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車で社会復帰、リハビリ病院に出前教習

【出所:2017年3月20日 毎日新聞】

 <くらしナビ・スローらいふ>

 脳卒中のリハビリを終えた人の運転再開支援で、リハビリ病院に教習指導員が“出前”する試みが浜松市で行われている。運転再開支援の実車評価は利用者が自動車教習所まで出向くのが通例だが、出前なら病院発着で利用者の負担は少なく効果的だ。

 「アクセルを離しながら曲がれてますね。今の余裕を持ちましょう」。脳出血で右半身にまひが残る足立守和さん(50)に、教習指導員の中島淳さんが穏やかな口調で呼びかける。中島さんは出前形式で自動車教習を行う「ライズペーパードライバーズクラブ」(愛知県高浜市)の代表。足立さんは浜松市リハビリテーション病院(同市中区)に通院する。ライズ社は昨年から病院の依頼で実車評価を実施。希望者に訓練も行う。足立さんの訓練は4回目だ。

 足立さんは、左アクセルペダル、補助ブレーキを装備した車で浜松市の一般道を走った。「今の割り込みはきちんと見えてましたね」。中島さんは急に左から割り込んだ車に減速できた足立さんをほめる。一方、S字カーブでスピードが速かった時は「こわいねえ。先の見えない場合は緩めに」と苦言も。100分の授業で終わりの20分はドライブレコーダーを見ての振り返り。後続車がある時にあせりがみえるなどの講評を受けた足立さんは「運転に対する考え方が変わった」と話す。

 ●実車評価にニーズ

 自動車教習所で教えていた中島代表は、教習所に通えない人や企業研修向けに現在の会社を設立。3年前、脳卒中などのリハビリ後に実車評価のニーズがあることを知り取り組み始めた。浜松市のNPOなどで30人近くの支援を行ってきた。

 浜松市リハ病院は、脳卒中などのリハビリを終えて退院する人が運転再開を希望する場合、高次脳機能障害が残っていないか神経心理学的な検査を行ったうえで、ドライブシミュレーターで訓練、必要なら実車の訓練、評価を行い診断書を書いている。昨年度で130人の希望があり41人が再開した。実車評価は近くの自動車教習所に依頼しているが、ライズ社との協力も始めた。どちらも5段階で運転の評価を出してもらい、医師、作業療法士が参加する合同会議で運転再開を判断する。作業療法士の秋山尚也リハビリテーション部係長は「ライズの場合、病院発着で利用者の負担が少なく、その日のうちに情報をフィードバックしてくれる」と利点を指摘する。

 教習所は学生が利用する2~3月、7~8月は繁忙期で、運転再開支援は後回しにされがちだ。出前教習は時期に関係ないこともメリットだ。

 ●訓練の金額に悩み

 ただライズの訓練は遠方から来ており出張料込みで100分で1万2800円。健康保険が適用されず患者の自己負担になり、それほど多くの訓練は勧められない悩みもある。同院の元患者で脳卒中による右まひが残る石垣隆行さん(46)は昨年6月に退院後、ドライブシミュレーターで訓練したが、実車評価は昨秋にぶっつけ本番で1回きり。「シミュレーターと全然違う。もう少し訓練があればよかった」と振り返る。浜松市リハ病院の昆博之高次脳機能センター長は「運転支援の多くの部分が病院側の持ち出し。健康保険で評価してほしい」と希望する。
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