海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「世界気候評議会は、氷河予測でやっつけ仕事」と題する『シュピーゲル・オンライン』の記事。

2010年01月20日 | 環境問題
研究は、グラハム・コグリーにとって三日三晩かかった。彼はインドの新聞をグーグルし、科学的なデータバンクを捜索した。彼の研究の結果は、彼を非常にがっかりさせた。
なぜなら、このカナダ人の地理学者は、彼の探偵仕事で「国連世界気候会議」が、これまでにもっともひどい科学上の失敗をしたと証明した。問題は、ヒマラヤの氷河についての2007年に作成された2000ページに及ぶ報告書の中の言明である。それによると、世界の屋根の氷河が2035年には消失していることは大いにありうると書かれている。
第10.6.2章の493ページでは、「その全表面積は、恐らく2035年までに現在の50万平米から10万平米にまで縮んでいるだろう」と書かれている。気候保護者や政治家たちはこの箇所を取り上げた。氷河が溶けると、アジア、特にインドと中国の10億人にとって水の供給が脅かされる。
だが、「科学者会議」のこの主張はいま消えかかっている。資料として、IPCCは、環境組織「世界自然のための基金」の報告を挙げている。だが、コグリーは、その資料が研究者仲間によって認められた専門雑誌に掲載された科学的研究ではなかった。「私は、インド人の氷河研究者とのインタービューを掲載した通俗科学雑誌『新しい科学者』の記事を見つけた」とコグリーは、『シュピーゲル・オンライン』に述べた。
彼は長いことヒマラヤ氷河についてのIPCCの報告を疑っていた。なぜならば、融解率がどんなに大きくても、数百メートルの厚さの氷は、2035年までには溶けないだろうからである。「それは表面的な読み方でもおかしいと思われる。」
だが、彼の嫌悪は、憤慨に変わった。なぜなら、50万平米から10万平米までのヒマラヤ氷河の縮小が予測された学問的論文を見つけた。それは、ロシアの氷河研究の最長老であるヴラジーミル・コトリアコフによって1996年に書かれたものだ。
だが、コトリアコフは、その当時おおざっぱな計算をし、2350年にはヒマラヤ氷河の5分の1しか残っていないだろうと予測したのだ。2035年とで315年も違う。「どうしてこんな大きな間違いが、IPCCを通り抜けたのか想像するのも困難だ」とコグリーは口角泡を飛ばして言った。(後略)
[訳者のコメント]沢山の科学者が誤りに気づかないということがあり得るのでしょうか?信じられませんね。
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