場合もあります。

   ・ 作品の高さ方向は、どの位まで削れば良いか。

    背の低い作品は多くは削れませんが、背の高い作品は比較的高くまで削れます。但し、

    削ると言う事は径が細くなる事で、形もどんどん変化します。又、轆轤目なども削り取る

    事になりますので、残したい場合には、削る範囲も限定されます。

   ・ 削る事は作品の表面に「ザラルキ」を与える事(肌を荒らす事)になります。

    特に目の粗い土を使うと顕著です。この事は男性的で力強さを演出しますので、好む方も

    多いですが、嫌う場合には同じ土のドベ(泥)を塗りこ込むと、表面の「ザラツキ」を少なく

    する効果があります。

   ・ 肉の厚みは表面を指で弾いて、その音の高さで判断できます。(但し初心者では音を聞き

    分け難いです。)人差し指又は中指の爪側で作品の表面を弾き、「コツコツ」と高い音の

    場合には肉厚です。「ベタベタ」と低い音の場合には、肉厚が薄くなっています。但し高台

    内、高台内、胴体部分によっても、音色に差が出ます。何度も聞いて耳を鍛える事が大切

    です。

   ・ 最後は確認作業です。

    確認は轆轤上にある間に行います。一度轆轤上より移動してしまうと、再度同じ位置に作品

    をセットするのが難しくなります。取り上げると必ず移動しますので同心円状に削れなく

    なります。確認作業は、主に作品表面の傷や全体の形です。爪跡やカンナの傷跡が有る場合

    には削り取る事が基本ですが、あえてカンナの傷跡を残す場合もあります。全体の形とは

    作品側面のカーブです。目で確認するよりも、轆轤を回転させ作品の表面を、指や掌で撫ぜ

    ると形が判ります。

   ・ 止め土を取り除いて作品を轆轤上より取り除く。

    止め土部分三箇所(二箇所でも良い)を針で上下に切断します。作品側に張り付いた止め土

    (上側)を取り除きます。下側は轆轤やシッタに張り付いたままです。

    注意点は、針で切断する際、作品を傷つけない事です。その為に作品よりやや離した場所を

    切断します。作品側に止め土が残っている場合には、「竹へら」等で取り除きます。

以下次回に続きます。   
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