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先進がん治療 青森県導入へ弘大が研究

【出所:2017年5月18日 東奥日報】

 放射線を利用した先進的ながん治療法である「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」を青森県に導入し、定着させようと、弘前大学大学院理工学研究科の石山新太郎教授(量子ビーム科学)らが研究を進めている。将来の本格的な治療施設設置を目指して、県が10月に開設する「県量子科学センター」(六ケ所村)を活用し、研究と並行して治療を行う医療人材の育成を行う。BNCTの治療効果や仕組みなどを広く知ってもらうため、石山教授らは今月23日、「旗揚げ」と位置付けるセミナーを弘前市で開く。

 石山教授によると、BNCTはホウ素と中性子による微小な核反応を利用し、がん細胞をピンポイントで破壊する治療法。

 がん細胞に取り込まれやすいホウ素薬剤を投与した上で中性子ビームを照射すると、ホウ素が中性子と反応し、アルファ線が発生する。アルファ線は細胞1個分に相当する10ミクロンの範囲にしか広がらないため、周りの正常細胞をほとんど傷つけることなく、がん細胞だけを死滅させられるという。現在は開発段階にあり、全国各地の研究機関で基礎実験や臨床試験が行われている。

 照射する中性子線はエックス線より弱く、重粒子線やガンマナイフといった他の放射線治療と異なり、中性子線自体に治療効果はない。広範囲に照射可能なため、周辺にまで入り込んで増殖したがん(浸潤がん)にも有効とされる。石山教授は「臨床試験では即効性も確認されている。正常細胞へのダメージは最小限に抑え、効果的ながん治療ができる」と話す。

 BNCT研究には中性子を発生させるBNCT装置が不可欠だが、青森県にはなく、石山教授が県外へ出向き、装置を借りて研究しているという。県が整備する県量子科学センターは、放射性同位元素の医学への応用研究を活動目標の一つに掲げ、サイクロトロン加速器や陽電子放射断層撮影装置(PET)のほか、宿泊可能な研修棟などを備える。

 石山教授は「センターがオープンすれば県内で研究開発ができる。青森県は短命県と言われており、がんに向き合う意識も特別強いのではないか。この地域にBNCTを根付かせたい」と力を込める。

 ◇ ◇

 「最先端医工学連携セミナー」は23日午後1時から、弘大医学部メディカルコミュニケーションセンターで開かれる。臨床試験(治験)を行っている「脳神経疾患研究所付属南東北BNCT研究センター」(福島県)の高井良尋センター長(弘大名誉教授)による講演のほか、県量子科学センターの概要説明や関連機器などの展示がある。問い合わせは石山教授(電話0172―39―3532)へ。
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