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難病疾患指定306に大幅拡大 医療費助成の対象、7月にも

【出典:2015年4月18日 日本経済新聞】

 医療費助成の対象となる難病が7月にも大幅に増えることになった。厚生労働省がこのほど新たに196疾患を指定、計306疾患となる。これまで重い医療費負担にあえいできた患者や家族から歓迎の声があがるが、医療費以外の支援などの課題も残る。

 「やっと選定された。うれしい」。今回新たに対象に選ばれた、全身の筋力が次第に低下する「筋ジストロフィー」を患う会社員の小沢綾子さん(32)は笑顔を見せる。

 国内の患者数は推計約2万5千人。症状が進むと、骨格筋に加えて心筋や横隔膜の筋肉も衰え、心不全や呼吸不全で命を落とす恐れもある。小沢さんは子供の頃から徐々に歩きにくくなり、20歳で診断された。半年に1回、検査などで通院。外出時には杖(つえ)が欠かせない。

 昨年5月に難病医療法が成立し、難病患者への支援が見直された。対象疾患が増え、重症患者の医療費助成が手厚くなった。小沢さんのように治療法が確立していない病気の治療は健康保険だけでは患者の負担が重い。自治体によっては独自の助成をしているケースもあるが、十分とは言い難い。

 小沢さんの場合、検査やリハビリで多い月は約4万円かかる。新制度でこれが3万円以内に抑えられる見通しだ。今後症状が進行しても増えないため、「助成があれば安心」と小沢さん。「治療法の開発にもつながってほしい」と期待する。

 筋力の低下で呼吸などが困難になる「先天性ミオパチー」を患う北九州市の伊藤亮さん(23)も「認知が広がり、全国の患者数の把握につながる」と新たな選定を喜ぶ。指定を受けたことで経済的な支援だけでなく、周囲の理解が深まることなども期待できる。

 ただ難病患者にとって、治療費以外にも課題はある。伊藤さんは健常者の8分の1程度の肺活量しかなく、専用の呼吸器が手放せない。「簡単に扱える小型呼吸器の開発など生活の質向上にも目を向けてほしい」と話す。子供の頃、自身の診断が遅れて症状が悪化した経験から、「迅速で確実に難病と診断できる医療体制の構築も重要だ」と指摘する。

 指定を受けた難病は306疾患となるが、対象から漏れた患者からは落胆の声も聞かれる。全身に耐えられないほどの激しい痛みが続く「線維筋痛症」は指定を受けられなかった。推定患者数は約200万人とされ、選定要件の約18万人を大きく上回ることなどが理由とみられる。患者団体代表の橋本裕子さん(60)は「痛みで働くことができない患者も多く、患者数の多寡で助成対象の枠を決めないでほしい」と憤った。

 厚労省は今後も最新の研究データなどを集め、追加するかどうかを検討する。日本難病・疾病団体協議会の伊藤たてお代表理事は「まだ多くの疾病が対象から漏れている。国は患者の声も聞いて、さらに対象を増やしてほしい」と話す。
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全身痛む難病の正確な診断法、北大が開発

【出典:2015年4月9日 日本経済新聞】

 北海道大学の若尾宏准教授らは、全身に痛みが続く難病の「線維筋痛症」を正しく診断できる手法を開発した。血液中に含まれる10種類のたんぱく質の量を調べ、この病気を発症しているかどうか判断する。今後、企業と協力し診断キットなどとして早期の実用化を目指す。成果は米科学誌プロスワンに9日掲載される。

 線維筋痛症は全身で痛みが3カ月以上続く。耐えられないほどの激しい痛みを感じる例もある。疲労や不眠など様々な症状が表れるが、原因はよくわかっていない。国内の患者は女性を中心に推定で約200万人いる。

 現在は首や肩など基準となる箇所を医師が押し、痛みがあれば線維筋痛症と診断している。ただ、全身の痛みを伴う病気には関節リウマチや脊椎関節炎などもあり、正確に診断するのが難しかったという。客観的に診断できる手法の開発が求められていた。

 研究チームは免疫を担う細胞の一種に注目した。患者と健常者の計50人ほどから血液を採取し、免疫細胞を詳しく比較した。細胞表面にある10種類のたんぱく質の量をもとに、健常者や関節リウマチ患者などと区別が可能なことを確認した。
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進行肺がん、新薬続々 分子標的薬や免疫薬 5年生存率の改善に期待

【出典:2017年1月29日 日本経済新聞】

 肺がんは日本人のがんの中で、最も死亡数が多いがんだ。年間11万人以上が発症し、7万人以上が死亡する。かつては、ほかの臓器に転移したり再発したりすると、治療の選択肢がほとんどなかった。だが最近では様々なタイプの抗がん剤が登場し、打てる手が広がってきた。5年生存率も伸びると期待されている。

 湘南ベルマーレフットサルクラブの久光重貴選手(35)は2013年、シーズン前のメディカルチェックで鎖骨の裏に影があると言われた。精密検査で、肺がんが首のリンパ節に転移したものと判明。医師から「手術や放射線治療はできない。抗がん剤による治療になります」と告げられた。

 がんの遺伝子を調べ、「イレッサ」という薬が効くタイプだとわかった。服用を始めると、3センチあったがんが1センチまで縮小。だが1年3カ月ほどで効果が低下したため、開発中だった「タグリッソ」という薬の臨床試験(治験)に参加した。がんは再び小さくなり、久光選手は今も現役で試合に出場している。

 肺がんの進行を4段階に分け、最も進んだ状態を「Ⅳ期」と呼ぶ。がんが骨や脳に転移したり、肺や心臓の周囲に水がたまったりしている状態だ。

 がん研究会有明病院の西尾誠人・呼吸器内科部長はⅣ期の肺がんについて「現在は根治はしないが、治療の選択肢が広がったことで、長く生きられる時代になった」と話す。

 転機となったのは02年に登場した分子標的薬「イレッサ」だ。Ⅳ期でも延命が期待できるようになった。分子標的薬は、がんの増殖を促す特定の「ドライバー遺伝子」を持つ細胞だけに働き、正常細胞には影響しにくい。あらゆる細胞の増殖を抑える従来の抗がん剤に比べ、効果が高く副作用は少ないとされる。

 分子標的薬は、標的となる遺伝子に変異があるがんに投与する。イレッサは「EGFR」と呼ぶドライバー遺伝子に変異があるがんが対象だ。肺がん全体の約6割を占める肺腺がん患者のおよそ半分に相当する。

 イレッサの登場以降、分子標的薬が次々と開発された。国立がん研究センター研究所の河野隆志・分野長は「肺がんでは少なくとも8種のドライバー遺伝子が見つかっており、これらをターゲットにした臨床試験が進んでいる」という。国立がん研究センター東病院は「RET融合遺伝子」というドライバー遺伝子を持つ患者に、甲状腺がんの分子標的薬が有効なことを治験で確認した。

 一方、課題も見えてきた。投与するうちに薬の効きが悪くなり、再びがんが増殖し始めることが多いのだ。イレッサは1年~1年半で耐性が生じる。12年に承認された「ザーコリ」も、投与から1年ほどで効かなくなる例がある。

 こうした耐性がんへの対策も進む。イレッサ耐性の約6割は「T790Mという遺伝子の変異が原因だ。タグリッソはこの変異で耐性になったがんの治療薬で、昨年3月に承認された。

 血管新生阻害剤と呼ぶタイプの治療薬も09年に登場した。がんが増殖するのに必要な栄養を取り込むために新たな血管を作るが、これを防ぐ。ドライバー遺伝子の変異が見つからなかった場合、従来の抗がん剤と併用する。

 効果が期待される一方で高額な薬剤費が問題になっている免疫薬にも、新薬が登場している。昨年12月に承認された「キイトルーダ」だ。

 がん細胞の表面にしばしばみられるPD―L1というたんぱく質は、がんを攻撃する免疫細胞のたんぱく質に結合し、免疫細胞への防御壁を築く。この結合を妨げ、がんの防御壁を壊す薬を「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ぶ。15年に、非小細胞肺がんに対する初の免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」が承認された。

 キイトルーダは第2弾で、オプジーボが従来の抗がん剤による治療が終わってからでないと使えないのに対し、最初の治療から使える。ただしEGFRなど特定の遺伝子異常がなく、50%以上のがん細胞にPD―L1ができていることが条件だ。こうしたがんの場合、従来の抗がん剤を使った治療より効果が高いことが明らかになっている。

 「新しい薬が次々に出ているので、5年、10年先には、治る薬が出てくるかもしれない」。久光選手は希望を持って、トレーニングを続けている。

◇     ◇

■重篤な副作用も 注意必要 学会、注意喚起の声明文

 新薬が出るたびに注目が集まるが、過度の期待は禁物だ。例えば、初の免疫薬となった「オプジーボ」は従来の抗がん剤治療が終わった後に再発した患者に使えるが、効果があるのは2割程度。従来の抗がん剤に比べて一般に副作用は軽いとされるが、間質性肺炎のほか劇症1型糖尿病など従来にはなかった重篤な副作用も報告されており、十分な注意が必要だ。

 日本肺癌学会は「現在では肺がん治療に欠かせないイレッサだが、安全で効果的な使用が根付くまでに大きな犠牲が払われたことを肝に銘じておく必要がある」として、注意喚起の声明文を医療者や患者などに公開した。

 厚労省も、「オプジーボの最適使用推進ガイドライン案」を作成。医師や施設の要件に加え、「非扁平(へんぺい)上皮がんでは、PD―L1が1%未満の場合は従来の抗がん剤を優先すること」などの条件をつけた。従来とはまったく異なる仕組みで効くだけに、慎重な対応を求めている。
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不妊治療費用 クラミジア検査600-900円、体外受精は20-60万円

【出典:2010年9月28日 NEWSポストセブン/女性セブン2010年9月16日号】

 今年8月、自民党の野田聖子衆議院議員が、50才を目前にして、米国で卵子提供による体外受精で妊娠していたことが明らかになった。産みたいけど産めない女性にとっては、不妊治療が“残された希望”。日本で不妊治療するといくらくらいかかるのだろうか?

(保険内で賄える項目)

【問診・指導】 

600-900円。専門医が治療歴や生活状態を聞き、基礎体温の正しい測り方などを指導。

【検査】

・子宮卵管造影検査:2800-4200円。エックス線撮影をして卵管に詰まりがないかを調べる必須の検査。

・血中ホルモン値測定:1000-2000円。排卵前と排卵後に採血して女性ホルモンの値などを調べる。

・超音波検査:1100-1650円。子宮や卵巣に異常がないか、超音波で調べる。卵胞のサイズや数も確認。

・クラミジア検査:600-900円。卵管閉塞などを引き起こすクラミジア感染の有無を調べる必須の検査。

・フーナーテスト:200-300円。排卵日のセックス後、子宮の粘液を調べて精子数などを見る。

・精液検査:800-1200円。パートナーの精液に含まれる精子の数や運動状態などを調べる。

【治療】

・タイミング療法:2000-3000円。超音波検査などで妊娠しやすい排卵日を正確に測定。セックスをするタイミングを指導される。

(保険外の項目)

・人工授精:1万-3万円。採取した精子を人工授精用の注射で子宮内に注入する。

・体外受精:20万-60万円。培養液中で精子と卵子を受精させて受精卵をつくり、子宮に戻して着床させる。

・顕微授精:30万-70万円。体外受精の一種で、精子の運動率が悪い場合に行う。
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カナダ、医師の手助けによる安楽死容認 連邦最高裁判決

【出典:2015年2月7日 日本経済新聞】

 カナダ連邦最高裁は6日、病気で耐え難い苦痛を強いられ、治療法がない患者について、医師の手助けによる安楽死を認める判決を出した。神経が侵され、提訴後に死亡した2人の女性側が容認を求めていた。判決は連邦と各州の政府に対し1年以内の法制化を命じた。

 欧州各国や米国の一部の州は一定の条件下で、医師が致死量の薬剤を処方し、患者自身が服用することを認めているが、批判も強い。昨年11月、合法化されている米オレゴン州で、脳腫瘍で余命の短い29歳女性が自ら死を選択し関心を集めたが、今回の判決で「死ぬ権利」を巡る議論が加速しそうだ。

 カナダ放送協会(CBC)などによると、判事9人全員が一致。判決は「人生の最期に関する個人の選択は尊重されるべきだ」と論じた。1993年には僅差で違法判断を示していた。

 カナダの法律は終末期の患者に対する延命治療の中止や苦痛緩和の措置を認めてきた。判決は肉体的な病気だけでなく、精神疾患も含めた。いずれも責任能力のある成人が対象になる。

 女性2人のうち1人は外国人の安楽死を認めるスイスで死亡し、別の1人は筋萎縮の病気で死亡した。

 マッケイ法相は判決内容を慎重に検討すると表明した。宗教系のシンクタンクは「命は尊く、医師の殺人は認められない」と判決を批判した。
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米女性「尊厳死」、日本にも波紋 安楽死認められず

【出典:2014年11月6日 日本経済新聞】

 脳腫瘍で余命宣告を受けた米国人女性(29)が予告通りに実行した「尊厳死」は、日本国内にも波紋を広げた。医師から処方された薬を使って自らの死期を定める行為は、日本では安楽死に当たるとされ、認められていない。他方、終末期の延命措置の中止を望むケースは国内でも増加しており、専門家は「タブー視せずに国民全体の議論が必要だ」としている。

 米国人女性の死について、医療倫理に詳しい東京大の清水哲郎特任教授は「予告があったことで話題になったが、州法で『尊厳死』を認めているオレゴン州では珍しいことではない」と説明。「医師にほう助された自殺といえる行為」と話す。

 日本では、今回のように医師が死期に積極的に関与する場合は「尊厳死」ではなく「安楽死」と呼ばれる。終末期の患者に致死性の薬を処方したり、死期を早める処置をとったりすれば、自殺ほう助罪や殺人罪に問われる可能性が高い。

 一方、患者の意思を尊重して人工呼吸装置や胃瘻(いろう)による延命措置をしない「尊厳死」は、終末期医療の現場で定着しつつある。

 延命治療のあり方の見直しを求める日本尊厳死協会(東京・文京)には尊厳死を望む約12万人が会員登録し、延命治療を不要とする意思を明記した「リビングウィル」(尊厳死の宣言書)を作成。死亡した会員の遺族に対する2013年の調査では、回答を寄せた863人のうち約90%が「生前の意思が生かされた」と評価した。

 同協会の長尾和宏副理事長(56)は「今回のケースは安楽死に当たり、自ら命を絶つ行為には反対だ」と強調したうえで、「穏やかな最期を求める患者や家族をサポートする体制づくりを進めていくべきだ」と訴える。

 患者本人の意思が確認できない場合に家族などの判断で延命措置を中止できるかどうかは、意見が分かれているのが現状。終末期医療に関する厚生労働省のガイドラインでも明確な対応は記載されていない。

 超党派の議員連盟が延命治療の中止に関する医師の免責規定を盛り込んだ法案をまとめているが、生命倫理の観点から反対する声も根強く、提出には至っていない。

 オランダで安楽死の実態を調査した経験のある筑波大の土本武司名誉教授(刑法)は「日本では与えられた生命を全うするとの考えが強いが、患者本人が死期を選択するとの考えも出てきている」と指摘。「国は生命倫理や終末期医療に関する国民的な調査を改めて実施し、さらなる議論を喚起すべきだ」と話している。
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ベルギー、安楽死の年齢制限を撤廃へ

【出典:2014年2月14日 日本経済新聞】

 ベルギーは、安楽死に対する年齢制限をなくす。現在は18歳以上で患者の自発的な判断があったうえで「耐え難い苦痛」など特定の条件を満たせば医師の処置による安楽死が認められているが、今後は低年齢の子供も対象になる。同国内では支持する人が多い一方、一部の医師や宗教団体には反対論もあった。今後、国際的な議論を呼びそうだ。

 ベルギー議会の下院が13日、安楽死に関する法改正案を賛成多数で可決した。子供も大人と同じく自分で生死を決める権利があるとの考えが支持を集めた。上院は既に昨年12月に可決しており、国王が署名すれば施行される。

 オランダでは12歳以上の安楽死が認められているが、法律で年齢の制限をなくすのはベルギーが初めてという。安楽死を決断できるようになる時期は個人によって異なるため、年齢で区切るべきでないとの認識が背景にあるようだ。

 今回の改正案では、子供が安楽死を選択する際には、これまでの条件に加え、親の承諾や本人の判断能力を確認することが求められる。一部には子供が本当に冷静な判断をできるのかといった議論もある。

 ベルギーでは2002年に特定の条件下での安楽死が合法化され、現地報道によると12年には年間1432件の安楽死が報告された。
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自殺幇助合法のスイス 自国で安楽死できぬ外国人に機会提供

【出典:週刊ポスト2013年10月25日号】

 オランダでは、2001年4月、世界で初めて安楽死法が成立し、翌年4月に施行された。オランダの他、国によって事情は違うが、ベルギーやスイス、アメリカの4州の法律で安楽死は認められている。

 いうまでもないが、日本では安楽死は認められていない。とはいっても、日本人が安楽死を選ぶ道がないわけではない。

「自殺幇助」が合法であるスイス──。1998年、チューリヒに設立された団体「ディグニタス」は、安楽死の機会を、自国の法律で禁じられている外国人に対して提供している。

 過去10年間で1000人以上の外国人の安楽死を手助けし、州警察の集計では、2011年には計144人(うち、外国人141人)に対して処置を行なった。その多くはドイツ人で、不治の病の末期患者だという。同団体の活動によって、スイスは世界中から「安楽死旅行(デス・ツーリズム)」の患者が集まる土地になっている。

 日本国内では近年、安楽死とは異なる「尊厳死」が徐々に広まっている。日本尊厳死協会副理事長で、長尾クリニック院長の長尾和宏氏が解説する。

「人為的に薬物で死期を早めることはなく、終末期に人工呼吸や胃ろう、人工透析などの延命治療をせず、自然な経過に任せるというのが尊厳死です。自然死、平穏死とも呼ばれます。

 たとえば、末期のがんであれば、過剰な抗がん剤治療を続けて最後の最後まで痛みに苦しむのではなく、緩和ケアを受けながら自然に死を迎えるというものです。私は勤務医時代に病院で500人以上、かかりつけ医として自宅で700人以上を看取ってきましたが、後者のほうが患者の最期の苦しみは穏やかで、家族の満足度も高いと感じてきました」

 法的に禁止されている安楽死とは違い、尊厳死は通常の医療行為の範疇と考えられている。日本の医療現場でも本人や家族、医師の判断で尊厳死は行なわれているのが現実だ。簡単にいってしまえば、9割が病院で死ぬ時代に、“家の畳の上で死にたい”と、自宅で看取られることを希望する1割の人の多くは、尊厳死を選択したということになる。

 日本尊厳死協会の会員が1990年の1万2000人から、現在では12万5000人に増えていることからも、認知度が高まっていることがわかるだろう。
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覚えておきたい「尊厳死の3要件」「安楽死の4要件」

【出典:週刊ポスト2010年12月17日号】

 未曾有の高齢化社会の到来を前に、人間が人間としての尊厳を保ちながら死ぬ「尊厳死」、患者の求めに応じ、医師などが積極的あるいは消極的手段によって死に至らしめる「安楽死」に注目が集まっている。尊厳死と安楽死を満たす要件は以下の通りだ。

●「治療行為の中止(=尊厳死)」の3要件

【1】患者が治癒不可能な病気に冒され、回復の見込みがなく、死が避けられない末期状態にある。
【2】治癒行為の中止を求める患者の意思表示か、家族による患者の意思の推定がある。
【3】「自然の死」を迎えさせる目的に沿った決定である。

●「安楽死」の4要件

【1】患者が耐え難い肉体的苦痛に苦しんでいる。
【2】死が避けられず、死期が迫っている。
【3】肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くし、ほかに代替手段がない。
【4】生命の短縮を承諾する患者の明示の意思表示がある。

(「安楽死」「尊厳死」ともに1995年3月の東海大安楽死事件・横浜地裁判決による)
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小錦が受けた精巣の切開手術は1回50万円で保険適用外

【出典:2010年9月15日 NEWSポストセブン/週刊ポスト2010年9月10日号】

 元大関・小錦は子供の誕生を渇望していたが、医者から「精子がいない」と告げられた。その後様々なトライをしたものの、精子は見つからず、遂に「最終手段」ともいえる「キンタマを切開する」手術を受けた。だが、これでも小錦の体から精子は採取できなかった。そんな小錦が、不妊治療にかかる「お金」について語る。

「日本は不妊治療に保険が適用されないから、治療にものすごくお金がかかる。これも夫婦にとって大きな負担になるよね。僕の場合、精巣の切開手術で1回50万円。精子が見つかる確率はだいたい30%だっていうから、ギャンブルみたいな手術に50万円も払うってことでしょ。

 運良く精子が見つかって体外受精することになったら、さらに費用がかさんで100万円は見ないといけない。僕は自分が経験して思ったの。日本は今、少子化問題を抱えているんだから、国として不妊に悩む人たちへのサポートを考えるべきだよ。保険の適用はすぐにでもするんじゃないかな」

 現在、不妊治療の大部分は健康保険が使えない。保険が使えるのは、女性の排卵日を検査薬などによって予測し排卵日前後に性交を行うタイミング法や、排卵誘発剤による治療などに限られる。この場合、1回、数千円程度で治療を受けられる。

 それ以外の人工授精や体外受精、あるいは小錦が受けたような切開手術は保険の適用外で、不妊症患者にとって大きな負担となっている。
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健康男の精液は精子4000万個含む うち半分が元気なら妊娠可

【出典:2011年9月29日 NEWSポストセブン/週刊ポスト2011年10月7日号】

 不妊の原因は男女ほぼ半々といわれている。通常、健康な男性の精液量は2cc以上で、1ccの精液中に2000万個以上の精子が存在し、50%以上が元気に動いていれば自然妊娠が可能だ。

 しかし、精子数が少なかったり、運動率が低いと自然妊娠しにくい。さらに2回の精液検査で精子が発見されないと無精子症と診断される。無精子症の原因は、精子は正常に作られているが通り路に問題があって精子が外に出られない閉塞性無精子症と、精巣の精子を作る働き自体が低下している非閉塞性無精子症の2つに分けられる。男性不妊治療専門の恵比寿つじクリニック(東京都渋谷区)の辻祐治院長に聞いた。

「無精子症が閉塞性か、非閉塞性かを判断することは難しいのですが、基本的には血液中のFSHというホルモン値を測って判断します」

 FSHは下垂体の性腺刺激ホルモン産生細胞から分泌されるホルモンで、精巣での精子製造をコントロールしている。脳のセンサーが、精子が作られていないことを感知するとFSHを大量に分泌して精子の製造を促すと考えられており、数値が高ければ非閉塞性であると思われる。

 しかし、脳は精子を作っているかどうかのおおよその感知はできるが、体外に出ているかを判断することはできないため、FSH値が上昇していない場合は閉塞性の可能性が高い。しかし、非閉塞性でも数値が高くない人もいるため、精巣の大きさや精子の通り路を超音波検査で調べることで総合的に判断する。
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1mlあたりの精子の数 40代は8400万個、20代は4600万個

【出典:2011年12月11日 NEWSポストセブン/週刊ポスト2011年12月16日号】

 食品安全を越えた〈命の危機〉に直結する〈F1種〉というタネが、アメリカからなだれこんでくるという。タネが日本人を滅ぼすのか!?〈無精子症〉〈精子減少〉について、作家の山藤章一郎氏がレポートする。

* * *

 「医者に『精子がぜんぜん動いてないですね』といわれました。以前の診療時も、精子の運動率が低く、10%台だったのですが、こんどはまったく0%。数は多いのですが、パソコンの画面の中で精子そのものはぜんぜん動かない。頭の中が真っ白になりました」

 不妊治療に訪れた男性が不安を訴える。

 衝撃のレポートがある。20代男性の精子数は、40代前後にくらべて半数ほどしかない。

 1ミリリットルあたりの平均精子数――40代は8400万個、20代は4600万個という数値が出た。(帝京大学医学部調べ)

 日本だけではない。デンマークの医師も40代7800万個、20代4580万個と、日本と変わらない数値を発表している。20年間で、3200万~3800万個の精子が減少したことになる。

 厚労省は「仮説の段階だ」として規制に乗り出してはいないが、学校給食、インスタントラーメンのカップ容器、水道水、さらに広範囲に、若者の食生活から検出される環境ホルモン=内分泌攪乱物質が、不妊や少子化にいたる原因ではないかという学者もいる。

 『はらメディカルクリニック』原利夫院長の分析。

 「環境ホルモンがいわれ始めた20年ほど前から、精子減少、女性ホルモン化が分かってきました。レイチェル・カーソンが『沈黙の春』でワニのメス化、サカナのメス化は、一部、食品容器に含まれている化学物質による作用かと指摘しました。以来、それが睾丸にある種の害を及ぼして、精子数を減少させているのではないかと。

 ほかにも工場排水、電柱の変圧器から漏れ出してくる物質、たばこ、牛を早く出荷させるため、鶏に卵をたくさん産ませるためにエサに混ぜる成長ホルモン剤など、奇形の精子、不妊の問題にまで広がって、なにが精子減少を引き起こしているのか、解答は容易ではないのです」
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体外受精の着床率 年齢とともに下がり、40才以上では1割

【出典:2012年1月14日 NEWSポストセブン/女性セブン2012年1月19・26日号】

 現在、日本では不妊治療の患者数は推計で46万人を超えるといわれている。1983年に国内最初の体外受精による赤ちゃんが誕生。2005年には、全出生児の約1.8%が体外受精で生まれている。産婦人科専門医の宋美玄さんと、医療ジャーナリストの熊田梨恵さん。医療の最前線にいるふたりが、不妊治療について語り合った。

 * * *

 熊田:セックスのタイミングや頻度をアドバイスする「タイミング法」でうまくいかなければ、いよいよ人工授精ですか?

 宋:そうですね。まだフレッシュな状態の旦那さんの精子を持ってきてもらって、処理して子宮の中に注入します。とはいっても精子を1時間以内に持ってくるのは難しい場合もあるので、そのときは病院で旦那さんに採精してもらいます。それでできなければ、精子と卵子を外に取り出した状態で受精させる体外受精です。
 原則として女性に排卵誘発剤を投与して、たくさんできた卵子を吸い取ります。培養士と呼ばれる専門職が、取り出した卵子に精子を振りかけて、受精させます。

 熊田:ここで受精に成功したら、一安心ですか?

 宋:いやいや、受精した受精卵を子宮に戻すんですけど、3個戻したとしても1個以上が着床する確率は3割なんです。多く戻すと多胎になりやすいので、最近は基本的に1個しか戻しません。

 熊田:えーっ! せっかく受精できても、着床するのはたった3割なんですか? まあ、自然妊娠の確率が3割だったことを考えれば一概に低い数字ではないのかもしれませんけど、体外授精をしたからといって高い確率で妊娠できるわけじゃないんですね。

 宋:高齢になったらもっと着床率は下がって、40才以上になったら1割、45才過ぎるとゼロになります。人工授精は保険外診療なので医療機関によって値段は違いますけど、大体1回で10万円以上はしますし、高いところは結構な値段します。

 これが何回も続いていくと金銭的な負担はもちろん、精神的に追い込まれてくるかたも多くおられます。頻繁に通院しないといけないので仕事にも影響して、不妊治療のために仕事を非常勤にした友達の女医もいましたわ。着床しても、必ず出産できるわけじゃなくて、トラブルも起こり得ますからね。
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流れる血、服は切れ... 病院職員「大変なことに」

【出典:2016年1月15日 共同通信社】

 乗客は頭や顔から血を流し、服は切れていた―。長野県軽井沢町のバス事故は負傷者が多数に上り、周辺の病院に分散されて搬送。未明の発生にスタッフは慌ただしく対応に追われた。

 「大変なことになった」。男性3人が運ばれ、うち2人が死亡したという軽井沢病院(同町)では、1階受付前のスペースで事務職員が報道関係者に対応。「亡くなった2人は若かったと聞いている」とし、「詳しいことは警察に問い合わせてほしい」と繰り返した。

 くろさわ病院(長野県佐久市)には男性4人が搬送された。黒沢一也(くろさわ・かずや)院長は「当直医の話では、搬送時は顔や頭から血が出ていて、服も所々切れていた。何人かは学生のようだ。パニックになっている様子はなく、落ち着いている」と話した。

 10~20代前半の男女5人が搬送された金沢病院(佐久市)。早朝から人けのない廊下を、緊迫した表情のスタッフが走り回っていた。事務長は「骨折した人もいるが、いずれも命に別条はない」と説明した。

 小諸厚生総合病院(長野県小諸市)には午前4時ごろ、女性4人が次々と運び込まれた。病院によると20~30代で重傷だが、意識はあるという。家族とみられる男性が「事故の件で来た」と、受付に声を掛け、青ざめた表情で入っていった。

 午前4時40分ごろに若い男性が搬送されたのは高崎総合医療センター(群馬県高崎市)。肋骨(ろっこつ)や鎖骨を折っており、事務スタッフによると「意識不明の重体で予断を許さない状態」という。

 群馬大病院(前橋市)では東京在住の20代男性が、集中治療室(ICU)で手当てを受けた。事務職員は「胸を打ち、背骨を骨折しているが、名前を口にするなど会話はできる。家族が向かっている」と冷静に話した。
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大原麗子、安岡力也も罹ったギラン・バレー症候群とは何か

【出典:週刊ポスト2011年4月8日号】

 風邪や、細菌性下痢が治った数日後に急に手足がしびれたり、力が入らなくなるのがギラン・バレー症候群だ。免疫システムの異常によって抗体やリンパ球が神経を攻撃するもので、急激に悪化して寝たきりになることもある。1か月程度で進行は治まるが、ときには呼吸不全などを起こすこともある。早い時期から血漿交換や、免疫グロブリン大量療法を実施する。

 ギラン・バレー症候群は、手足を中心に身体が運動麻痺を起こす、急性の末梢神経の病気だ。カンピロバクター、マイコプラズマなどの細菌や、ウイルスによる呼吸器や消化器感染が起こった1週間から10日後程度で発症することが多い。

 急に手足がしびれたり力が入らなくなり、日に日に症状が悪化して歩けなくなって寝たきりになったり、呼吸不全や自律神経の障害による不整脈を起こすこともある。地域、年齢を問わず、誰でも発症する可能性があるが、男性が女性よりもやや多い。近畿大学医学部附属病院神経内科の楠進教授に聞いた。

「近年の研究で、急性期患者の血中の約60%に、神経系の細胞膜の構成成分であるガングリオシド(糖脂質)に対する抗体が検出されることがわかっています。細菌がガングリオシドに似た構造を持つために、細菌を攻撃する抗体が、間違って神経細胞を攻撃すると考えられています」

 従来は末梢神経の周囲を覆う髄鞘(ミエリン)が障害される脱髄性多発神経炎と考えられてきたが、神経の軸索自体が障害される例もあることがわかってきた。全体的に前者の症例が多いが、欧米に比べると日本を含むアジア圏では後者の比率が多い。
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