2) 壷を挽く(轆轤のみで、土を繋ぎ合わせて大壷を作る)。
今回のテーマは壷を取り上げています。当ブログのジャンルでは、陶芸入門(初級、中級)となって
いますが、初級者が実践するには、難しい内容かも知れません。中級、上級者向きの記述に
なっており、実践はある程度の経験を積んだ方でないと、困難かも知れません。
③ 上下を壷の形にしてから、繋ぎ合わせる方法。
) 前回の②では、筒状の土を二段に重ねて繋ぎ合わせる方法でしたが、今回は、最初から壷の
一部を形取りした後に繋ぎ合わせる方法です。繋ぎ合わせた段階で大まかな形と成りますので
胴体部を大きく膨らませる必要は少なくなります。逆にある程度乾燥させてから、上に乗せる為
膨らます等の加工がより困難になります。
) 上下を繋げる位置によって、土の量に差をつけます。
即ち、胴体のほぼ中央で繋ぎ合わせる場合には、底がある為、若干下の部分が多くなり
ますが、ほぼ同じ程度の土を使う事に成ります。避けたいのは、上部の部分が下部より極端に
大きくしない事です。尚、この方法で作れる壷の大きさは、一般に高くても60~70cm程度の
作品と成ります。
) 下の部分を作る方法には、二通りのあります。
a) 一つは、繋ぎ目を上にして作る方法です。これが一般的な方法です。
利点としては、作品の形が解かり易い事と、繋ぎ目の寸法が計測し易い事です。
又、下部の部分は亀板をそのまま轆轤上に据えれば、轆轤の中心に置く事ができます。
欠点として、極端に底が狭い場合や、極端な下膨れの形にし難い事です。
この場合は、底削りで対応します。
b) 他の方法は、底を上にして作る方法です。
・ 利点は、極端に底が小さい場合や、下膨れの壷を作る際、制作時に土の重みで、潰れて
しまうのを防ぐ事が出来る点です。更に、繋ぎ合わせる部分の糊しろが多く取れるます。
(轆轤挽きでは、最下部が最も肉厚に成ります。)
但し、底は板状の土を後から接着させて作ります。
・ 欠点は、上部を繋ぎ合わせる際に、しっかり乾燥させて、亀板から切り離す必要があり、
更に轆轤の中心に据える必要がある事です。
) 上部を作る。
この場合も、作り方は二通りあります。即ち、壷の口縁を下にする方法(逆さに作る)と、
口縁を上にして作る方法です。どちらの方法を取るかは、壷の形状によります。
前者では、合わせ目の寸法の調整は容易です。但し繋ぎ目の糊しろが狭いのが欠点とも
言えます。 後者の方が、繋ぎ合わせた後のイメージが作り易いです。
) 上下を繋ぎ合わせる。
下部は上部を載せても、潰れたり狂わない程度に乾燥させる必要があります。
a) 上下の繋ぎ合わせの部に刻みを入れて、「ドベ」を塗って貼り付ける方法。
乾燥し過ぎると、接着面が綺麗に貼り付けられずに、「ひび」が入り易いです。
b) 軟らかい紐状の土を上下の間に挟み、接着する方法。
上下の接着面が多少凹凸があっても、紐がクッションの役目をし、貼り付け易くなります。
・ いずれの場合でも、上下部の繋ぎ目の寸法は揃えておく必要があります。
・ 内外側に手を当て、繋ぎ目を消します。更に、轆轤をゆっくり回転させながら、しっかり接着
します。
c) 上部を逆さに作った場合、口縁の周囲には、肉厚になっていますので、薄く伸ばしてから
口造りを行います。
) 乾燥後に底削りを行います。
高台は「べた」が多く、次いで「碁笥底」が多い様に見受けられます。
底や腰の部分の削り方で、壷の表情は大きく変わりますので、削りに掛かる前に十分検討
する事です。
以下次回(紐作りと轆轤で大壷を作る)に続きます。