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ハンター症候群、薬の効果、脳の「関門」突破 近く治験

【出所:2017年3月20日 毎日新聞】

 全身の細胞に不要になった物質がたまり、さまざまな症状が表れる難病「ハンター症候群」で、これまで治療法がなかった知的障害の改善を試みる薬の治験を、製薬会社JCRファーマ(兵庫県芦屋市)が3月末から始める。薬を点滴で投与し、脳の血管の「関門」を通過させて神経細胞に届ける技術を開発した成果で、今後、アルツハイマー病など他の脳神経疾患の治療薬への応用が期待できる。

 ハンター症候群はムコ多糖症という遺伝性難病の一つ。ムコ多糖は細胞同士の接着に使われ、常に合成と酵素による分解が繰り返されている。しかし、患者はこの酵素が生まれつきできないか働きが弱く、不要物が細胞内に蓄積する。その結果、気管支や心臓の病気、肝臓などの肥大、関節のこわばり、知的障害など全身に症状が出る。

 多くの患者を診療する国立成育医療研究センター(東京都)の奥山虎之・ライソゾーム病センター長によると、ハンター症候群は男児にのみ表れるのが特徴で、国内では年間5~10人が病気を持って生まれ、現在は200人弱の患者がいると推計される。7割ほどが重度の知的障害を伴う。4~5歳ごろから障害が進行し、最終的には意思疎通ができなくなる。

 かつては未成年で死亡する患者が多かったが、現在は必要な酵素を供給する点滴薬のおかげで体の症状は改善できるようになった。しかし、脳には有害物質の流入を防ぐため、決まった物質以外は血管の壁を通さない厳重な仕組みがある。同社は決まった物質と一緒に必要な酵素を通過させる技術を開発した。

 動物実験では効果が確かめられたという。マウスでは1カ所だけ足の着く場所があるプールに放って泳がせる実験をした結果、病気を発症させたマウスは足の着く場所を全く覚えられなかったが、薬を投与すると正常なマウスと同等の記憶・学習能力が回復した。サルの実験では、投与後に脳内に酵素が届いていることが画像検査で確認された。

 奥山センター長は「初期に投薬を始められれば、症状が改善する可能性がある」と話す。
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