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AIが病理診断 専門医不足カバー がん大国白書 第5部 生きる力に/1(その1)

【出所:2017年3月21日 毎日新聞】

 囲碁のトップ棋士を破り、蒸気機関、電力、コンピューターに続き第4の産業革命を生むともされる人工知能(AI)が、がん医療にも広がろうとしている。日本病理学会が今年2月、AIを使ったがんの画像診断技術の開発を公表した。病理医は体内の組織を顕微鏡で観察し、がんなどの病気を診断する。しかし、病床数400以上の全国の病院(約700施設)の約3分の1には、常勤の病理専門医がいない。常勤医がいても半数近くは1人。病理医不足の救世主として「AI」が注目されている。

 ホルマリン漬けにした臓器片を切り、ろうで固めて標本(縦約3センチ、横約8センチ)を作る。それを顕微鏡でのぞき細胞の形から病気の有無を判断する。がん診断に欠かせない病理医の仕事だ。

 がん患者の増加や抗がん剤の効果を調べる検査などが加わり、病理診断の数は2005~15年で約2倍に増えた。裏方の病理医は人気が低く、病理医1人当たりの仕事は増える一方だ。病理診断のミスは「命」と直結する。

 病理学会は、この仕事にAIを導入するため、東京大病院、九州大病院など計29機関が参加し、システム開発を始めた。開発に加わる富山市民病院病理診断科の斎藤勝彦部長は、がんが再発した患者を診断するとき、患者の過去の標本を別室の管理棚から探して比べていた。病院の病理医は斎藤部長だけ。「全て手作業の仕事を効率化できないか」と考えていた。06年には年間約4000件の標本を全てデジタル画像化し、検索できるシステムを作った。さらに、AIが予備的な判定をしてくれれば、医師の負担は減るはずだ。

 病理学会が開発中のシステムは、参加機関が保存する画像をデータベースに集め、囲碁でAIが過去の勝負を読み込んだように「ディープラーニング(深層学習)」という技術で画像を読み込ませ、がんか否かを判断させる。試験的に胃がんと、がんに似た良性の症状を判別させたところ、既に7割程度を見分けられた。実用化できるには、5~10年かかるとみられる。

    ◇

 がんの治療開発では次々と新技術が生まれ、患者は実用化に「生」への希望を託す。一方、もし治療が尽きた場合はどうすべきなのか。07年に施行された「がん対策基本法」が目指す患者が安心して治療と向き合える環境の現状を、8回にわたって報告する。

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 ■ことば

 ◇ディープラーニング

 コンピューターが、入力された膨大なデータに共通する特徴を見つけ、それを繰り返し学習することで自ら理解を深めていく技術。
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