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【一目均衡】日米株価 格差の背景

【出所:2017年3月7日 日本経済新聞】

 ダウ工業株30種平均が最高値の更新を続ける米国株式市場と、上値の重さが鮮明な東京株式市場。両者の格差の背景には何があるのか。トランプ大統領が掲げる米国第一主義の政策だけではない。個別企業に目を向けると、既存の技術やビジネスモデルを破壊するほどのインパクトを持つ技術革新(イノベーション)の厚みの差が浮かび上がる。

 米インテュイティブサージカルが開発した手術支援ロボット「ダヴィンチ」が世界の医療業界に旋風を巻き起こしている。体に開けた小さな穴からアームを体内に入れ、医師が遠隔操作で腫瘍などを切り取る。患者の負担は低く、同社によると2016年の手術実績は約75万件に達し、日本でも実績が増えている。

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 ロボット本体の導入費用を低く抑える代わりに、手術のたびに交換が必要な消耗品で稼ぐ「カミソリ型」の事業モデルを採用する。唯一無二の技術と安定した現金収入が評価され、株価は連日で最高値を更新、過去10年で約7倍になった。時価総額は288億ドル(約3兆3000億円)とファナック(約4兆6000億円)に迫りつつある。

 アクサ・インベストメント・マネージャーズでロボット関連ファンドを運用するトム・ライリー氏は「医療機器は政府の認可が必要で、新規参入が難しい。成長の確実性を考えると株価は割高ではない」と話す。

 ニューヨークに上場するイスラエルのモービルアイも急成長企業の一つ。同社の自動運転技術は日産自動車が昨年販売した新型「セレナ」に採用された。圧倒的な画像処理技術で自動運転の台風の目となり、上場から2年半にして時価総額は約100億ドルに達した。

 UBSは、産業用ロボットなどを含むオートメーション市場が16年の1560億ドルから2020年には2093億ドルに拡大すると予想する。年率では7.6%の高成長だ。

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 日本でもファナックやキーエンス、安川電機などの株価は上昇が続く。ただ産業用ロボットは誰もが注目する巨大市場だけに、中国が国策として企業を強力に支援するなど参入が増えている。既存技術の改良だけでは日本企業の中長期的な利益率は低下しかねない。

 かつてソニーや任天堂など日本企業は世界初の製品で世界をあっと驚かせ、投資家からも称賛を浴びた。世界中でブームを引き起こしたこうした技術革新は、日本から絶えて久しい。

 ライリー氏は企業がイノベーションを生み出す条件として「多額の研究開発投資に耐える強固な財務基盤と長期視点の株主の存在」を挙げる。日本企業は株主から批判されるほど現金をため込む。外国人株主は増えたが取引先銀行など「もの言わぬ株主」も多い。

 日本企業にはイノベーションを生み出す条件も経験も整っている。株式投資家は経営者が果敢にリスクに挑み、果実を手に取ることを渇望している。そうすれば米株に出遅れる日本株の評価も変わるはずだ。
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