わが家の食育…「お家で作ろう! 食べよう!」

家族の健康づくりは、わが家で作る食事から…。信濃毎日新聞発行「週刊さくだいら」「週刊いいだ」特集掲載をまとめます。

「エゴマ」を日常の食材にしよう

2010-04-20 | 農と食をつなぐ…産地の歴史と未来
農と食をつなぐ…地産地消のすすめ
                 信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」
                  <2010.4/15号掲載>


エゴマをご存知ですか。
昔懐かしい食材でもあり、現代に必要とされる食材でもあり、“古くて新しい作物”として注目したい食材です。
家庭菜園や地元産地からの地産地消で普段当たり前にいただくものにすることで、農地を守り、農業の振興と健康づくりに役立てましょう。

日本の農耕の歴史
エゴマはインド周辺の高地原産で、中国、韓国から日本に伝わったといわれています。
栽培の歴史は古く、各地の縄文時代の遺跡で出土していることから、日本最古の栽培作物とみられています。
県内では諏訪市にある荒神山遺跡からエゴマの種子の塊が出土し、諏訪市博物館で保存されています。
同市は藤森栄一氏(1911〜73年)を輩出し、諏訪地域には考古学の歴史を塗り替える研究の舞台となった遺跡が数多く残ります。
藤森氏は、かつて弥生農耕説だった日本の農耕の歴史を覆し、自らの発掘調査により人工遺物の存在からいち早く「縄文農耕説」を説いた民間考古学者です。
近年、クリやドングリ、雑穀などの栽培や稲の遺物の出土が相次ぎ、縄文農耕説が評価されています。

エゴマの品種と栽培
エゴマは一年生のシソ科植物です。
エゴマの品種は各地で伝承されてきた在来種で、福島在来・長野在来・名倉在来・韓国在来などが研究されています。

また、それぞれ「白種」「黒種」に分かれ、粒の大きさも大小さまざま。油脂植物としては黒種の方が比較的油が多く取れるようです。
交配しやすいのでさまざまな品種が混ざり、伝統作物のように地域の種の保存や系統調査はされていません。
「日照りゴマ、雨アブラ(エゴマ)」といわれ、エゴマ栽培は山間地や湿気の多い場所など、環境や土壌を選びません。
また、鹿などの食害が少ない傾向から、中山間地の荒廃地・遊休農地利用に向く作物として期待されています。


今、なぜエゴマなのでしょうか…?
「えぐさ・いくさ」(長野)、「じゅうねん」(東北)、「あぶらえ」(岐阜)などとも呼ばれるエゴマは、昔は日常的に利用され、大切な脂肪の供給源でした。
必須脂肪酸の中でも、コーン油やベニバナ油にはほとんど含まれていないα(アルファ)リノレン酸が多く、60%以上も含まれています。
生活習慣病の予防として求められるのは、脂肪とミネラルの上手な取り方。昔も今も、エゴマは人の命を支える原点の作物のようです。
                    

■エゴマの種実の栄養と機能性
αリノレン酸を多く含むエゴマは、理想的な油をとる油脂作物として栽培を望まれています。
トランス脂肪酸を含む食品(マーガリン、ショートニング等)が健康障害への懸念をもたれ、警鐘を鳴らされたのは記憶に新しいところ。
このような油の酸化を防ぐための硬化油や、リノール酸の過剰摂取は現代の食生活の問題点になっています。


理想的な脂肪の摂取
健康や予防医療を考えたとき、今、見直したいのはミネラルと脂肪の摂取。特に油は摂り方のバランスが大切で、リノール酸とαリノレン酸の摂取比率は4対1から2対1が理想とされています。
エゴ油にすると一日10gですが、油をドレッシングやいためものに使うだけでなく、実を利用し、幅広いメニューで吸収しましょう。

エゴマの機能性
エゴマの種実には、アレルギーに効果のあるルテオリンも含まれています。カルシウム、マグネシウム、ビタミンEなども豊富で、油の抗酸化効果とともに高い機能性があります。

エゴマの葉と種実の抗酸化活性値
   (2003年、愛知農業総合試験場研究資料)

不飽和脂肪酸の分類
植物性脂肪に多い不飽和脂肪酸は、その化学式によって三系統の油に分けられます。
  オメガ3(αリノレン酸)…シソ油(エゴマ油)、亜麻仁油(フラックスオイル)
  オメガ6(リノール酸)…大豆油、綿実油、コーン油、ひまわり油、紅花油等
   オメガ9(オレイン酸)…オリーブ油等
オメガ6は体内でアラキドン酸という物質になり、ホルモンバランスを崩し免疫力や高血圧などに悪影響を与えたり、アレルギー疾患に関連することが疑われています。


■エゴマの葉の栄養と機能性
エゴマの葉は、オオバ(シソの葉)と同様の使い方ができます。
葉の成分としては、カルシウム、鉄分などのミネラルが多く、β(ベータ)カロテン、ビタミンC・Dも多く含まれます。
エゴマの葉で注目したいのはビタミンk1の含量で、骨粗しょう症の予防効果が期待できます。



昔から食べ伝えられていたエゴマ
東北を中心とした日本各地、そして長野県各地域で栽培され、日常の食卓で食べられていたエゴマ。
搾油して揚げ物やいため物に使うことより、ゴマ同様に極普通の料理に使うことで、必須栄養素としての脂肪の供給源とされていました。

エゴマの搾油をするようになったのは平安時代初期で、食用の他に燃料(灯ろう、ちょうちん)、塗装(傘、雨がっぱ、建築家具)に使われていました。菜種油が広がる江戸時代後期までの約800年間はエゴマ油の全盛期だったようです。
安いエゴマが輸入されるようになる明治時代以降は栽培者が減り、自家用での栽培が各地に細々と残る程度になりました。
エゴマの主要産地福島県では、エゴマを餌にして育てた豚「エゴマ豚」を特産品として販売し
ています。リノール酸とαリノレン酸をバランスよく含む脂肪の豚肉としてPRしています。


エゴマの食べ方
エゴマの食べ方は大きく分けると、プチプチした粒の食感を残す調理と、いってすりつぶしたものを使う方法があります。

直売所などで販売されているエゴマは、あえものやお餅、クッキー等々に勧められています。
しかし、各地で自家用に栽培されていたエゴマは、それ以外にも各家で独自の食べ方が伝えられ、何気ない日常のメニューに残されています。
木曽郡木曽町には、エゴマに五平餅のたれのような味をつけてご飯に混ぜた「え飯」が伝わっています。また、種実だけでなく、若い葉は塩漬けにして保存し、キュウリなどの野菜を芯に巻き漬物にするそうです。
一方、諏訪郡原村出身者の中には、すりつぶしたエゴマを出がらしのお茶で練り、とろとろになったものをしょうゆと砂糖で味付けし、もち米とうるち問い米を炊いて、半殺し(半つぶし)にしたものにかけた記憶がある人も。昔、おばあさんが作ってくれた懐かしい味の思い出の一つなのです。




エゴマあえ 
エゴマをフライパンでいり、すり鉢でする。そのまま、お浸しや冷やっこにかけたり、砂糖、しょうゆ、塩を混ぜてあえ衣に。



エゴマの米粉クッキー 
小麦粉を米粉に換えてクッキーを作り、天板に丸く絞り出して平らにし、エゴマを乗せて焼く。

韓国とエゴマ 
韓国にはエゴマを食べる食文化があります。
エゴマの搾油機が普及し、搾りたての新鮮な油を使う食習慣は地産地消の理想的な姿です。
また、野菜を食べる料理といわれる韓国料理には、ケンニプ(エゴマ葉のしょうゆ漬け)や葉のキムチがあります。
オオバやモロヘイヤに次いで豊富なポリフェノールを、焼肉を巻いたり、ご飯にのせていただきます。



即席ケンニプ   
めんつゆにゴマ油、おろしショウガ、おろしニンニク、白ゴマ、刻みネギを入れて、エゴマの葉(またはオオバ)を漬け込む。
  

地域の活性化と健康づくりのために…
佐久市(望月)
望月協和には、明治のころから代々エゴマの種が受け継がれ、自家栽培で日常食べることで健康的な栄養源にしていた地区があります。

旧中仙道の望月宿という歴史あるこの地域では、昨年、地域の特産品として「さとう餅(もち)」を開発しました。
さとう餅は江戸時代の文献に残された望月宿の名物。当時の特産だった平たい雁喰(がんくい)豆が今も栽培され、細々と栽培されてきたエゴマと併せて現代風にアレンジしたおもちです。
雁喰豆のきなこと、すったエゴマを小さな甘い丸餅にそれぞれまぶした  

協和地区に住む清水次子さんは、おしゅうとめさんが栽培していたエゴマの種を受け継ぎ、13年前から毎年エゴマ栽培を続けています。
鹿の食害の多いこの地域では、比較的鹿が好まないエゴマの栽培が期待されています。
また協和では、小ロットながら上松町へ独自に搾油を委託し、エゴマ油を販売している方もあります。
     販売はJAしらかば店直売所(望月)

小諸市 
小諸駅前の停車場ガーデンのガーデンカフェでは、エゴマを使った「いくさしるこ」が名物として提供されています。

4月18日に一周年を迎える停車場ガーデン(小諸市)は、小諸市民有志でつくるNPO法人「こもろの杜(もり)」で運営されている市民の憩いの場。
ガーデンカフェでは、安心・安全な地元の自然食材をできるだけ使った“おいしくて体にいい”メニューが並びます。いくさの実、いくさみそ、いくさのスイーツなどのエゴマ商品のほか、地元の特産「白いもアイス」も好評です。

郷土の食材で小諸の名物を作ろうと、ガーデンの食のグループが何年も研究して作り上げたエゴマの「いくさしるこ」

  

県内各地のエゴマ栽培
荒廃地や遊休農地を増やさないための取り組みとして、助成金などを受けながら、エゴマの栽培と特産品作りが振興しています。
エゴマの食感と香ばしさを生かし、様々な味の逸品が生み出されています。
                     
えごまクッキー
鬼無里村特産。2005年長野県推奨土産品優秀グランプリ受賞。
エゴマのプチプチ感が生かされた軽い口当たりのクッキーです。
TEL0264−27−1011
                                         

五平餅
南信中心の郷土食五平もちのたれに使用。甘塩っぱさと香ばしさがベストマッチ。
ふるさと体験館きそふくしま(木曽町)では、平たい丸餅にたれをつけた五平もちが楽しめます。
TEL026−256−2428
                     

えごまっ娘   
村内の米粉とエゴマで作った平たい団子に、砂糖と醤油で味付けしました。道の駅「信越さかえ」の栄村物産館またたび(栄村)で販売。
TEL0260−87−3180
                         


エゴマを「エゴマ油」で地産地消
木曽郡上松町特産品開発センターでは、エゴマ5kgから搾油の受託をいたします。
風除けなども兼ねてエゴマを栽培し、地域でまとめて油に搾るのも、環境と健康を守るひとつのアクションです。
【問い合わせ先】
上松町特産品開発センター TEL 0264−52−1505



ジャンル:
食と健康・美容
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