MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

ぶつぶつ・・・・

2016-04-06 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
基礎レベルの医療通訳は、
「予想できる内容の通訳」と書きましたが、
診療所やクリニックでの医療通訳が
簡単だというのは大きな誤解です。

原因不明の湿疹に苦しんでいるAさん。
皮膚科を転々としていますが、治りません。
自分の症状やいつから発疹がでているか、
持病の説明、
生活環境の説明、
服薬について、
その他もろもろ思い当たること・・・・。

同じ「ぶつぶつ」でも、
原因を特定するまでにいろんな聞き取りを行います。
医師は病気を特定するまでに、
問診を繰り返したり、薬を試してみたり・・・。
クリニックレベルでの医療通訳の内容は
多岐にわたる場合が多いと感じます。

逆に、紹介状を持っていく病院では、
とりあえず診療科と病気の目処はついています。

医療通訳の難しさは、場所ではなく場面によって違うのだなと思います。

**********************

最近、苦労しているのは
知的障害とまではいかないけれど、
生活に家族や周りの援助が必要な人の通訳です。

本人に日本語で伝わらないだけでなく、
通訳をしても、伝わらない。
わかりやすく言っても伝わらない。

単身で来日している場合は、
この人のことを把握しているキーパーソンもいない。
情報がそれぞれバラバラで、
病気や生活や福祉サービスも分断しており、
把握できるのは本人だけという状況。

もちろん、通訳者も断片的にしか係わり合いがありません。

医師は通訳者に「薬出しときましょうか」と聞きます。
通訳者は本人に聞いてくださいとお願いします。
医師は通訳がいなければ「怖くて診察できないよ」といいます。
通訳者は医療の通訳ができる人は
平日昼間にそんなにごろごろ転がってないってと
心の中で思います。

誰も「この人」を把握していない。できない。
この状況での治療ははっきり言って本当に困難です。

ただ、このようなケースが増えてきているように思います。
医療通訳が「何も足さない」でよかった時代が懐かしく思えます。



コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 医療通訳における電話通訳の... | トップ | 医療通訳に必要な自治体の要件 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

通訳者のつぶやき」カテゴリの最新記事