北海道新聞みなみ風の「立待岬」。
9月4日掲載のタイトルは、「風は天の息」。
街中や公園など、どんな場所にいても風が体を吹き抜けていく。風は表皮にある数多くの神経末端を刺激するが、その風は絶えず変化している。
山歩きの際の風は汗が吹き出した体をいたわってくれる。山頂では、急峻な山肌を風が暖かい空気を斜面に沿って押し上げて作る上昇霧を間近で見ることができる。白い雲が沸き立ち、消える様子は生き物のようだ。
海辺は風を最も強く感じさせてくれる場所のひとつ。波打ち際で風上に向かって並んでいる海鳥から、少し離れたところに座っているのは楽しい時間だ。海鳥と一緒に風を感じていたいが、たいていは根負けして先に立ち上がる。
風の写真が存在しないように、風は見ることができない。ひとつの風が通り過ぎると、また別の風がやってくる。風は不思議で不可解だ。植物学者で動物学者、生物学者、人類学者でもあったライアル・ワトソンは「風の博物詩」のなかで「不可解ながらも否定できない存在である風の二重性こそが、人間の精神活動を誘発した」と書いている。
ワトソンの著作は非科学な作り話もあると言われてるが、博学の士であり、その文章は刺激と感動を与えてくれる。
「風は天の息である」とワトソンはいう。海鳥たちは、その天の声にしっかりと耳を傾けているようだ。天の声を聞き逃さないように、もう一度砂浜に座った。
(メディカルはこだて発行人・編集人)
旧砂原町の砂崎海岸
波打ち際の海鳥
砂崎海岸に立つ灯台
9月4日掲載のタイトルは、「風は天の息」。
街中や公園など、どんな場所にいても風が体を吹き抜けていく。風は表皮にある数多くの神経末端を刺激するが、その風は絶えず変化している。
山歩きの際の風は汗が吹き出した体をいたわってくれる。山頂では、急峻な山肌を風が暖かい空気を斜面に沿って押し上げて作る上昇霧を間近で見ることができる。白い雲が沸き立ち、消える様子は生き物のようだ。
海辺は風を最も強く感じさせてくれる場所のひとつ。波打ち際で風上に向かって並んでいる海鳥から、少し離れたところに座っているのは楽しい時間だ。海鳥と一緒に風を感じていたいが、たいていは根負けして先に立ち上がる。
風の写真が存在しないように、風は見ることができない。ひとつの風が通り過ぎると、また別の風がやってくる。風は不思議で不可解だ。植物学者で動物学者、生物学者、人類学者でもあったライアル・ワトソンは「風の博物詩」のなかで「不可解ながらも否定できない存在である風の二重性こそが、人間の精神活動を誘発した」と書いている。
ワトソンの著作は非科学な作り話もあると言われてるが、博学の士であり、その文章は刺激と感動を与えてくれる。
「風は天の息である」とワトソンはいう。海鳥たちは、その天の声にしっかりと耳を傾けているようだ。天の声を聞き逃さないように、もう一度砂浜に座った。
(メディカルはこだて発行人・編集人)
旧砂原町の砂崎海岸
波打ち際の海鳥
砂崎海岸に立つ灯台