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(患者を生きる:3303)我が家で 腹膜透析:2 管理大変でも…決意固く

【出所:2017年5月16日 朝日新聞】

 福岡県田川市の吉田秀文さん(66)は、がんで左右両方の腎臓を失い、2006年に週3回の血液透析を受け始めた。だが、通院が必要でほぼ1日がかりになる透析は重い負担だった。

 当時、友人が経営する建材会社で営業の仕事を手伝い、やりがいを感じていた。「この先、引退してせっかく自由な時間ができても、このままでは充実した生き方ができない」と不満が募った。その中、気になったのが腹膜透析だった。ネットで情報を集めるなど、自分で調べ始めた。

 腹膜透析は自分のおなかの「腹膜」を利用する。透析液を体に入れて、腹膜を通して水分や毒素を透析液へ移動させる。自宅で自分でできるため通院の負担が減るし、時間も調整しやすいことがわかった。吉田さんは「生活の質は向上できるはずだ」と考えた。

 2015年、仕事から完全に退いた。翌年、妻も退職したのを機に決心した。

 16年4月、血液透析に通っていたクリニックで紹介状を書いてもらい、田川市立病院を訪れた。医師の大仲正太郎(おおなかしょうたろう)さん(37)に向き合い、「腹膜透析に移行したい」と告げた。

 大仲さんは、腹膜透析の利点は、部分的に腎機能が残っている場合に、その機能をより長く保てることだ、と説明した。腎機能が低下した人が、血液透析を続けていると、やがて尿がまったく出なくなる。腹膜透析を併用すれば、尿が出る期間を延ばせる。

 だが、腎臓が左右ともにない吉田さんは、この利点を生かせない。「血液透析が安定している患者さんが、あえて腹膜透析に移行するケースはまれですよ」。大仲さんは、機能がゼロの場合、腹膜透析には医学的メリットがないことを伝えた。

 日を改めて、吉田さんの妻彰子(あきこ)さん(66)にも同席を求めてさらに説明した。自己管理の大変さや家族の支えも必要だ、と念を押した。

 それでも吉田さんの気持ちは変わらなかった。彰子さんも「あなたの決断ですから」と夫の考えを尊重した。意思の固さを確かめると、大仲さんは翌5月、腹膜透析に必要なカテーテルを体内に入れる手術をした。(
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