社会福祉士の独語Ⅱ-日々の雑感

福祉に関わる事柄の他、日々感じたことを書き綴っていきます。

『日本文学史序説』補講 加藤周一著 ちくま学芸文庫2012.9

2017-07-14 04:40:27 | 読書
学生の古典になっているという『序説』上下について、著者が集中講義をした記録。『序説』そのものは、読んでいないが、補講を読むことになった。「文学史」とは言え、受講者の質疑応答と共に、万葉の時代から、現代まで、宗教、美術、演劇…と多面に渡って論じており、いくつかのエスプリの効いた話も興味深かったが注目した点を挙げてみる。
 和の精神、長いものに巻かれろという日本人の集団主義は、「古層」「執拗低音」(丸山眞男)と称したように、日本文化の中心に続いている。中心から、離れたところに、菅原道真、本居宣長らがいる。
 日本人は自然を愛していたのかでは、花鳥風月は、心情を託す対象であり、愛でるものではない。『建礼門院右京大夫集』では、「生まれて初めて星空を見た。星空がこんなに美しいとは思わなかった」とある。平家の滅亡、文化の崩壊に至って、初めて天空に目を向けさせられたわけだが、3.11の体験記録にも同様な文が散見されたが、時代を超えたものがあるようだ。
 女性で漢字が読める人間は、表にはっきり出す清少納言流。隠して、男性に教えて、発覚するとちょっと仮名を教えていたと言い訳する紫式部流といた。
 杜甫から魯迅に至るまで、中国文学は、政治に関わり続けてきたが、どうもここに関わる内容のものは教科書から除かれてきたようだ。
  宗教では、道元が、全ての人間の平等観へと通じる超越的真理・権威に目を向けた。純粋個人主義と言えるもので、正法眼蔵は、漢文ではなく日本語で書かれた。悟りは意識の中。では、意識外の秩序は、作り出すしかなく、「永平寺精規」が作成された。ここに、道元とイエズス会のロヨラの共通項がある。元禄時代、新井白石も、道元と同様に日本語で書いたが、絶対権威ではなく、良識をより処にした。
注釈書の対象は、日本では論語であり、欧州では聖書であるが、ここではK・バルトが挙げられる。
 江戸時代の農民の感情生活を掴む上で民謡、口承等の民俗学的材料が必要。
 日本では、アナキズムは、明治期の徹底した弾圧もあり、広がりを見せなかったが、安藤昌益『自然真営道』は、注目される。
 遅ればせながら、まず『序説』上を注文した。
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