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介護助手 広がる 職員の負担減、ケアに専念

【出所:2017年2月13日 毎日新聞】

 介護職員の負担を減らし専門性の高い仕事に専念できるよう、配膳や洗濯などを担う「介護助手」を導入する取り組みが各地で広がっている。2025年には介護人材が約38万人不足するといわれ、元気な高齢者など人材の裾野を広げるとともに、介護分野での定着を図ることが求められている。

 ◇自らの経験生かし

 介護助手に法律上の位置付けはない。国の社会保障審議会介護保険部会委員などを務める東憲太郎・全国老人保健施設協会会長が15年秋に三重県の施設で導入した。介護の仕事を細分化し、比較的単純な作業を担う人材を雇用したところ、負担軽減の効果を上げた。看護職にある看護助手にならい「介護助手」と名付けた。

 この取り組みを知った東京都北区の介護老人保健施設「さくらの杜(もり)」も昨年から導入した。100人の入所者をギリギリの職員で介護しており、少しでも職員の負担を軽くしようと考えたからだ。11月に新聞チラシなどで募集をかけたところ29人が説明会に参加。勤務条件などの合った22人を採用した。時給は1000円。37~78歳の人が働き、平均年齢は62歳。

 近くに住む岡村孝子さん(67)は週2回、午前6時から9時まで朝食の配膳・下膳やポータブルトイレの片付けなどをこなす。3年前に亡くなった義父を自宅で6年以上介護し、さくらの杜にはデイケアで通っていた。「資格はありませんが、自分の介護の経験が生かせています。お年寄りから感謝の言葉をいただき、職員も明るくて、施設のイメージが変わりました」

 ◇難易度で割り振り

 三重県では介護助手の仕事を難易度に応じて3ランクに分けている。最も難易度の高いAは看護師やヘルパー2級などの資格を持つ人が研修を受けた上でフロア内での見守りなどを行う。

 さくらの杜では、ランクを念頭におき、その人に応じた仕事を割り振っている。志賀逸子ゼネラルマネジャーは「三味線や園芸、書道など特技を持っている人も多く、レクリエーションの充実にも生かしていきたい」と話す。

 東京都社会福祉協議会も介護助手の普及の後押しを始めた。昨年末から今年1月にかけて都内6カ所で実施した説明会には100人以上が参加した。最大3日の就業体験後、勤務条件が合えば都内約150の介護施設と雇用契約を結ぶ。足立区での説明会に参加した70歳の女性は病院で配膳の仕事をしていたことがある。「70歳は高齢者ではない。年金はあるが、動けるうちは働きたい」と話す。

 東京の他にも今年度は福島、神奈川、佐賀各県の介護施設で導入され、来年度は福岡県でも導入が予定されている。一方、山形県の社会福祉法人「米沢弘和会」は約10年前から「介護アシスタント」を採用している。これも介護助手に似た仕事を担う。介護老人保健施設だけでなく特別養護老人ホームでも受け入れている。

 ◇仕事の明確化、重要

 団塊の世代が75歳以上となる25年に向け、政府は昨年10月、介護福祉人材確保に関する専門委員会で議論をスタートさせた。

 介護の職場には国家資格である介護福祉士のほか、ヘルパー2級を持つ人、資格のない人もいて、仕事内容に大きな違いはなく、「介護人材」とひとくくりにして確保を目指してきた。しかし、委員会は、現状では介護福祉士の専門性も魅力も高まらないとして、能力や意欲に応じてキャリアアップを図れるようにし、キャリアに応じた役割を果たすべきだとの考え方を打ち出した。

 また、清掃や洗濯など利用者の体に直接触れない業務を他の人材に委ね、介護職がケアに専念できるようにする必要性があるとしている。まさに介護助手の考え方だ。委員会は今年度内に具体的な方向性をまとめる。

 介護助手について、聖隷クリストファー大学の古川和稔教授(介護保険制度)は「介護職の負担感が多少軽減され、利用者と向き合う時間が増えるかもしれないが、バラ色ではない」とし、「介護助手のマネジメントを誰がするのか。決めておかないと施設の狙い通りに機能しない可能性もある」と話す。その上で、「介護の現場では資格の有無にかかわらず、みな同じような業務内容をこなしている。中核的な役割を担う専門職である介護福祉士のやるべき仕事を明確にすることも重要だ」と指摘する。
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