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くらしナビ・ライフスタイル:がん あふれる不正確情報

【出典:2017年8月21日 毎日新聞】

 がんの情報がインターネットや出版物にあふれている。不正確な内容も多く、その真偽を判断する手立てがない。自分が、または家族が、ある日突然がんを宣告されたら、どのように情報を集めればいいのか。

 ●「他に療法ないか」

 「治らないという医師の言葉に納得がいかなかった」。埼玉県在住の丸山隆さん(66)=仮名=の妻、昌子さん(66)=同=に昨年夏、ステージ4の乳がんが見つかった。骨や肝臓に転移し、手術はできない。「延命のための治療を」と、医師は「標準治療」の抗がん剤を勧めたが、隆さんは受け入れることができなかった。

 「ネットには『治った』という話がたくさんある」。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で妻の病を公表したところ、知人から多くの情報が寄せられた。食事療法やあらゆる民間療法。数々の情報の中から、隆さんは「免疫療法」に着目した。自由診療で高額だが、たまたまかけていた保険で費用が出ることも背中を押した。しかし、いざ治療を受けようと主治医に話したところ、強く反対された。隆さんは悩みに悩んだが、昌子さんと同様の患者が、抗がん剤治療を受けて長く生きているという闘病記を目にして、ようやく主治医の方針に納得した。

 昌子さんは隣でほほ笑む。「私は初めから、治療法については目の前の医師が一番詳しいはずだと思っていました」。隆さんは「でも家族は心配で心配で、できることは何でもやりたいと思う」と返す。抗がん剤治療を始めて10カ月。昌子さんの肝臓の腫瘍は画像上、消えた。吐き気や口内炎などの副作用はあるものの、趣味の卓球を再開できるまでになった。「標準治療で良かった」。隆さんも笑顔だ。それでも日々、完治につながる治療法が開発されないかと、ネットやテレビなどの情報に目を光らせている。

 ●「免疫療法」に注意

 ネットで最近、目立つのは、「体に優しい」「最先端」などとうたった「免疫療法」を施すクリニックのサイトだ。治療効果についてのデータを掲載するものも多い。しかし、それらのクリニックに警鐘を鳴らすがん治療医は少なくない。

 「治療として裏付けるエビデンス(科学的根拠)がないうえに高額。患者をだましているに等しい」。外科医かつ腫瘍内科医で、がん医療に関する著書が多い「東京オンコロジークリニック」の大場大(まさる)医師は憤る。「生死に関わる医療情報については、まず行政レベルで交通整理をすべきだ」。免疫療法には、医師という肩書だけで、がん治療の専門的トレーニングを受けていない人が多く関わっているという。「本来、医療とは誠実であるべきです。今の状況は嘆かわしい」

 「日本は欧米で売れなくなった抗がん剤の在庫処理をさせられている」「米食品医薬品局(FDA)は抗がん剤を禁止している」。これらはネットやSNSで、今も流れている風説だ。情報源も明らかにされないまま、多くの人が賛同し、拡散している。海外のがんの最新情報を翻訳して紹介するサイト「海外がん医療情報リファレンス」を13年前に開設した野中希(のぞみ)さんは、そんな状況に驚きを隠さない。

 2002年、野中さんの義弟に小腸のがんが見つかった。「一日でも長く生きられるよう、最善の治療を受けさせたい」。しかし小腸がんは症例が少なく、ほとんど情報がない。語学が得意だった野中さんは、試しにネットで英語のページを検索してみた。すると「情報がざくざく出てきて驚きました」。義弟は亡くなったが、その間、ネットで多くの患者や医療者とつながった。海外のがん情報を翻訳して伝えたところ、喜ばれたことがきっかけで、サイトをオープンした。

 サイトは、FDAや米国立がん研究所(NCI)をはじめ、世界のがん医療をけん引する機関から許諾を得て情報を発信している。コンテンツには治療法をはじめ、がんに関するさまざまな情報が含まれる。翻訳者は全てボランティアで、多くの医師を監修者に迎え、校正には念には念を入れる。

 「国内外で行われる重要な臨床試験の結果は、英語の論文として医学誌に発表されます。要旨は全て、全文は一部無料で閲覧でき、情報源や出典をたどることもできる」。論文の不正についても、全て科学的に検証され、厳しい審査を経ている。「日本人は語学の壁があるため、情報から隔離されてしまうのでは」と野中さんはサイトを続ける。

 07年、国立がん研究センターの後藤悌(やすし)医師が実施した調査結果では、ネットの大手検索サイトで肺がん治療について検索すると、米国では正しい情報が8割で、日本では3割だった。その違いは「法的整備はもちろん、科学の扱い方に対する教育の問題では」と大場医師は話す。それでは、今現在、日本でがんの情報を得ようとする患者やその家族は、どうすればいいのか。

 ●医師と話し合いを

 答えは簡単ではない。「書店の『家庭の医学書』の棚には、エセ医療本が目立つ。『医学書』の棚には、より正しい情報があるが、内容が難しくて一般向けではない」と大場医師。より確実なのは、主治医から情報を得ることだが、コミュニケーションがうまくいかない場合も多い。

 6月の国会で、医療法の一部改正案が可決され、厚生労働省がようやく「医療に関する広告規制の見直し」に乗り出した。今後の改善が期待されるが、患者側も引き続き、情報についての意識を高めることが必要だ。

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 ◆がんの情報を得るときの主なサイト

 ◇「がん情報サービス」

http://ganjoho.jp(運営:国立がん研究センター)
部位ごとの解説、患者の生活や療養をはじめ、患者やその家族に有用な情報を掲載。

 ◇「がん情報サイト」

http://cancerinfo.tri-kobe.org(運営:公益財団法人先端医療振興財団 臨床研究情報センター)
米国立がん研究所(NCI)とライセンス契約し、がんに関する最新かつ包括的な情報を配信。

 ◇「海外がん医療情報リファレンス」

https://www.cancerit.jp(運営:一般社団法人 日本癌医療翻訳アソシエイツ)

 ◇「『統合医療』情報発信サイト」

http://www.ejim.ncgg.go.jp/public(運営:厚労省の事業における文献調査委員会)
民間療法をはじめ、補完代替療法について科学的根拠に基づいた情報を発信。

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 ◇標準治療

 科学的根拠に基づき、現時点で奨励される最善の治療。一方、患者が自費で受けることを厚労省より認められた「先進医療」は、標準治療に勝ることが科学的にはまだ証明されていない。また「先端医療」と呼ばれる治療は開発途上で、治療として成り立つかどうかも不明。

 ◇免疫療法

 自己以外を排除する「免疫」本来の力を回復させたり、強化したりすることによる治療法で、近年、盛んに研究が進められている。しかし、現時点で有効性が証明されているのは「オプジーボ」「キイトルーダ」をはじめとする「免疫チェックポイント阻害剤」などの一部薬剤のみ。それ以外の免疫療法は、真に効果が証明されていないため、注意が必要だ。
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ピロリ菌検査、中学から 将来の胃がん予防へ続々 医療費抑制に自治体期待 水戸市、中2全員

【出典:2017年8月21日 日本経済新聞】

 将来の胃がん予防のため、中学生を対象にピロリ菌の感染検査を導入する自治体が増えてきた。ピロリ菌は胃炎や胃がんを引き起こす原因になる。抗生物質を使った除去治療ができる年齢に達した段階で検査を受けることで、胃がんの予防につなげる。

 水戸市は今年11月から市立中学2年生約2200人を対象に感染検査をする。検査費用などで約300万円の予算を確保した。

 検査を受託する茨城県総合検診協会の担当者は「がんを予防することで将来的な医療費の抑制が期待できる。がん検査の受診率を上げるなど意識づけにもつなげたい」と話す。

 兵庫県篠山市は2014年度から中学1年生を対象に、健康診断の尿検査を利用してピロリ菌の感染検査を実施する。費用は市が負担。これまでに複数の生徒が陽性と判定された。

 「早めに分かってよかった」。学校を通じた検査でピロリ菌の感染が分かり今年、抗生剤治療を受けた同市の男子中学生(15)の母は胸をなで下ろす。

 市が検査を始めたきっかけは、兵庫医科大ささやま医療センター(同市)が12年に実施した研究だ。同意が得られた市内の中学生への検査で、約4%の生徒に陽性反応が出た。13年度に市が保護者にアンケートしたところ、ピロリ菌の感染検査を「希望する」との回答が9割以上に上った。

 同市は14年度から約150万円の予算を確保し、これまでに約千人の生徒が受けた。陽性だった場合の除去費用も市が助成する。検査に協力する兵庫医科大の奥田真珠美医師は「中学生の段階でピロリ菌を除去できれば、がん予防の効果は高い」と指摘する。

 ピロリ菌は近年の研究で胃がんとの関連が指摘されている。世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関は14年「胃がん対策ではピロリ菌除去に重点を置くべきだ」と発表。国内の専門学会も16年に改定したピロリ菌感染の予防や治療に向けた指針で、中高生ら若い年齢層での検査が「特に重要」と指摘する。

 感染検査は尿検査などでスクリーニングを行い、疑いのある人には呼気を用いた検査を行ったり、便中の抗体を調べたりするのが一般的な流れ。感染が判明すれば、薬を飲んで除菌する。スクリーニング費用は数百円から千円程度で済む。

 県全体で取り組むのは佐賀県。16年度に佐賀大に「事業センター」を設置し、県内の中学3年生約9千人の検査費用や運営費のため、約3千万円の予算を確保した。県健康増進課の担当者は「財政状況は厳しいが、なんとか捻出できる金額。子供たちのために続けていきたい」としている。

親が保菌なら子の感染率高く

 ピロリ菌は正式にはヘリコバクター・ピロリと呼ばれ、1983年に発見された。その後の研究で慢性胃炎や胃潰瘍などの原因になっていることが分かった。胃がんの99%はピロリ菌感染の影響があるとする研究結果も出ている。

 日本では50歳以上の半数以上が感染しているとされ、感染者は約6千万人に上るとの見方もある。感染の原因ははっきりとは分かっていない。衛生状態が悪い途上国で飲料水からの感染が報告されているほか、親が保菌していると子供の感染率が高いことから、食べ物の「口移し」などで感染すると考えられている。
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〈幹細胞研究 世界の最前線〉(中)「患者の分身」創薬に貢献

【出典:2017年8月21日 日本経済新聞】

 日本でiPS細胞の応用といえば、再生医療の印象が強い。世界的には創薬こそ産業の裾野が広く、実用化も早い本命と考える研究者が多い。iPS細胞をはじめとする幹細胞の研究最前線は創薬にも役立っている。

 「iPS細胞は希少疾患の研究を一変させた」。米国立心臓肺血液研究所のマンフレッド・ボーエム上席研究員は話す。iPS細胞が病気の仕組みや治療薬の研究に生かせる利点を強調する。

 動脈が石灰化して硬くなる難病などの患者の血液から作ったiPS細胞を血管などの細胞に育て、病気を再現。他の病気の薬として使われる化合物で効くものがないか網羅的に調べている。「患者の血液という最小限の試料から、大きな機会を生み出すことができる」とボーエム氏は語る。

 今月1日、京都大学iPS細胞研究所の戸口田淳也教授は、筋肉などの組織に骨ができる難病の治療薬候補を見つけ、臨床試験(治験)を始めると発表した。世界に先駆けて計画を公表したが、水面下では国内外の製薬企業などがiPS細胞の活用でしのぎを削る。

 研究はiPS細胞以外の幹細胞でも進む。同じく万能細胞である胚性幹細胞(ES細胞)のほか、腸など体の組織にある幹細胞を培養し、臓器のミニチュア版を作る技術が発展している。

 臓器そのものの再現は再生医療につながるが、ミニ臓器(オルガノイド)は病気の発症過程をより正確に再現でき、創薬への貢献も大きい。

 米ボストンで6月に開かれた国際幹細胞学会でもミニ臓器の創薬応用が注目を集めた。シンガポールゲノム研究所は人のES細胞から立体的なミニ中脳を作った。細胞に色素ができる過程を再現でき、手足などが震える難病のパーキンソン病研究に役立つという。

 腸の幹細胞からミニ腸を作ったオランダ・ヒュブレヒト研究所のハンス・クレバース教授は「ミニ臓器は患者の分身のようなものだ」と話す。

 一緒に研究を進めた慶応義塾大学の佐藤俊朗准教授は大腸がんをミニ腸の形で培養し、がん細胞のもとになる「がん幹細胞」ができる仕組みやがんの転移などの研究に役立てている。現在は攻撃が難しいがん幹細胞を効果的にたたく薬の開発などにつなげたい考えだ。

 ミニ臓器と、遺伝子を自在に改変できる「ゲノム編集」との融合も始まった。この新技術は患者の細胞の遺伝子異常を修復したり、正常細胞に異常を起こしたりと、簡単に遺伝子を操れる。iPS細胞だけでなく、ES細胞でも一部の病気を再現できるようになった。

 米ハーバード大学ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の森実隆司主任研究員は遺伝性の腎臓病の治療薬をミニ腎臓で研究する。「多発性のう胞腎」という病気の原因になる遺伝子異常をゲノム編集で再現し、病気のミニ腎臓を作製した。

 日本はミニ臓器研究が活発だが、海外では大規模な連携の動きもある。米国立がん研究所など米欧の4研究機関は昨年、約1000例のがんのミニ臓器バンクを作る計画を発表した。創薬を効率化する狙いだ。

 このプロジェクトに加わるオランダのクレバース教授は「様々ながんのDNAを調べ、患者ごとに最適な薬を予測する技術を開発したい」と語る。
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糖尿病治療薬 心筋梗塞に有効 佐大確認 死亡減に期待

【出典:2017年8月21日 西日本新聞】

 佐賀大は、糖尿病の治療で患者の血糖値を下げる薬「α―グルコシダーゼ阻害薬」が、合併症の心筋梗塞にも効果があることを確認したと発表した。同大によると、国内では糖尿病患者のうち、年間2千人ほどが心筋梗塞で死亡しており、担当の野出孝一医学部教授(循環器内科)は「死亡例を減らすことが期待ができる」としている。国際医学誌にも掲載された。

 野出教授によると、心筋梗塞を発症後、3日以内に同阻害薬を投与すれば、血糖値の変動幅や交感神経の活性化を抑えられ、結果的に心臓への負担が軽減し、重篤化を防ぐという。

 研究は、佐賀大医学部付属病院(佐賀市)や、福島県立医科大付属病院(福島市)など全国6病院で糖尿病患者39人を対象に2010年9月から実施。うち19人に同阻害薬の一種「ミグリトール」を投与したところ、平均的な血糖値の変動幅が、投与しない場合の3分の2に低下したという。

 血糖値を下げるには、インスリンを投与する治療が一般的だが、野出教授は「インスリンは効き過ぎて低血糖を起こし、血糖値の変動幅が大きくなって心臓に負担がかかる場合もある」と指摘。心筋梗塞を発症した場合は、同阻害薬による治療を検討してほしいとしている。
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小児救急電話 対応力アップ 夜間・休日の相談窓口 厚労省、地域差解消へ事例分析

【出典:2017年8月21日 日本経済新聞】

 夜間や休日の子供の急病の際、医療機関の受診が必要かどうかなどを相談できる「小児救急電話相談(♯8000)」で、厚生労働省は相談業務の質を向上させるため、寄せられた事例を一元的に集約し、分析する事業を始めた。対応のばらつきを減らし、的確な対応を保護者に伝えられるようにすることを目指す。

 小児救急電話相談は2004年、必要がない119番通報や医療機関の受診を抑制することなどを目的に一部地域で始まり、10年に全都道府県で開設された。

 医療機関を受診すべきか迷ったとき、電話をかけると都道府県の窓口に転送される。相談員の多くは看護師で、子供の症状などを聞き取り「自宅で一晩様子を見てください」といった助言や家庭でできる対処法を伝える。

 ただ相談員の判断が異なるケースも見受けられる。厚労省によると、同じ風邪の症状でも、地域によって「自宅安静」や「心配なら救急車を呼んで」などと助言が異なることがあるという。利用者が別の自治体に移り住んだときなどに混乱しないで済むように全国で共通した対応が必要になっている。

 このため厚労省は5カ所以上の都道府県から電話のやりとりを収集し分析する事業を開始。収集・分析は公募で選ばれた日本小児科医会の医師らが行っている。同省は今年度末までに分析結果の報告を受け、どの相談員も共通した対応を取れるように症状別の対応の仕方をまとめるなどの改善策を検討する。

 子供の誤飲など特に相談の多い事故や病気は家庭に対策を呼びかけるリーフレットを配布することなども想定。厚労省の担当者は「#8000を周知し、保護者の不安な気持ちの解消に役立てたい」としている。

 小児救急電話相談の相談件数は、全国に広がった10年度に初めて45万件を突破。その後も増え続け、直近の15年度には約75万件に上る。
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難病患者のiPS細胞 製薬企業の活用を支援 理研など

【出典:2017年8月21日 日本経済新聞】

 理化学研究所は難病などの患者から作ったiPS細胞の活用で、iPS細胞関連の研究支援をするiPSポータル(京都市)と協力する。理研が保管するiPS細胞の活用を、iPSポータルが製薬企業などに働きかけるとともに、必要な実験も請け負う。患者のiPS細胞を利用しやすい体制を整えることで、医療に革新をもたらすiPS細胞を、様々な病気の治療薬開発に役立てる。

 患者から作った「疾患特異的iPS細胞」を使えば試験管内で病気を再現でき、新薬開発の効率向上に役立つ。理研は大学などから寄託を受け、疾患iPS細胞を企業や研究機関が使えるバンクとして整備している。

 iPSポータルは理研と疾患iPS細胞の情報を共有し、製薬企業や化粧品会社などを対象に営業活動を進める。同社は細胞の解析などの研究支援を企業から請け負うことでiPS細胞の活用を促し、収益化も狙う。

 理研は疾患iPS細胞の保管を2010年12月に始めた。現在はALS(筋萎縮性側索硬化症)などの難病を中心に、約290種類の病気の患者から作った3000株以上のiPS細胞を保管する。ただ、外部への提供は約30件にとどまっている。疾患iPS細胞は今後も増える見込みで、iPSポータルとの協力で外部での活用を広げる。


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「軽度介護」栃木県内68%の市町が苦慮 全国上回る ボランティア確保困難

【出典:2017年8月21日 下野新聞】

 今年4月までに介護保険から切り離され、市区町村事業に移行した軽度の要介護者向けサービスに関し、共同通信が18日までにまとめた全国の自治体対象アンケートで、県内25市町のうち68%の17市町が「運営に苦慮している」と回答した。全国では回答した1575自治体の45%が同様に答えた。ボランティアら担い手を確保できていないことが主な理由で、地域住民が支え合う仕組みづくりの難しさが浮かび上がった。

 7段階ある要介護度のうち、軽い「要支援1、2」の人向け訪問介護と通所介護(デイサービス)は保険給付からはずれ、2015年度以降は「総合事業」として、市区町村が提供するようになった。中重度者向けサービスに重点を置きたい政府は「要介護1、2」についても移行を検討しているが、これには県内市町の80%に当たる20市町が反対。全国でも60%超が反対した。

 事業の運営に「苦労している」と回答した県内市町は足利、栃木など17市町。「順調」は那須烏山市のみ。「どちらともいえない」は宇都宮、鹿沼など7市町。全国の市区町村では「苦労している」45・0%、「順調」27・4%、「どちらともいえない」27・7%。

 サービスは介護事業所だけでなく、住民団体なども提供できるが、苦労している理由(複数回答)として「新たな担い手の確保が難しい」を挙げた自治体が県内、全国ともに最も多かった。次いで「運営のノウハウがない」、「そもそも、市町村に移行させたことに無理がある」の順だった。

 要介護1、2向けサービスの移行について、県内で「反対」は20市町で大半を占めた。「どちらともいえない」は5市町。「賛成」はなかった。全国では1562自治体のうち「反対」は63・7%、「どちらともいえない」35・1%、「賛成」1・2%。

 反対の理由は「要支援1、2向け事業の検証が先」が県内、全国ともに過半数を占めた。
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地域格差、にじむ不安 事業所撤退で混乱も 「表層深層」軽度者向け介護難航

【出典:2017年8月21日 共同通信社】

 軽度者向け介護サービスが市区町村へ移行され、国が目指す「住民による支え合い」の動きが広がり始めた。だが一方では、サービスを提供していた事業所が、採算性の低さを理由に軽度介護から撤退するなど、混乱も起きている。利用者や家族は地域格差が広がることへの不安を漏らす。

 ▽明日はわが身

 「曲げた手はグー、伸ばした方がパーですよ」。三重県松阪市の集会所。ボランティア団体「オレンジの会」の奥山幸子(おくやま・さちこ)さん(68)が合図をすると、高齢者12人が左右の腕を交互に突き出した。「できた!」「わや(めちゃくちゃ)や」。一段落するたび、参加者の笑い声がはじける。

 同会は今年4月、市から要支援者向けデイサービスを受託し、週1回、高齢者を集めて体操や認知症予防ゲームをしている。奥山さんは「明日はわが身で、自分もいつ利用者に回るか分からない。助け合わないと」と話す。

 市区町村による軽度者向けの「総合事業」で政府が描くのは、こうした運動教室や家事の手伝いなど、介護の技術をあまり必要としない仕事を住民らに任せる「支え合い」の地域づくりだ。膨らみ続ける介護保険の費用を抑える狙いもある。

 ▽採算悪化

 松阪市では通所介護を手掛ける住民団体はあっても、訪問介護を引き受けた事例はまだない。元気な高齢者は農業などの仕事をしており、人手確保が難しいほか「プロでない人が家に立ち入ることに、利用者の抵抗感もある」(石川圭一(いしかわ・けいいち)松阪市高齢者支援課長)からだ。

 さらに最近、「ある介護事業所が、今後は要支援者を引き受けないと言っている」という情報が、現場の介護職から市の担当者に寄せられた。軽度者の介護は重度に比べて事業所の報酬が低い。その上、新サービスでは人員基準を緩める代わりに報酬も下がり、ますます採算が取りづらくなったためだ。

 今回のアンケートで、71市区町村は「従来の事業所が手を引いた」と回答。新潟県燕市の担当者は「事業所の多くは中重度の要介護者へのサービスに力を入れたいと考えている」と指摘する。過疎化の進む町や村では、地域にちらばる要支援者宅への移動に時間がかかるため、報酬が安い上に件数をこなせないこともネックとなっている。

 ▽底上げを

 事業の移行で業務量が増えたことに悲鳴を上げる自治体も。岐阜県羽島市は「度重なる制度改正で業務量が飽和状態に近かったところに、総合事業が加わり、既に処理可能な業務量を逸脱している」と青息吐息だ。

 財源と人材が限られる小規模自治体からは「地域資源が少なく、多様なサービスを提供することは非常に困難」(岡山県和気町)といった声や、「事業の移行で介護格差が生じる」(福井県高浜町)との懸念も聞かれた。北海道清里町の担当者は「国は人口の多い大規模な自治体しか見えていないのでは」と疑問を投げかけた。

 「認知症の人と家族の会」(京都市)の鈴木森夫(すずき・もりお)代表理事は「軽度者が専門的な支援から遠のく地域が出るのではないか」と不安を口にする。特に認知症は、軽度での早期対応がその後の進行を遅らせるのに重要とされる。「地域ごとに特色はあっていいが、まずサービス全体の底上げをすべきだ」と訴えた。
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軽度介護、自治体45%苦慮 住民ら担い手確保難しく 移行拡大、60%超が反対 全国市区町村調査

【出典:2017年8月21日 共同通信社】

 今年4月までに介護保険から切り離され、市区町村事業に移行した軽度の要介護者向けサービスに関する共同通信の調査で、回答した1575自治体の45%が運営に苦慮していることが18日、分かった。ボランティアら担い手を確保できていないことが主な理由で、地域住民が支え合う仕組みづくりの難しさが浮かび上がった。

 7段階ある要介護度のうち、軽い「要支援1、2」の人向け訪問介護と通所介護(デイサービス)は保険給付からはずれ、2015年度以降は「総合事業」として市区町村が提供するようになった。中重度者向けサービスに重点を置きたい政府は「要介護1、2」についても移行を検討しているが、これには60%超が反対した。

 事業の運営に「苦労している」と回答した市区町村は45・0%。「順調」と答えたのは27・4%、「どちらともいえない」が27・7%だった。

 サービスは介護事業所だけでなく、住民団体なども提供できるが、苦労している理由(複数回答)として「新たな担い手の確保が難しい」を挙げた自治体が49・5%と最も多かった。「運営のノウハウがない」20・7%、「移行させたことに無理がある」12・6%と続いた。

 自宅で家事援助などをする訪問介護、通って体操などをする通所介護は、いずれも住民主体型サービスが低調で、実施率は7%程度だった。

 要介護1、2向けサービスの移行について回答した1562自治体のうち、「反対」は63・7%。「どちらともいえない」が35・1%で、「賛成」はわずか1・2%だった。反対の理由は「要支援1、2向け事業の検証が先」が過半数を占めた。

 担当者からは「地域によっては住民の7割が65歳以上で、担い手確保は困難」(群馬県東吾妻町)、「これまで専門職がしてきた支援を住民に任せることに戸惑いがある」(京都府宇治市)などの声が聞かれた。

 調査は6~8月、全国すべての1741市区町村を対象に実施した。

 軽度者向けサービスの市区町村事業への移行は、14年に成立した地域医療・介護総合確保推進法に盛り込まれた。

 ※軽度要介護者向け総合事業

 7段階の要介護度のうち軽い「要支援1、2」の人を対象に、2015年4月から今年4月にかけて市区町村が始めた訪問・通所介護のサービス。全国一律の介護保険と異なり、自治体が地域の事情に応じて基準や利用料を定めることができる。正式名称は「介護予防・日常生活支援総合事業」。従来と同等のサービスのほかに、人員基準を緩めて事業所への報酬を低く抑えたり、ボランティアが運営したりする「多様なサービス」を設けた。配食や一般の高齢者向けの介護予防事業なども含む。専門性の高い訪問看護や訪問・通所リハビリテーションなどは介護保険給付に残った。
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100時間残業、精神むしばむ 5時間睡眠 うつ病リスク

【出典:2017年8月21日 日本経済新聞】

 政府は働き方改革関連法案に長時間労働の是正策を盛り込み、繁忙期の単月の残業を100時間未満に抑えるとした。過労は体調を悪化させるが、最近は特にうつ病など精神疾患との関係が注目される。長時間労働はどのように精神をむしばむのだろうか。

 長時間労働の問題が大きな注目を集めたのは2015年12月に過労自殺した電通新入社員の高橋まつりさん(当時24)について、労働基準監督署が昨年9月に労災認定してからだ。高橋さんは極端な長時間労働などにより、うつ病を発症したとみられている。

 では、どのくらいの長時間労働がうつ病を引き起こすのか。心筋梗塞や脳梗塞が過労死リスクを高めることは多くの研究で示されているが「うつ病などとの関係を追跡したデータは限られる」と北里大学大学院の田中克俊教授は指摘する。うつ病などは健康診断で測定する心電図や血圧などのデータに表れず、発症したタイミングや因果関係の特定が難しいからだ。

効率悪く悪循環

 数少ない研究報告のうち比較的有名なのは、英国のグループが数千人の公務員を追跡調査した結果だ。1日の労働時間が11時間を超えていた人は7~8時間の人に比べ、約5年後のうつ病の発症リスクが2.4倍ほど高かったとしている。

 田中教授は長時間労働が睡眠時間の短縮を招く点を重視する。「体調は神経系、免疫系、内分泌系などの連携で管理されており、昼間の負担を睡眠によって夜のうちに取り除かないと心身の病気のリスクが高まる」とみる。

 日本精神科産業医協会代表理事の黒木宣夫・勝田台メディカルクリニック院長も「残業で睡眠時間が減ると頭が働かなくなって時間内に業務を遂行できず、残業がさらに増える悪循環に陥りやすい」と警告する。肉体的な疲れ、人間関係など他のストレス要因がわずかでも加わると持ちこたえられなくなり、時には自殺に至る。

 企業約30社の産業医を務める医療法人社団同友会の大室正志医師は、診断の経験などから「睡眠が5時間を切るあたりからうつ病や適応障害などのメンタル不調が増える」と指摘する。通勤時間を考えると、5時間睡眠は月100時間程度の残業に相当するという。

 本人が自覚していない場合もあるが「長時間労働と短時間睡眠が数カ月続くと仕事の生産性は明らかに低下する」(大室医師)。たとえば60分でできていた仕事に90分かかる、メールの返信が遅れるようになる、などだ。残業と睡眠不足で生産性の低い社員が増えれば国全体としての生産性も下がる。

 退社から次の出社まで一定の時間を空ける「勤務間インターバル制度」は、心身の不調を招く長時間残業を避けるのに有効だと期待されている。欧州で先行導入され、ドイツでは原則11時間の休息を義務付ける。

 ただ、日本はドイツに比べて通勤時間が長いので11時間空けても実質的な休息時間は短くなる。9時間空けるとする企業もあるが、短すぎるとの見方が多い。北里大の田中教授は「本来は健康の基本である適正な睡眠時間の確保を第一に考え、そこから逆算して労働時間を決めるべきだ」と発想の転換を求める。

血液分析で診断

 最新の画像診断技術などを使えば残業時間、睡眠時間とうつ病などとの関係がもっと明確になり対策も立てやすくなるだろう。すでに近赤外分光法(NIRS)で脳の血液量を調べ、うつ病の診断に役立てる方法は広がりつつある。

 慶応義塾大学医学部の三村将教授らは陽電子放射断層撮影装置(PET)で脳内で神経伝達物質の取り込みを担う「ノルアドレナリン・トランスポーター」の密度を測定し、うつ病の症状との関係を明らかにした。慶大発ベンチャー企業ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(山形県鶴岡市)は手軽に測れる血中の微量成分の濃度から、うつ病を診断する手法の普及をめざす。今後のデータの蓄積に期待が集まる。

「過労死ライン」労災認定の目安 働き過ぎと発症、関連性強く

 政府が今秋の成立をめざす「働き方改革法案」には、残業時間を「月100時間未満」とすることを盛り込んだ。月100時間は「過労死ライン」とも呼ばれる。過労死の労災認定の根拠となる「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」に、著しい疲労の蓄積をもたらしたかを判断する目安として月100時間の記載があるからだ。

 具体的には「発症前1カ月間におおむね100時間、または発症前2カ月間ないし6カ月間にわたって1カ月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できる」などとしている。

 うつ病などに関しては、「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」がある。「強い心理的負荷」となる長時間労働として「発病直前の3カ月間連続して1カ月あたりおおむね100時間以上の時間外労働」などを例示。月100時間程度の「恒常的長時間労働」と転勤などの出来事との組み合わせも強い心理的負荷を招くとしている。

 セクハラやいじめとの関係なども示され、単純に残業時間と発症の有無とを結びつけてはいない。ただ、専門家の多くは、100時間程度の残業が続くと仕事上の様々な出来事に伴う精神的な負荷に耐えられる余裕がなくなると警鐘を鳴らす。
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ダウン症版母子手帳を発行 ゆっくりな成長に応じ記録

【出典:2017年8月21日 共同通信社】

 ダウン症のある赤ちゃんを持った親が子どものゆっくりな成長に合わせて記入しやすいよう工夫した母子手帳を、日本ダウン症協会が発行した。

 「子育て手帳 +Happyしあわせのたね」という名称で、ダウン症の子どもを持つ東海地方の母親サークルが企画・制作。前半には先輩パパ・ママのメッセージや体験談を載せ、後半に予防接種や成長の記録、うれしかったことなどを書き込めるようにした。

 市町村から配布される通常の母子手帳には、身長や体重の平均的な発育曲線が掲載され、「お乳をよく飲むか」「簡単な言葉が分かるか」などの項目ごとに「はい」「いいえ」に印を付けるのが一般的。親が発達の遅れで不安になってしまうため、そうした記載は省き、できるようになったことを「記念日」として記入する形式にした。

 無料で配布(送料100円)しているほか、専用サイトからダウンロードできる。申し込みなど詳しい情報は専用サイト(http://www.jdss.or.jp/tane2017/)に掲載されている。
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ダウン症:「いろんなことがあったけど、かわいく育っています」 家族が交流、先輩ママら助言 徳島のグループ

【出典:2017年8月21日 毎日新聞(徳島)】

 染色体数の違いで起きる「ダウン症」の赤ちゃんのいる家族が交流する「初めましてさんの会」が19日、徳島市内で活動を始めた。子どもに障害があることが分かって間もない母親が、同じ立場の先輩ママや看護師らと昼食を囲んでおしゃべりする。今後も月1回程度開き、母親同士が心を和らげられる場を目指す。

 徳島市沖浜町で、乳幼児や子育て中の母親対象のワークショップを開く「四つ葉の家」の神山純子さん(44)が企画した。自身もダウン症の次男太佑ちゃん(2)の母。妊娠中に手探りでインターネット上の情報を集めたことがあり「ダウン症の子育て経験がある家族に話を聞くのが近道」とこの会を始めた。

 19日は、生後1~5カ月の赤ちゃんの母親3人が参加。神山さんら2歳児の母親たちから、体や言葉の発達がゆっくりなダウン症の子どもの療育や、保育所などの受け入れについて経験を聞いた。

 「長い間頑張って授かった子なのに」と障害を受け入れられない切実な言葉も聞こえた。先輩の母親も「この生活を終わらせることばかり考えた時期もあった」と振り返り「いろんなことがあったけれど、かわいく育ってくれていますよ」と応えていた。

 今後も、協力する徳島大病院の看護師や助産師を通じて、出産直後の母親や出生前診断などでダウン症の告知を受けた母親らに会の活動を伝えてもらう。神山さんは「早い時期にダウン症について正しく知り、『かわいい』と思って育てられるよう支え合えたら」と話す。問い合わせはinfo.yotsuba.tokushima@gmail.comへ。
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訪日観光客、3割旅行保険入らず 医療費払えぬケースも

【出典:2017年8月21日 朝日新聞】

 外国人の訪日観光客が急増するなか、旅行保険に加入せず入国する人も多く、滞在中にけがや病気で多額の医療費がかかり、返済に窮するケースが報告されている。手術費などで1800万円かかった例も。医療費を滞納したまま連絡がとれなくなる事例もあり、観光庁は保険加入を呼びかけている。

 日本政府観光局によると、昨年の訪日外国人観光客は2011年の約4倍の約2400万人。外国人観光客を対象にした観光庁の13年の調査では、4%が旅行中にけがや病気をし、うち約4割が病院に行った。全体の約3割が、旅行保険などに入っていなかった。増加する途上国からの海外旅行者が、旅費をできるだけ抑えようとする実態などが背景にあるようだ。

 保険がなく、医療費を払えないケースも目立ち始めた。近畿運輸局の調査によると、回答した大阪府内147病院のうち、昨年5~7月に20機関(27件)で未払いが発生し、総額は1500万円を超えた。急病で61万円の治療費がかかったが、保険に入っておらず、クレジットカードもなく、現金の500ドル(約5万5千円)を払って帰国し、その後、音沙汰がない例もあった。

 北海道運輸局の道内の約1千カ所の病院を対象とした調査でも、28病院で過去3年に診療費の未払いが判明。こうした報告を受け、厚生労働省は現在、全国的な調査に乗り出している。
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訪日タイ人女性が急病、治療費1800万円 保険未加入

【出典:2017年8月21日 朝日新聞】

 外国人の訪日観光客が急増するなか、旅行保険に加入せずに入国し、けがや病気でかかった多額の医療費を自費でまかなわなければならないケースが相次いでいる。タイの女性は急病になり奇跡的に命をとりとめたが、手術などで治療費は約1800万円に。「一生かかっても払う」と言うが、返済のめどは立っていない。

 「雪が見たい」。タイ北部チェンマイに暮らし、日系企業の関連会社で働くワンウィサ・ジャイジュンさん(28)は1月、友人3人と日本にやって来て、新潟県のスキー場や富士山を訪れた。帰国予定だった同月20日、東京・御徒町のホテルから上野駅に歩いていた時、倒れた。

 「意識はなく、口だけが動いていた」。たまたま通りかかった埼玉県川口市消防局の消防士山本大介さん(47)は振り返る。山本さんは、ワンウィサさんの友人にその場で人工呼吸を手伝ってもらい、心臓マッサージを施した。その後ワンウィサさんは救急車で東京医科歯科大学付属病院(文京区)に運ばれた。
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血液1滴でがん13種診断 早期発見へ新検査法 体の負担少なく、安価に がんセンターが臨床研究

【出典:2017年8月21日 共同通信社】

 1滴の血液から13種類のがんの有無を同時に診断できる検査法を国立がん研究センターなどのチームが開発した。がんが分泌する微小な物質を検出する。「腫瘍マーカー」を使う現在の血液検査と比べ発見率が高く、ごく初期のがんも見つけられるのが特長という。

 チームはがん患者らを対象とした臨床研究を進め、数年以内に国の承認を得たい考え。センターの落谷孝広(おちや・たかひろ)・分野長は「患者の体への負担が少ない比較的安価な検査になる。早期発見できれば、より効果的な治療ができ、医療費削減にもつながる」と話している。費用は2万円になる見込み。

 腫瘍マーカー検査は、主にがん細胞が死ぬ時に出るタンパク質を検出するもので、ある程度がんが進行しないと発見が難しい上、正確性に問題がある。

 チームは、がんが血中に分泌する「マイクロRNA」と呼ばれる物質に着目。国立がん研究センターや国立長寿医療研究センターなどに冷凍保存されていた約4万3千人の血液を使い、乳がんや大腸がんなど13種類のがんに特徴的なマイクロRNAを調べた。

 すると、それぞれのがんに2~10種類の特有のマイクロRNAがあることが判明。分泌量の変化を調べることで、どのがんも95%程度の確率で発見できた。13種類は胃がん、食道がん、肺がん、肝臓がん、胆道がん、膵臓(すいぞう)がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がん、ぼうこうがん、乳がん、肉腫、神経膠腫(こうしゅ)。

 人工知能(AI)を分泌量の分析に利用すれば、検査の精度をさらに高められる可能性がある。

 ただ長期間保存した血液は、マイクロRNAが変質している恐れもある。このため新たにがんと診断された人ら3千人以上の新鮮な血液を採取し、有効かどうかを調べる臨床研究を進める。現段階では一般の人を対象とした研究は予定していない。チームは、まず乳がんの検査法としての承認を目指したいとしている。

 ※マイクロRNA

 DNAによく似たリボ核酸(RNA)でできた微小な生体分子の一つで、細胞の中で遺伝子の働きを調節するなどしている。人では2500種類以上が見つかっている。体内の細胞は、マイクロRNAを「エクソソーム」という小さな袋に詰めて血中に分泌する。がん細胞も、正常な細胞とは異なる特有のマイクロRNAを放出して他の細胞に働き掛け、周囲に新たな血管を作らせたり、免疫反応による攻撃をやめさせたりしている。
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