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くらしナビ・ライフスタイル:医療的ケア児施設、寄付頼み 「もみじの家」開設1年

【出所:2017年5月18日 毎日新聞】

 日常的に医療的ケアが必要な子どもと家族のための「もみじの家」(東京都世田谷区)が先月、開設1年を迎えた。親子で泊まれる短期入所施設で、国内で初めて公的医療機関が運営し、これまでに延べ424組が利用した(4月末現在)。ただ、ニーズは高いが、施設運営費の4割は寄付頼みだ。重い病気の子の母親でもある衆院議員の野田聖子さんは社会的な理解不足を指摘する。

 ●親子で泊まれ安心

 4月下旬の土曜日。2階の「プレイコーナー」で朝の活動が始まった。開放的な空間にはJポップが流れている。

 「肩を大きく回しましょう」。宮副心資(しんすけ)ちゃん(4)がスタッフに肩をマッサージされると、とびきりの笑顔を見せた。母の和歩さん(43)が付き添う。「普段は家でほぼ2人きり。ここは刺激があってうれしいんでしょう」。心資ちゃんは先天性の脳性まひ「孔脳症」で、人工呼吸器と胃ろうを付けている。午前0時と6時を含む1日4回のさゆ注入、午前中のたん吸引――。毎日、和歩さんがほぼつきっきりでケアをしている。前日の晩は家族で泊まり、夜中のケアは看護師に頼んだ。久々にぐっすり眠れたという。スタッフに任せられたことを「安心感がある。兄弟も一緒に泊まれ、息子の遊びの時間もあり、助かります」と話す。

 心資ちゃんのように、たん吸引や栄養剤注入など医療的ケアが必要な19歳以下の子どもは全国に約1万7000人いる(2015年、厚生労働省調べ)。だが、預けられる保育所がほとんどなく、家族は睡眠不足で疲弊しがちだ。仕事を辞める母親も多い。公的支援も遅れている。

 ●運営の安定が課題

 「もみじの家」の施設運営費は、障害福祉サービス費、世田谷区や東京都の補助金で6割をまかなう。残り4割は寄付だ。独立採算のため赤字の補填(ほてん)はない。不安定な運営の背景には医療的ケア児ならではの特徴もある。

 「医療的ケア児には医療、福祉という2分野のサービスが必要」と「もみじの家」ハウスマネジャーの内多勝康さんは話す。「医療の診療報酬と福祉の障害福祉サービス費の両方でハイブリッドに支える仕組みができると施設運営が安定する」。医療的ケア児の障害福祉サービス費の報酬単価は重症心身障害児の7~3割程度で、実情に見合っていない。内多さんは具体策として、医療的ケア児受け入れに対する診療報酬の加算▽子どもの成長発達をサポートする遊びや学びなど日中活動への報酬の新設――に期待する。

 障害児向け保育所を運営するNPO法人「フローレンス」の駒崎弘樹代表は「ショートステイ施設は看護師が必要だが、軽度の発達障害と同じ現行の報酬単価では収支的に厳しい」と指摘する。整った医療機関のない地方では施設建設が難しいため、看護師が家庭にショートステイし昼夜の家族の負担を減らす居宅訪問型も提案する。

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 ◇「もみじの家」

 国立研究開発法人・国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)が運営する短期入所施設。英国発の「子どもホスピス」を参考に2016年4月に設立された。19歳未満の重い病気の子どもが最大7日間、家族らと過ごせる。滞在中、医師の指示に基づいて24時間体制で看護師が栄養剤注入、たん吸引などの医療的ケアをする。保育士もいて、遊びや学びも体験できる。部屋は家族部屋、子どもだけの部屋など3タイプ(ベッドは計11床)あり、休みなく子どものケアをしている家族の負担軽減も図る。手厚いケアの質を維持するため現在は8床で運用している。
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