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メチル水銀摂取で有害物質が脳に 新潟大准教授らが発症メカニズム初確認

【出典:2017年1月25日 新潟日報】

 新潟大脳研究所神経内科の下畑享良准教授(49)らの研究グループは24日、水俣病の原因物質のメチル水銀を摂取すると、血管の障害を引き起こすタンパク質「血管内皮増殖因子(VEGF)」が脳内で多く発生することを、ラットを用いた実験で初めて確認したと発表した。米オンライン科学誌プロスワンに同日(日本時間25日)掲載される。

 水俣病の発症メカニズムや治療法は解明されていないが、2011年から新潟大と共同研究を行う環境省国立水俣病総合研究センター(熊本県水俣市)は「急性期の患者にはVEGF抗体による治療が期待される」としている。

 研究グループは、水俣病の重症患者が脳出血などを起こしていたことから、血管の障害に着目。ラットにメチル水銀を1~4週間投与すると、期間の長さに比例して、神経症状として後ろ足が交差する個体が多く見られた。

 脳には、血液中の有毒物質が脳内に入らないようにする「血液脳関門」というバリアー機能があるが、VEGFはそれを破壊する性質がある。ラットの脳を調べてみると、水俣病患者が障害を受けやすい小脳や後頭葉でVEGFの発生が確認された。特に小脳では血管内の物質が脳内に漏れ出していることが分かった。

 VEGFの作用を中和する抗体をラットに投与すると症状の改善がみられた。

 下畑准教授は「メチル水銀が血管のバリアーを破壊することで、有害物質が血管の中から脳の中に移行してしまう。それによって小脳や後頭葉が障害を受ける」と考察。現時点では、小脳や後頭葉にVEGFが発生する要因までは分かっていないが、「少なくともVEGFが(水俣病の)引き金になっていることが分かった」と強調した。

 今回は主に急性期の症状に関係する研究だが、新潟大の高橋哲哉助教(46)は「研究で分かったメカニズムが後遺症の治療にも役立てばいい」と期待した。

 水俣病はメチル水銀に汚染された魚介類を継続的に食べることで発症する中毒性の神経系疾患で熊本、鹿児島、新潟の3県で認定患者が出ている。
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