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「ドイツ人司教に対する憤激」と題する『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の記事・

2007年03月11日 | 国際政治
 駐独イスラエル大使のシモン・シュタインは、驚愕と憤激をもって、ドイツの司教会議の常任理事が訪問の間にイスラエルとパレスチナ自治区で下したいくつかの声明に対して反応した。「ワルシャワのゲットーとか人種差別という概念をイスラエル、あるいはパレスチナ政策との連関で用いるなら、一切が忘れられているか、何も学んでいないか、道徳的に駄目であるかいずれかだ」と火曜日にシュタインは述べた。イスラエルとパレスチナとの紛争の一面を悪魔化するか、二重の基準を当てはめているのだと彼は言う。
 その際、シュタインは、アイヒシュテットの司教ハンケの発言に立ち入った。ハンケは、「朝、ヤド・ヴァシエムのショアの記念館で、ワルシャワのゲットーの写真を見、午後に鉄条網と壁を通ってラマラーのようなゲットーに入ることは耐え難い」と述べていた。
アウグスブルグのミクサ司教も、「ゲットーのような状況」について語り、これはもう「人種差別」だと述べた。ケルンのマイスナー大司教は、パレスチナ自治区との間の壁を見るとベルリンの壁を思い出し、ベツレヘムにあるイスラエルの分離壁の影の下で、動物はこのように囲い込まれるが、人間は囲い込まれてはならないと述べた。同時にすべての司教達は、安全な生活に対するイスラエルの権利を主張した。レーマン枢機卿は、「われわれは、テロに脅かされ、その国家としての存在権が多くの人たちによってまだ疑われているイスラエル人の不安については知っている。だが、われわれは、この訪問で、パレスチナ人が置かれているまさに破滅的な状況も知るに至った」と述べた。
 ドイツにある「ユダヤ人中央評議会」の議長であるシャルロッテ・クノープロッホは、司教達の発言を「酷くって受け入れられない」と批判した。「ハンケ司教がワルシャワのゲットーとそこに収容されたユダヤ人の運命とをラマラーのパレスチナ人と比べるならば、それは彼の歴史的知識に重大な欠陥があることを示している、あるいは司教はユダヤ人のホロコースト犠牲者とその子供達を今日加害者にしようと試みているのだ」とクノープロッホは火曜日に述べた。「ミクサ司教は、彼の言葉の選択において、反ユダヤ主義ぎりぎりのところまで近づいている」述べた。
 「ユダヤ人中央評議会」の副議長ディーター・グラウマンは、「このような友人をもっている者には敵なんかいなも同然だ。パレスチナ人の状況をナチのゲットーに入れられたユダヤ人の苦しみと同一視する人は、歴史から何も学ばなかったのだ。この発言は反ユダヤ主義的である」と述べた。
 「緑の党」代表のクラウディア・ロートは、司教達の「受け入れがたい脱線」について語った。イスラエル人に対する正当な批判があるとしても、歴史の中で唯一的に存在するナチのユダヤ人に対する犯罪との比較をしてはだめだ」と述べた。
 「ドイツ司教会議」の事務長であるランゲンデルファーは、火曜日の夕方、ドイツ人司教に対する非難を退けた。彼らの訪問は、「両方の紛争当事国の利害に対する高度の敏感さによって規定されていた」とランゲンデルファーは述べた。ベツレヘムの状況については、「一人一人の訪問者の情緒的な印象に基づいて、いくつかの個人的なコメントが述べられた。それらのコメントは、既に自己批判的に正された」と述べた。その際、ランゲンデルファーは、ハンケ司教の文書による態度表明を引き合いに出した。それによると、ホロコーストの出来事とパレスチナの現在の状況との比較は、受け入れがたく、また意図されたものではないと述べられている。
 定年退職したリンブルグのカトリック司教であるフランツ・カンプハウスは、ドイツのキリスト教徒にイスラエルによって不法に占領されたパレスチナの領土における正義に対して強力に尽力するように呼びかけた。ユダヤ人居住区の建設と壁の建設と分離された道路網とは、パレスチナ人の絶望を深め政治的宗教的過激化を促進している。
[訳者の感想]パレスチナとイスラエルの両方を旅行して、コメントをするとどちらからも批判されることになるようです。この新聞は、司教達のコメントと「ユダヤ人評議会」の
非難とを公平に述べているように思います。いずれにしても今のイスラエルのパレスチナ政策がかなり人種差別的であることは否定できないと私は思います。それがナチの反ユダヤ主義と同程度に不合理であるかどうかは、問題のあるところでしょうが。
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