わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

造る75(壷10、轆轤で大壷を作る4)

2013-05-08 21:39:27 | 陶芸入門(初級、中級編)

2) 壷を挽く(轆轤のみで、土を繋ぎ合わせて大壷を作る)。

  今回のテーマは壷を取り上げています。当ブログのジャンルでは、陶芸入門(初級、中級)となって

  いますが、初級者が実践するには、難しい内容かも知れません。中級、上級者向きの記述に

  なっており、実践はある程度の経験を積んだ方でないと、困難かも知れません。

 ③ 上下を壷の形にしてから、繋ぎ合わせる方法。

  ) 前回の②では、筒状の土を二段に重ねて繋ぎ合わせる方法でしたが、今回は、最初から壷の

    一部を形取りした後に繋ぎ合わせる方法です。繋ぎ合わせた段階で大まかな形と成りますので

    胴体部を大きく膨らませる必要は少なくなります。逆にある程度乾燥させてから、上に乗せる為

    膨らます等の加工がより困難になります。

  ) 上下を繋げる位置によって、土の量に差をつけます。

     即ち、胴体のほぼ中央で繋ぎ合わせる場合には、底がある為、若干下の部分が多くなり

     ますが、ほぼ同じ程度の土を使う事に成ります。避けたいのは、上部の部分が下部より極端に

     大きくしない事です。尚、この方法で作れる壷の大きさは、一般に高くても60~70cm程度の

     作品と成ります。

  ) 下の部分を作る方法には、二通りのあります。

   a) 一つは、繋ぎ目を上にして作る方法です。これが一般的な方法です。

     利点としては、作品の形が解かり易い事と、繋ぎ目の寸法が計測し易い事です。

     又、下部の部分は亀板をそのまま轆轤上に据えれば、轆轤の中心に置く事ができます。

     欠点として、極端に底が狭い場合や、極端な下膨れの形にし難い事です。

     この場合は、底削りで対応します。

   b) 他の方法は、底を上にして作る方法です。

    ・ 利点は、極端に底が小さい場合や、下膨れの壷を作る際、制作時に土の重みで、潰れて

      しまうのを防ぐ事が出来る点です。更に、繋ぎ合わせる部分の糊しろが多く取れるます。

     (轆轤挽きでは、最下部が最も肉厚に成ります。) 

     但し、底は板状の土を後から接着させて作ります。

    ・ 欠点は、上部を繋ぎ合わせる際に、しっかり乾燥させて、亀板から切り離す必要があり、

     更に轆轤の中心に据える必要がある事です。

  ) 上部を作る。

     この場合も、作り方は二通りあります。即ち、壷の口縁を下にする方法(逆さに作る)と、

     口縁を上にして作る方法です。どちらの方法を取るかは、壷の形状によります。

     前者では、合わせ目の寸法の調整は容易です。但し繋ぎ目の糊しろが狭いのが欠点とも

     言えます。 後者の方が、繋ぎ合わせた後のイメージが作り易いです。

  ) 上下を繋ぎ合わせる。

     下部は上部を載せても、潰れたり狂わない程度に乾燥させる必要があります。

    a) 上下の繋ぎ合わせの部に刻みを入れて、「ドベ」を塗って貼り付ける方法。

      乾燥し過ぎると、接着面が綺麗に貼り付けられずに、「ひび」が入り易いです。

    b) 軟らかい紐状の土を上下の間に挟み、接着する方法。

      上下の接着面が多少凹凸があっても、紐がクッションの役目をし、貼り付け易くなります。   

    ・ いずれの場合でも、上下部の繋ぎ目の寸法は揃えておく必要があります。

    ・ 内外側に手を当て、繋ぎ目を消します。更に、轆轤をゆっくり回転させながら、しっかり接着

      します。

    c) 上部を逆さに作った場合、口縁の周囲には、肉厚になっていますので、薄く伸ばしてから

      口造りを行います。

  ) 乾燥後に底削りを行います。

     高台は「べた」が多く、次いで「碁笥底」が多い様に見受けられます。

     底や腰の部分の削り方で、壷の表情は大きく変わりますので、削りに掛かる前に十分検討

     する事です。

以下次回(紐作りと轆轤で大壷を作る)に続きます。  

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