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ニセ薬を急ぐ防止策 返品を厳格チェック、買い取り規制強化

【出所:2017年3月20日 毎日新聞】

 C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品が見つかった問題は、素性のはっきりしていない薬が「現金問屋」と呼ばれる卸売業者を通じて市場に出回っている実態を浮き彫りにした。問題が起きた背景と今後必要な対策を、最前線の流通管理の取り組みと専門家へのインタビューから考えた。

 「99・9997%」。医薬品卸大手「メディセオ」が横浜市戸塚区に持つ配送センターから薬局に医薬品が注文通りに届けられる精度だ。1日10万個を発送し、誤配は100万個に3個の割合。わずかなミスは、種類でなく数量の間違いだという。

 医療用医薬品は2008年、メーカーに薬の種別や製造番号が分かるバーコード表示が義務付けられた。副作用被害や欠陥品が分かった際に回収しやすくする目的があるが、09年に稼働した同センターは、これを製品管理に活用している。

 棚には2万4000種類もの薬が並び、社員はちょうどスーパーで買い物をするように、カートを押して注文を受けた製品を選ぶ。バーコードをセンサーにかざして緑ランプが点灯すればOK。間違っていると次の作業に進めないよう、システムがいったん止まってしまう。

 入荷はほとんどがメーカーからで、一部に薬局からの返品が交じる。出荷の際は薬局ごとに専用のプラスチック容器に梱包(こんぽう)し、帯を巻き付けて封印。届けた先の薬剤師の作業を効率化するため、棚に出す順番に収納する工夫もしている。薬局が余剰在庫を抱えずこまめに補充できるよう、1日4回までの配送が可能だ。

 日本では医療用医薬品の9割以上が卸業者経由で薬局や医療機関に供給され、その8割以上を大手4社が占める。メディセオの最新の配送拠点は出荷までをほぼ全自動化しているといい「偽造品や不良品へのすり替えは、通常の流通ではあり得ない」というのが業界の共通認識だ。

 一方、世界的に見ると、偽造医薬品は大きな問題で、抗がん剤や肝炎薬など利幅の大きい超高額薬の登場に伴い先進国でもリスクが高まっている。偽造品対策もさらなる進化が求められる。

 同社は、薬局からの返品について、偽造品でないことを確認するため、重さや箱の形状を精密に計測し、本物のデータと突き合わせる仕組みを研究中という。入内嶋(いりうちじま)博・ロジスティクス本部長は「医薬品の中には、外箱が開封済みかどうか一目では分かりにくいものもある。メーカーにも開け口をミシン目にするなど包装の改善を要請している」と話す。

 ◇現金問屋、需要消えず

 医薬品の流通は、こうした大手だけが担っているわけではない。厚生労働省が急ぐのは、零細な現金問屋による医薬品管理の「底上げ」だ。同省幹部は「大手との落差が大き過ぎる」と嘆く。

 流通網が発達した現在、即金で少量を売買する現金問屋の需要は小さくなっているが、業界関係者は「大手との取引実績がない新規開店の薬局などには役立つ存在で、すぐに消えることはないだろう」と指摘する。

 ハーボニーの偽造品を個人から買い取ったのはこうした現金問屋の一つで、バーコード管理をしていないばかりか、帳簿にも架空の会社名を記録していた。

 東京都と大阪府は流通に関わった6社に医薬品医療機器法に基づく改善措置を命令。奈良県と奈良市は患者に偽造品を売った薬局などに業務停止と管理薬剤師の変更を命じた。

 再発防止のため、厚労省は2月に医薬品買い取り時の身分確認と連絡先などの記録の徹底を求める通知を出した。ただし、「継続した取引実績がある場合」は規制強化の対象外とし、正規の取引に負担がかからないようにしている。今後、法令でも義務付ける方針で、医薬品の流通関係者を集めた会議を今月29日から開き、夏までに結論を出す。

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 ■ことば

 ◇ハーボニーの偽造品問題

 昨年11月以降、東京・神田の医薬品現金問屋を介して15本の偽造品が市場に出回り、奈良県の薬局チェーン「関西メディコ」の系列店で今年1月に1本を購入した患者が中身が違うことに気付いた。ハーボニーは28錠入りボトルの薬価が約153万円だが、偽造品は市販のビタミン剤や風邪薬に詰め替えられていた。健康被害はなかった。警視庁などが持ち込んだ人物の特定を急いでいる。
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