わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

質問 19 カオリンマット釉の改良 付いて。

2016-01-13 21:08:31 | 質問、問い合わせ、相談事
HON様より以下の質問をお受けしましたので、当方の考えをお伝えします。

韓国カオリン(商品名)を多く含んだ釉薬を自作しました。それを焼成したところ釉が縮れて素地が

かなり露出してしまいました。この釉薬は、元々は韓国カオリンではなくて朝鮮カオリン(陶芸.

comから入手)を配合していて、問題なかったのですが、新たに調合するときに、これらの原料の

違いを気にせず切り替えてしまったのです。

その後、カオリンは縮み易い性質があることや、その短所を補うため韓国カオリンには仮焼きしたもの

もあることを知りました。

さて、この釉薬が40L近くあるので今から改良できないものかと思案しています。そこで、この釉を

いったん乾かし、粉にして、素焼きしてから又水で溶いたらどうかと思うのですが、いかがでしょうか?

また、別の方法があれば教えいただきたく、よろしくお願いします。ちなみに、元々の配合は以下の

とおりです。

福島長石10%・合成土灰50%・朝鮮カオリン40%・焼成タルク10%・珪酸ジルコニウム3%


明窓窯より。

1) カオリンは白色粘土とも言われ、磁器などの素地や釉としても使われている鉱物です。

  質問では、カオリン本体では無く、すでに釉として調合してしまった物が40Lあるとの事です。

  それ故、この釉を如何に改良し活用するかが問題になります。

2) 釉にカオリンを多量に添加する場合には、焼(かしょう=仮焼)カオリンを使った方が良いと

  いわれています。 理由として以下の事があげられます。

   .オリンを焼する事で、塊を粉砕し易くなる。

   手元の資料では、焼する温度は1000℃以上が良いと記されています。

   一般の粘土質の鉱物は、焼温度は900℃程度でも十分粉砕可能との事ですが、カオリンでは

   やや高めの1000℃以上になっています。

  ◆★焼する事で、カオリンの収縮率を抑える事が出来る。

   カオリンは加熱と共に膨張し、その後次第に収縮します。即ち、600℃程度までは膨張し、

   その後は収縮します。600℃付近で結晶構造が崩れメタカオリンと言う状態になり、一番膨張し

   (但し1%以下)、その後次第に収縮しますが、その割合は、1000℃程度で約1%程度です。

    1000℃を超える頃から、急激に収縮し始め、1100℃で約2%、1200℃で約7.5%になります。

    1230〜1250℃程度ですと9〜9.5%程度になります。

    カオリンを焼する事で、釉の縮み率を少なくする事が出来る訳です。

3) 質問の件では、素焼きして釉の中のカオリンを焼したいとの事ですが、700〜800℃程度では

   焼縮む効果は期待できません。即ち、効果を期待するならば、1000〜1100℃が必要です。

   一般の釉では7%程度の縮みですので、調合した釉では、2〜3%程度多く縮む事になります。

   ℃悗950℃程度から、熔け始めガラス化すると言われています。

   その為、1000℃以上で焼すると、ガラス化が進み、粉砕する事が困難になると思われます。

  ◆仝翊鶲討料脳討の方法では、カオリンが十分縮まらず、目的通りには行かないと思われます。

   但し、少量を試験的に素焼きで試し、当否を確認する事を試みるのも良いでしょう。

4) 釉を改良する方法。

  基本的には、現在の釉に何か別の物質を添加する事しか出来ません。即ち取り除く事が出来ない

  からです。改良の方法として以下の事が考えられます。

   〔簑蠅棒っているのは、韓国カオリンの縮み率が大きい事で、その配合割合が多い事です。

   それ故、他の成分を多くして、相対的な割合を小さくする方法です。但し長石は縮みを増します

   ので、増やさない事です。他の成分は熔媒として働いていますので、多くする事で釉が熔け易く

   なります。そこで焼成温度を若干低くするする必要があるかも知れません。

  ◆℃悗稜蹐譴慮従櫃蓮◆峇啼」を無くす方法に似ています。即ち、釉の縮みを少なくする対策と

   同じです。文献では、微粉珪酸を加える、又は酸化錫を少量加える方法があると記載されて

   いますが、当方で試した訳ではありませんので、試みる時は少量で行ってください。

   釉が素地に固着する方法をとる事です。

   a) 釉を薄く掛ける。 厚く掛けるとガラスカ化した釉が一塊に寄リ集まり易くなります。

    又ガラス質も厚くなり、その重みで表面より滑落する事もあります。

   b)後でも述べますが、素地との関係もあります。強く固着させるには、素地に石灰を添加すれ

    ば良いと言われています。

   c) 釉の熔ける温度で、「寝らし時間」を若干長くし、素地中の珪酸分と粘土の成分を少しでも

    多く釉に熔け込ませる事です。

5) 素地を変える方法。

  釉を変えて対応するのは、かなり難しい様に思えます。むしろ素地を変えた方が容易かも知れ

  ません。即ち縮み率の大きな素地を使う事です。

   ^貳未卜鎧劼虜戮い素地は縮み率も大きいと言われています。

  ◆\崚擇覆錨簡を含む素地も縮み率が大きくなります。

   当ブログで取り上げた、素朴な疑問 212 「粘土が焼き締まるとは2?。」で記載してある

   Т鐡擇眈討締まる率の高い素地です。一部転載しますので、参考にして下さい。

主なТ鐡擇了挫蓮

   常滑(白泥土、朱泥土)。万古焼粘土。信楽土(黄瀬土)。萩焼(大道粘土)。備前土(干寄)。

   岡山・伊部土。益子焼(北郷谷土)。相馬焼(大堀粘土、井出粘土)。笠間焼粘土。徳島大谷焼

  (萩原粘土、青石)などがあります。

  ぁ℃悗帆巴呂箸料蠕が悪い状態ですので、問題の釉を現在使用中の素地に練り込む。

   元々、長石やカオリンは磁土に含まれる物質です。問題に成るのは土灰の働きですが、素地を

   磁器化する(ガラス成分を増やす)と思われますので、1〜2割を添加する事で、素地に

   悪影響を与える事は少ないと思われます。試してみる価値はあると思います。

6) その他の方法。

 「焼成したところ釉が縮れて、素地がかなり露出してしまいました。」の記事の検討が必要です。

  先ず、素地が露出した原因が、釉の縮みによるものかです。何故なら、それ以外でも、素地が

  露出する事が有るからです。

  ‐得の仕方でも釉の剥がれは起こります。即ち、焼成温度が高過ぎ、釉が熔け過ぎる場合です。

 ◆〜巴呂箸量着度が弱い場合もあります。作品表面が埃(ほこり)などで汚れている場合も

   釉剥げが起こります。

  素地の表面が滑らか過ぎる場合にも、釉が剥がれる原因になります。それ故、素地の表面を

  荒したり、荒めの紙ヤスリなどで、擦り(こすり)釉が引っ掛かり易くする方法も考えられます。

以上、決定的な方法が見当たりませんが、参考にして頂ければ有りがたいです。
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