
昨日の記事がなんだか沈んだ内容だったので、少し明るい物を紹介したい。
これは本というよりも「画集」である。
Norman Rockwellの作品集であるが、名前を聞いたことのない方も、その作品は度々みたことがあると思う。私はあまり絵画には詳しくないが、数少ない「好きな画家」の一人である。
1894年アメリカに生まれ、1978年に没するまでの間、アメリカの経験した様々な社会現象を、大衆の日常に焦点を当てて作品にした。ボーイスカウトや子供達の姿、戦争時の民衆の生活、黒人公民権問題、家族愛、隣人愛、などそのテーマは多彩だが、いずれも写実性に富み、温かい色彩を持って描かれている。
中でも最も魅力的なのが、それらの作品に共通して表れる彼のユーモアである。人々や国に対する温かな愛情が、彼独特の上品なユーモアのフィルターを通して映し出されている。

ここに挙げる作品は、私の好きなもののひとつであるが、題は「Going and Coming」という。写りが悪くて大変申し訳ないが、上下でワンセットの作品で、出かけるところと帰ってくるところが描き分けられている。彼の豊かな観察眼がよく分かる作品である。実に細かいところにまでその観察が生かされており、家族の一人一人のキャラクターまでしっかりと表現されているのである。
さらに、この巧みな表現によって、見るものはこの家族がどのような一日を過ごしたのか、その会話までが聞こえてくるようではないか。
司馬遼太郎が書いていたが、「詩」とは、いかに限られた字数の中に無限に広がる世界を凝縮して読み手に感じさせるか、だそうである。
このことからいえば、Norman Rockwellの作品は絵画であると同時に、見事に「詩」であるとも言うことができる。
そして大概が重苦しい荘厳さや厳粛さの漂うそれらの芸術にたいし、彼の作品はその質を落とさずにかつユーモラスなのである。
質の良いユーモアというのは、実際とても難しいものだと思うのだがどうだろうか。
アメリカのボストン郊外に、彼の作品を集めた美術館がある。以前ボストンを訪れたとき是非とも行ってみたいと思ったのだが、あいにく車がなく、交通機関を利用していくにはスケジュールにあわなかったため、やむなく断念した。
機会がある方はそちらの方も行ってみられるといい。










TBありがとうございます。記事興味深く読ませて頂きました。
思わず「うんうん」と頷いてしまうような的確な表現が随所にあり、「そうそう」なんて一人で納得した部分もありました。他の記事も気になったので、時間を見つけて又伺います。
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