わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

窯を築く 8 窯の設計 7

2016-08-11 20:37:26 | 陶芸の窯を築く
今回取り上げているテーマは、ご自分で窯を築きたいと思われる方を対象とし、かなり特殊な場合か

も知れません。何時の日にか興味を持ったら、参考にして下されば幸いです。

4) 窯を築く場所の条件。

  陶芸の窯は、大きさによりますが、かなり重量のある物が多いです。数百k~数トンになる事も

  稀ではありません。

  電気窯以外は出来るだけ、屋外又は屋内の地面(一階)に設置する事が望ましいです。

  当然、設置してから地盤沈下を起こす様になっては、後々修理が大変になります。

  その為にも、設置する場所は強固な地盤にする為、十分な対策が必要になります。

 ① 設置に適する場所。

  ⅰ) 作業場に近い事。周囲に燃えやすい物(又は建物)がない事。

   窯詰めや窯出し等で作品が、作業場と往復する事が多くなります。又急な降雨の場合でも

   速やかに対処する事ができます。窯は冷える際に、かなりの熱を排出します。この熱で周囲の

   物が発火する(又は焦げる)恐れがある場合には、あらかじめ取り除く必要があります。

  ⅱ) 十分スペースが取れる事。築窯作業がし易い場所に

   築窯は単に窯のスペース以外に、周囲に資材などを置く空き地が必要になります。

   更に、窯の周囲を移動しながら、耐火煉瓦を積みますので、作業者が移動するスペースも必要

   になります。窯が築き上がるに従い、当初のスペースは徐々に狭くなっていきますので、

   最初から広目に場所を取って置くことです。更に、窯を築く前に、地盤を強固にしたり、

   周囲に壁や屋根を掛けるなどの作業(風や雨避け)が必要ですので、十分広く取ると大変便利

   です。

  ⅲ) 湧き水などが無く、水はけが良い事。

   窯の周囲の地面は乾燥している事が大切です。当然水はけが良い事になります。

   耐火レンガやモルタル等は水分を嫌いますので、築窯の際には、濡れない場所に保管して置か

   なければなりません。水はけを良くする為には、周囲より若干高くし、周囲のブロック近辺に

   溝を掘り、窯場に水が入らない様にします。

  ⅳ) 地盤が水平で強度がある事。強度は整地の仕方によって変える事ができます。

   傾斜地であっても、窯を設置する場合は、床面は水平にする必要があります。

   水平度は水準器を使います。縦横方向の水平が必要です。

   埋立地は地盤が弱く成り易いですので、この様な場所しかない場合には、十分対策を取る必要

   があります。(但し、 窖窯など傾斜地上に築く場合は積極的に利用します。)

   又、窯の重みで一部に地盤沈下が起こらない様にする必要があります。

これからが、実際の作業となります。

5) 窯を置く土台を作る。

 ① 縄張り

  周囲に杭を打ち、水糸を張って窯場の範囲を決めます。石灰などで地面に線を描くと後々便利

  です。

 ② 窯場の周囲の土を堀り、ブロック等を埋めて土留めとし、土の流出を防ぎます。ブロック内を

   若干掘り下げます。

 ③ 割栗石(やや大きめの石)を敷き詰める。又は、建物のベタ基礎の様に鉄筋(鉄棒)を網の目

   状に敷き詰めます。

 ④ 柱になる部分には、丸い紙の管などを差込、コンクリートが入らない様に穴を開けます。

 ⑤ コンクリートを流し込み、左官用の鏝(こて)を使い表面を平滑にします。水を着けながら

  平らに「ならし」ます。コンクリートは数日養生させます。コンクリートを打った場所には立ち

  入らない事です。要所要所に水糸を張り、高さを調整します。

  コンクリート部材(セメント、砂、砂利)は専門のDITや資材館などで入手できます。

 ⑥ 煙道を地下に埋め込む場合には、あらかじめ埋め込んでおく必要があります。

6) 小屋を作る。(小屋を作るのが面倒な場合には、プレハブ小屋で代用する事もできます。)

 ① 骨組みを作る。コンクリ-トが乾燥したら、前記の紙の筒を取り除き、柱材を立てます。

  梁の部分、及び屋根を支える部材、壁を支える部材を取り付けます。

  場合によっては、扉や窓が必要かも知れません。又は、壁の一方又は二方を設けず、開放した

  方が都合が良い場合もあります。

 ② 屋根を葺き、壁を取り付ける。

  屋根や壁の材料は、耐火制のある金属製が望ましいです。窯焚き後に放熱が起こりますので、

  天井をやや高くし、熱の篭るのを防ぎます。又、風や雨対策をする必要があります。

  梁や柱に金属板を取り付ける際、釘などは使えませんから、何らかの方法でくくり付ける事に

  なります。その際、強度的にも強固にし更に、雨水が入り込まない様に防水加工を施す必要が

  出てくる可能性もあります。

7) 窯を作る作業

以下次回に続きます。
   
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