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「ストレスで突然死」仕組み解明…マウスで確認

【出典:2017年8月16日 読売新聞】

 慢性的なストレスが胃腸炎や突然死を招く神経メカニズムをマウスで確かめたと、北海道大の村上正晃教授らのチームが15日、オンライン学術誌「イーライフ」で発表した。

 ストレスが体の不調を引き起こす仕組みを解明したのは初めてで、ストレス性疾患の新たな治療法の開発が期待できるという。

 研究チームは、飼育箱の底に水をためて熟睡させないなどストレスを与えたマウスを使って実験。脳内のストレス中枢が活性化すると、血中の特定の免疫細胞が脳内血管に集まり、小さな炎症が発生することを確認した。さらに、神経を通じて消化管に炎症が広がり、血中のカリウムが増えることで心不全につながることも見つけた。

 この免疫細胞を注入されたマウスは、ストレスを与えると1週間で約8割が死んだという。同じ細胞は人間の血液中にもあり、血液検査で細胞の有無を調べれば、ストレス性疾患のかかりやすさを推定することも可能だという。
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中国製混入は「在庫処分」 解熱鎮痛剤不正、業者報告

【出典:2017年8月16日 共同通信社】

 解熱鎮痛剤アセトアミノフェン(AA)を製造する国内大手原薬メーカー「山本化学工業」(和歌山市)が、無届けで製品に中国製を混ぜて出荷していた問題で、同社が不正開始について「別製品の試作に使った中国製AAが約13トン残り、在庫処分するためだった」と和歌山県に報告していたことが15日、分かった。

 不正のきっかけや動機が判明するのは、一連の問題発覚後初めて。

 県によると、医薬品の原料などを変更する場合、独立行政法人「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」に届け出なければならないが、同社は怠り、米国産原料から製造した、風邪薬の成分に使われるAAに、輸入した安価な中国製を混ぜるなどして製薬会社に出荷していた。処分権限を持つ県が6月、医薬品医療機器法に基づき、22日間の業務停止命令と業務改善命令を出した。

 同社が県に7月提出した改善計画書によると、中国製AAを使う製品の計画が2008年にあったとした上で「計画が進展せず、試作に使った中国製AAが約13トン残り、当時の製造管理責任者が在庫処分方法として添加を考えた」と、不正を始めたきっかけを報告。「その後も中国製の購入が続けられ、コストダウンと、かさ増しの目的で使用された」とした。

 不正を続けた動機については「AAは薄利で、原価低減のため中国製を輸入し添加した」と説明。「組織的審議を経ずに当時の製造管理責任者と品質管理責任者の意思で行われた」としている。

 県によると、同社は今年5月下旬から製品の出荷を停止している。

 ※アセトアミノフェン(AA)

 解熱鎮痛剤の一種。脳の中枢に作用して熱を下げるほか、痛みを和らげる効果があるとされる。市販の風邪薬(総合感冒薬)の主要成分として広く用いられ、頭痛や腰痛、歯痛などでも処方される。信用調査会社によると、和歌山市の山本化学工業のAA国内製造品シェアは不正発覚前、約8割。
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昔は悪魔払いの対象、卵巣奇形腫合併も…「抗NMDA受容体脳炎」治る病気に

【出典:2017年8月16日 読売新聞】

 ウイルス感染で起こることは知られている脳炎だが、原因不明とされてきたものも少なくない。その中で最近、神経の情報伝達を担う「NMDA受容体」に関連する脳炎の研究が進み、治療法もわかってきた。

免疫の異常が原因

 脳炎は、脳内の炎症で発熱や意識障害、性格の変化などが起こる。単純ヘルペス脳炎などウイルス感染が原因になるほか、免疫異常による「自己免疫性脳炎」もあり、その一つが「抗NMDA受容体脳炎」だ。

 NMDA受容体は分子の集合体で、脳内の神経細胞のつなぎ目で神経伝達物質を受け取り、情報を伝える。抗体は本来、体外からの異物を攻撃する免疫物質だが、何らかの原因でNMDA受容体にくっつく抗体ができて、受容体の機能を低下させ、脳炎になるという。

回復に数年も

 興奮や妄想など統合失調症に似た症状、意識障害やのけぞり、手足のばたつきなども起きる。 昏睡状態が続き、人工呼吸器を使うこともある。昔は悪魔払いの対象にもなった。若い女性に多く、その半数に卵巣の奇形腫を合併するとされる。

 2007年に米国研究者が発症の仕組みを報告。日本でも知られるにつれ、患者が増えてきた。300万人に1人程度とする過去の調査もあるが、今はもっと多いとみられている。

 治療は、卵巣の奇形腫があれば摘出し、炎症を抑えるステロイドの大量点滴や、血液中の原因物質を特殊な装置で取り除く 血漿交換療法などを行う。回復には数か月~数年かかるが、社会復帰した人は多い。

 大阪医科大学神経内科医師の中嶋秀人さんは「回復するとしても、患者や家族への負担は大きい。重症の場合は難病や特定疾患に指定するなど、支援体制が整うことを期待する」と語る。

患者会が発足

 6月末、東京都内で患者会が発足した。全国から集まった約110人の患者や家族が、互いの治療や取り巻く環境を語り合った。

 会代表の片岡美佐江さんも、長女(38)が13年に発症し、今も入院中で意識がない。片岡さんは「患者や家族が集まると、それぞれ状況が違うことがわかる。情報交換しながら互いに支え合いたい」と話す。

 この病気をよく知らない医師も多く、様々な科に回されたり、精神疾患と診断されたりして治療開始に時間がかかることがある。

 昨年、当時8歳の娘が発症した女性(48)は、手足のしびれや頭痛を訴えた娘を病院に連れて行くと、経過観察で入院。1週間後の脳波検査で「原因不明の脳症」とされた。治療を始めたが、約3か月後、寝たきりのままで退院が決まった。

 退院時の検査で卵巣の奇形腫が見つかり、摘出すると劇的に回復。抗NMDA受容体脳炎だと分かった。今はリハビリを続けながら、小学校に通っている。

 脳炎の抗体検査を研究する新潟大学脳研究所特任講師の田中恵子さんによると、診断には髄液を採取して抗体を調べる必要があるが、診療経験がない医師が早期に疑うのは難しい。

 若い女性患者は、進学や就職、結婚など人生の節目と病気が重なる。田中さんは「回復までに数年間費やすのは大変。早期に正しい治療に結びつくよう、医師も一般の人も正しい知識を知ってほしい」と話す。
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健康食品で薬物性肝障害、国民生活センターが注意呼びかけ

【出典:2017年8月16日 読売新聞】

 健康食品の摂取で、体質によっては薬物性肝障害を発症する場合があるとして、国民生活センターが注意を呼びかけている。

 同センターには2014年8月以降、全国の医師から「健康食品が原因で薬物性肝障害になった患者がいる」との情報が計9件寄せられた。特定保健用食品を飲用して重症になり、1か月以上入院したケースもあった。健康食品に問題はなく、摂取した人の体質が原因とみられる。

 薬物性肝障害は、医薬品だけでなく健康食品の摂取でも、肝臓への大きな負荷やアレルギー反応などが原因で発症することがあるという。同センターでは「発症はまれだが、劇症化すれば死亡の恐れもある。倦怠感や食欲不振など不調を感じたらすぐに摂取をやめ、医療機関を受診してください」としている。

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再生医療で白斑治療 名古屋市大、初の臨床研究

【出典:2017年8月16日 共同通信社】

 紫外線から皮膚を守るメラニン色素を作る機能が失われ、皮膚の色が白く抜けていく「尋常性白斑」の患者に対し、本人の皮膚細胞を培養して作った表皮細胞シートを移植する再生医療の初めての臨床研究に、名古屋市立大病院が7月から取り組んでいる。同病院は「(白斑は)生活の質に大きく関わる」とし、移植の有効性を確認して保険適用を目指す。

 尋常性白斑では、皮膚にある色素細胞が減少したり消滅したりして、メラニン色素が作られなくなる。ストレスも一因と考えられるが、はっきりした原因は分かっていない。全人口の0・5~1%が罹患(りかん)しているとも言われ、主にステロイド剤の外用などで治療する。

 培養皮膚の移植は、重度のやけどや、生まれつき体に黒褐色のあざがあり皮膚がんの発症リスクが高いとされる「先天性巨大色素性母斑」の治療で保険が適用されるが、尋常性白斑は対象外。

 臨床研究では、患者の脇の下などから切手大の皮膚を採取し、再生医療に関する製品製造などを手掛ける「ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング」(愛知県蒲郡市)でシート状に培養。同病院で移植手術を行う。

 最低約50万円の治療費は患者負担となるが、同病院は約20件の治療を実施後、費用の一部に保険が適用される先進医療として厚生労働省に申請する予定。その後も治療を重ね、保険適用につなげたいとしている。

 同病院の鳥山和宏(とりやま・かずひろ)教授(形成外科)は「患者の皮膚を直接移植する従来の方法より広い範囲を治療できる。施術後も皮膚表面の凹凸や色合いが目立ちにくいというメリットがある」と話している。

 ※培養表皮移植

 患者本人から正常な皮膚組織を採取して表皮細胞を培養、シート状にして移植する治療法。拒絶反応の心配がなく、広い範囲に移植できる。日本では2007年、「ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング」の培養表皮が初めて製造を認められた。09年には重度のやけど患者への移植に保険が適用され、16年には「先天性巨大色素性母斑」に適用が拡大された。
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キズとカタチの総合医:守備範囲は体の表面=桜井裕之・東京女子医科大学形成外科教授

【出典:2017年8月16日 毎日新聞】

 みなさんには、けがや病気の内容に応じて、受診しようと思い浮かぶ診療科があると思います。

 腕を骨折した時には整形外科、気分がふさぎ込んだ時には精神科、生理不順の時には産科婦人科……といった具合です。

 では、「形成外科」が対象とする病気やけがは? 残念ながら、分からない方がほとんどでしょう。

 私が勤務する東京女子医科大形成外科の外来患者さんも、他の診療科の先生から「形成外科で診てもらってください」と紹介されてきた方が大半です。

 実は形成外科は、頭のてっぺんから爪先まで、体の表面のありとあらゆる病気やけがを守備範囲としています。もちろん、老若男女を問いません。だからこそ、何をしているのか分かりにくいのですが、私は「キズとカタチの総合医」と呼びたいと思います。

 先日、最近物が見えにくくなったという70歳代の女性患者さんが、眼科から紹介されてきました。

 眼球の問題ではなく、加齢につれてまぶたが垂れ下がり、視野が遮られるようになっていたのです。まぶたの緩みを取る手術をしました。視野が回復し、見た目も若返ることができたと喜んでおられました。

 乳がん治療の最大の目的はがんの根治で、手術や抗がん剤治療などにより目的を達成しようとします。

 しかし、乳房の形が大きく損なわれれば、生活の質も損なわれると感じる患者さんも多くいます。乳房をできるだけ元の状態に戻そうとするのも、形成外科の仕事の一つです。

 このように形成外科は外観や形にこだわります。

 体表面の異常としてだれもが経験するのが、さまざまな原因で生じる傷です。

 元来、傷の治療は傷をふさぐことが目的でしたが、現代では傷痕がどのような状態になるのかも気にするようになりました。

 例えば、小さなお嬢さんが顔に傷を負った時、どう縫えば傷痕が目立たなくできるかをよく知っているのは形成外科医です。

 社会の急激な高齢化や糖尿病など生活習慣病の蔓延(まんえん)により、近年、傷が治りにくい患者さんが増えています。病気に対する治療の副作用で、傷が治りにくくなることもあります。そんな時は、やはり形成外科医の出番となります。

 命を救う。病気を治す。そのために進歩してきた現代医療の中で、見過ごされがちだった傷と形の問題に取り組む、形成外科の今をお伝えしていきます。
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長寿のヒント探る 100歳超多い京都・丹後と平均寿命が短い青森 15年かけ比較研究へ

【出典:2017年8月16日 河北新報】

 弘前大と京都府立医大などのチームは、100歳以上の人口の割合が全国平均より高い京都府北部の丹後地域と、平均寿命が短いと言われる青森県の住民の健康状態を比較して長寿の秘訣(ひけつ)を探る研究を始める。

 チームは14日、調査対象者の募集を開始。府立医大の的場聖明教授は「全国でも珍しい試み。生活習慣の秘密を調べ、長寿を他の地域にも広げたい」と話す。

 住民基本台帳によると、今年1月1日現在、10万人当たりの100歳以上は全国平均で約50人。京都府の京丹後市、宮津市、伊根町、与謝野町からなる丹後地域には約2.7倍の約135人いる。男性では世界最長寿とされた木村次郎右衛門さん(2013年に116歳で死去)も京丹後市在住だった。

 一方の青森県は、厚生労働省の近年の統計データで平均寿命が男女とも全国最下位となった年がある。全国との健康格差を縮めるため、県は「短命県返上」や「健やか力推進」を合言葉にさまざまな対策を講じている。

 チームは、京丹後市で65歳以上の1000人を募集し、15年間にわたり、健康診断をして栄養状態やホルモンのバランス、日常生活や食事内容など計約2000項目を調査。弘前大などが実施している弘前市岩木地区の健診データと比較し、分析する。

 九州大などが長年調べてきた福岡県久山町の住民の診断結果も参考にする予定だという。
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全国どこでも子育てパス 今春から使用可能に

【出典:2017年8月16日 共同通信社】

 子育て世帯が地元の店舗などで割引や特典サービスを受けられる「子育て支援パスポート」が、2017年度から全国共通で使えるようになった。居住する都道府県に加え、旅先や帰省先でもサービスが利用できる。内閣府も全国共通ロゴマークを作りPRに力を入れる。

 子育て支援パスポートは各都道府県が発行し、デザインや形はさまざま。携帯画面などデジタル形式を採用する自治体もある。協賛する企業や店舗でパスポートを見せれば(1)プレゼントなどの特典や料金割引(2)授乳・おむつ交換のスペースや粉ミルク用のお湯提供―といったサービスが受けられる。対象は原則18歳未満の子どもがいる世帯だが、小中学生や未就学児に限定している自治体も。協賛店には自治体から店頭PR用のステッカーやポスターが配られる。

 内閣府が主導して全国展開を開始。今年4月に神奈川県が加わって、全47都道府県でそろった。

 16年度にパスポート事業を始めた沖縄県では現在約1100店が協賛。県の担当者は「全国共通になり、県民だけでなく観光客の利用や問い合わせが増えた。子育て世代の旅先の選択にもいい影響を与える可能性がある」と手応えを感じている。

 全国の協賛店数は古いデータしかなく、10年時点で約22万店だが、内閣府は20年度までに44万店の登録を目指す。内閣府の担当者は「子育て世帯を応援するため、協賛店舗の拡大やサービスの充実を進めていく」と話している。
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乳幼児に肺炎も、RSウイルス感染症の患者急増

【出典:2017年8月16日 読売新聞】

 乳幼児に肺炎などを引き起こす可能性がある「RSウイルス感染症」の患者が国内で急増し、8月6日までの1週間で昨年同期と比べて5倍近い4934人に上ることが、国立感染症研究所の調べで分かった。

 流行が例年より早く始まり、専門家が感染予防を呼びかけている。

 同感染症は、発熱やせきなど、かぜのような症状が表れる。呼吸器に症状が出て、乳幼児や高齢者を中心に気管支炎や肺炎を起こしやすい。一般的に秋から冬に患者が増える。

 同研究所によると、全国約3000の小児科からの報告のあった患者数は、前週に比べて約1600人増えた。都道府県別では、東京(583人)、神奈川(519人)、大阪(400人)、福岡(374人)、愛知(175人)と大都市圏で多いほか、北海道(245人)、福島(189人)、鹿児島(163人)、新潟(152人)、愛媛(120人)、岩手(100人)などで目立った。
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診断書記入「15%不適切」 名古屋大が小児科調査

【出典:2017年8月16日 共同通信社】

 正確な死因の集計には、医師が死亡診断書を適切に書いたかどうかが重要になる。だが、名古屋大病院が愛知県内の小児科を対象に実施した調査では、約15%の診断書に記入漏れなどの不適切な事例がみられた。

 日本小児科学会の「子どもの死亡登録・検証委員会」副委員長で、同病院救急科の沼口敦(ぬまぐち・あつし)助教によると、愛知県で2014年に死亡した15歳未満189人の診断書と、死亡までの経過を記載した診療録を照合した結果、うち29人(15・3%)の診断書で死因欄などの記載が不十分だった。

 「肺うっ血」が死因とされた例では、「児童相談所に保護された後に原因不明の突然死」と診療録に書かれていたのに、診断書には記載がなかった。解剖で病名が特定されたのに、死因を「不詳」とした例もあった。

 不十分な記載が散見される背景として、沼口助教は医師の経験不足などを挙げる。死亡診断書を作成する頻度は、小児科医1人当たりで5年に1回程度。虐待の有無を見極めるのに時間を要する場合など、遺族に速やかに診断書を渡すため暫定の死因を書くケースもあるという。

 「このような状況で、正確な集計につながる死亡診断書を書くことは難しい」と沼口助教。「臨床医や解剖医、警察などが死因を協議する場を設けたり、診断書記入の研修を開いたりする必要がある」と提言している。

 ※死亡診断書

 人の死を医学的、法律的に証明するため、医師が死亡日時や場所、死因などを記入して遺族に交付する。火葬の許可を得たり戸籍を抹消したりする際に必要。国の死因統計の資料にもなるため、厚生労働省は医師らに向けマニュアルを出して適切な記入を求めている。診療中の疾病ではない外因死などの場合は死体検案書とし、詳しい状況なども書く。
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虐待実態把握へ死因再分析 未成年全員を5年分、千葉 集計体制改善の提言も

【出典:2017年8月16日 共同通信社】

 見過ごされた子供の虐待死などがないかを把握しようと、千葉大と千葉県が、2012~16年の5年間に県内で死亡した全ての未成年者、約1280人の死因を再分析する調査を始めることが16日、千葉大などへの取材で分かった。18年度末をめどに結果をまとめる。

 国の死因集計は実態を反映していないとの指摘があり、再分析結果を集計体制改善への提言や児童虐待防止につなげる狙い。千葉大の岩瀬博太郎(いわせ・ひろたろう)教授(法医学)は「防げる子供の死を少しでも減らしたい」と話す。死因の再分析を、県の規模で抽出ではなく全例で実施するのは珍しいという。

 児童虐待による死者数に関し日本小児科学会は、一部自治体で11年に死亡した15歳未満の事例を独自分析し、全国で約350人と推計。一方、11年度の厚生労働省の集計は全国で99人(18歳未満、無理心中を含む)と数字に開きがあることから、同学会は「多くの虐待死が見逃されている恐れがある」として、国に対応強化を求めている。

 千葉大などは再分析で、死亡診断書を基に作成された死亡票などを調べる。解剖所見があれば照合して死亡の経緯までさかのぼり、虐待疑いの有無や疾患の見逃しがなかったかなどを点検する。

 取りまとめた再分析結果は、児童虐待防止の関係機関に提供して対応に役立ててもらうほか、同様に死因再分析に取り組む自治体があれば、手法などの提供も検討する。

 厚労省が人口動態統計をまとめるのに使う死亡票は、同省で厳しく管理されているが、千葉県は虐待死削減などを目的に開示を申請し、7月下旬に認められた。

 岩瀬教授は、虐待死などの正確な集計には死亡票や死亡診断書の適切な作成が重要とする一方、「記入が十分ではないケースもあるだろう」と指摘する。具体的には、解剖せずに診断してはならないとされる乳幼児突然死症候群(SIDS)を解剖なしで死因欄に記載したり、虐待死が疑われるのに記入しなかったりした例があるという。
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(大分)認知機能診断、医師悩む 患者減恐れ二の足 改正道交法施行5カ月

【出典:2017年8月16日 西日本新聞】

 75歳以上の高齢ドライバーに対する認知機能検査を強化した改正道交法が施行されて5カ月になるが、戸惑いを隠せないのが医療現場だ。診察対象者が認知症と診断されると運転免許の取り消しになりうるためで「実質的に医師が免許証を取り上げることになり、患者との関係が悪くなる」と診断に二の足を踏む。高齢ドライバーの事故は県内でも相次いでおり、公益性を見据えた判断が求められている。

 「認知症といってもさまざまで、運転できるタイプもある。MCI(軽度認知障害)が逃げ道というか、落としどころでは」。6月上旬の夜、佐伯市内。改正道交法をテーマに医師16人が集った意見交換会の席上、ある精神科医が言った。

 MCIは記憶力や集中力の低下がみられるものの、日常生活には支障がない状態。認知症ではないが、10~15%は認知症に進行するため「認知症予備軍」ともいわれる。改正道交法上は、MCIならば半年ごとの経過観察が条件ながらも運転継続が可能となる。精神科医の発言は、この内容を念頭に置いたものだった。

 認知症と診断して長年の患者が怒って来院しなくなったケースもあり、高齢者にとって認知症はいまだ心理的な壁がある。「かかりつけ医として、患者さんが運転できなくなる認知症と診断していいものだろうか」と別の医師。一方で「認知症ではない」と診断した患者が、認知機能の低下を原因とする事故を起こしたら損害賠償責任が生じないかとの懸念もつきまとう。

 意見交換会には医療訴訟に詳しい弁護士も参加し、医師たちの心配を吹き飛ばすように言った。「認知症ではないと診断しても損害賠償責任を負うことはないと思うが、最も安全なのはMCIと診断することだ」

   ◇    ◇

 「運転免許取り消しというと乱暴に聞こえるが、認知症と分かった場合、本人の安全を担保したり大惨事を予防したりするためにも、一刻も早く運転を止めなければならないという考え方だ」。県警運転免許課の山本満彦警視は強調する。

 県内では5月、大分市の大分中村病院待合ロビーに70代女性が運転する軽乗用車が突っ込み、18人が負傷。6月には日田市の児玉医院の玄関に60代女性が運転する軽乗用車が突っ込む事故も起きた。いずれも、アクセルの踏みすぎやブレーキとの踏み間違いといった運転操作の誤りが原因だったとみられる。

 「運転免許対策は組織の垣根を越えて連携する必要がある。とりわけ医師の免許返納の勧めは大きい」と山本警視。自治体、県警、医療、介護、そして家族も。「年寄り笑うな 行く道じゃ」という言葉もある。免許返納を高齢者だけの問題にせず、社会全体の問題と捉えたい。

    ◇      ◇

■免許の自主返納は増加

 今年1~5月に県内で起きた交通事故1652件中、65歳以上のドライバーが起こしたのは356件で22%を占める。死亡事故に限ると、高齢者事故の割合は4割まで増加。高齢者事故の原因は「前方不注視」「安全不確認」が多く、認知機能の低下が背景とみられる。

 改正道交法や相次ぐ高齢ドライバーによる事故の影響で、運転免許の自主返納数は増加傾向にある。県警運転免許課によると今年1~5月、県内の65歳以上の返納者は前年同期に比べ1・6倍の1909人に上る。

 返納後の移動手段に困らないよう、大分市や宇佐市が70歳以上の免許返納者にタクシーチケットやバスの回数券を1万円分交付するなど、公的支援の動きは加速。県警も6月から、免許更新を半年後に控えた80歳以上に、公的支援制度の資料を郵送する取り組みを始めている。

 とはいえ生活の足として車が欠かせない人がいるのも確かだ。大分市下戸次の男性(74)は、JR大分駅まで車で30分。市中心部行きの最寄りバス停は1時間に1本のみ。畑仕事に出るのも、約20キロある肥料を車なしでは運べない。「免許返納なんて田舎には通用せん」。ただ、いつか事故を起こす懸念は拭えない。

 警察庁は高齢者の交通事故防止対策として、自動ブレーキとペダル踏み間違い時の加速抑制装置を搭載した「安全運転サポート車」に限って運転できる「限定免許」を導入するなど、免許制度の見直しに取り組む方針だ。

【ワードBOX】改正道交法

 3月12日施行。75歳以上の運転免許保有者が3年ごとの更新時に受ける認知機能検査で「認知症の恐れがある」と判定された場合、医師による診察を義務化。認知症と診断されれば、免許取り消しか停止となる。更新前でも、逆走や信号無視などの違反をした場合は臨時検査を受けなければならない。
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(群馬)免許取り消し75歳以上3人 認知機能検査強化

【出典:2017年8月16日 上毛新聞】

 高齢運転者に対する認知機能検査を強化した改正道交法が3月12日に施行されてから7月末までの間に、運転免許更新時などに「認知症の恐れがある」と分類された75歳以上の人は群馬県内で749人いたことが15日、県警への取材で分かった。このうち3人は専門医に認知症だと診断された後、免許を取り消された。

 県警によると、県内で取り消されたのは全員男性で70代2人、80代1人。認知症と診断された後で、県公安委員会による聴聞を経ていずれも7月中に取り消しとなった。

 75歳以上の免許保有者は3年ごとの更新時に判断力などを確かめる機能検査を受け、認知症の恐れがある第1分類に振り分けられると、専門医の診察を受けなければならない。認知症と診断されれば、免許の取り消しか停止となる。逆走など一定の交通違反をした際にも、臨時の機能検査が課せられる。

 3月12日~7月末に機能検査を受けた人は計1万8820人で、このうち第1分類の割合は4%だった。認知機能低下の恐れがある第2分類は6127人(33%)、低下の恐れがない第3分類は1万1944人(63%)だった。

 第1分類と診断されても、すぐに運転できなくなるわけではない。県内の749人の場合、再び機能検査を受けて成績が良くなったのが135人。一方、89人は免許を自主返納した。専門医による診察を受けたのは86人で、この中の43人は認知機能の低下がみられるとして、定期的に診断書を提出することが求められた。

 県警運転免許課は、この制度は高齢者から免許を取り上げるのではなく、体の状況を自覚してもらい、交通事故を防ぐためのものだと説明。「運転に何か不安があれば気軽に相談してほしい」と呼び掛けている。
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訪問看護師:新卒採用 団塊高齢化で需要増 世代多様化に意義

【出典:2017年8月16日 毎日新聞】

 「訪問看護師になるには、病院の臨床経験が3~5年は必要」という考えが根強くある中、少数ながら新卒看護師を訪問看護師として育てる試みが各地で始まっている。団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年を前に在宅ケアの需要増が予想されるからだ。

 6月の朝、訪問看護師の山下宏美さん(28)が自転車で東京都世田谷区の利用者宅に到着した。「おはようございます」。90歳の女性の顔をのぞき込み、血圧や体温を測る。

 女性は腰を痛めて寝たきり状態だ。「変わったことはないですか?」「医師から耳鼻科受診をすすめられて……」。家族の話を聞き、カルテに記載。皮膚や体の状態を確認し、必要な処置をした。

 山下さんは訪問看護師7年目。現在は世田谷区の「セコム成城訪問看護ステーション」に勤務する。大学の実習で訪問看護に魅力を感じ、新卒で飛び込んだ。1日約5件を訪問するほか、医師やケアマネジャーなどと相談・情報交換を行う。利用者は子どもから高齢者まで、扱う疾患も難病やがんの終末期までと、さまざまだ。「訪問看護次第でその人の生活や最後の暮らし方が変わる。細かい変化にも早く気付くよう心がけています」

 運営する「セコム医療システム」(東京都渋谷区)は06年度からいち早く新卒訪問看護師の採用を始めた。毎年5人程度採用し、ステーションに1人ずつ配置。先輩との同行訪問、病院研修など独自の育成カリキュラムがある。育成に関わる小西優子・クオリティマネージメント室長は「新卒者は意欲があって吸収力や成長力もある。多様な世代がそろえば組織も安定する」と新卒採用の意義を説明する。

 地域全体で育てるケースも。山梨県看護協会は14年度から新卒を採用。訪問看護の歴史が長い同県では年齢層が高く、若手を求めていた。県立大看護学部の教員から「訪問看護を希望する学生がいる」と相談を受けたこともあり、採用を始めた。「地域型」の強みは、県立大や県立病院など地域の教育、医療、介護機関が連携して育てられる点だ。同協会の石原準子・訪問看護ステーション部長は「新卒の育成には看護協会、県など関係機関の協力が重要だ」と話す。

 東京都は昨年度から訪問看護未経験者を採用する事業所への支援を始めた。育成の助言や、採用職員1カ月分の給与と研修費を補助する。担当者は「小規模な事業所が多く、育成者への指導は好評。訪問看護師をより増やしたい」とする。

 国は、患者の療養の場が「病院」から「地域」へ移行するよう促しており、25年に向け訪問看護サービスをさらに拡大したい考えだ。だが、看護職員のうち病院・診療所で働く人が8割を占め、訪問看護は2%にとどまっている。

 一方、訪問看護を希望する看護学生も実際に新卒で就く人は少ない。聖路加国際大大学院の山田雅子教授は「学生が希望しても『まずは病院で』と反対する教員もいまだに多い」と説明する。

 それでも、新卒の訪問看護師を受け入れる事業所は少しずつ増えている。山田教授は「病院と在宅では求められるケアが異なる。新卒から訪問に取り組むことで、生活支援のプロとしての力を持つ人材の育成ができる」と話した。

 ◇育成者養成へ講座 聖路加国際大など

 14年度の全国訪問看護事業協会の調査では、過去5年に新卒で訪問看護師を採用した事業所は、回答1420事業所の2%(35事業所)。新卒採用に関心がある事業所も23%あったが、育成の労力などに不安があり、踏み切れていないという。

 新卒から育てるには適切な指導者が不可欠だ。14年には、聖路加国際大や訪問看護事業者などでつくる「きらきら訪問ナース研究会」が結成され、育成人材の研究や普及の活動に取り組んでいる。

 同研究会は7月、事業所などを対象とした育成者養成講座を初めて開催。4回の講座には、新卒採用を検討中の事業所も含め22人の担当者が参加する。

 一方、新卒訪問看護師自身も15年に「全国新卒訪問看護師の会」を結成した。新卒同士が交流し、学び合うことでキャリアを広げるのが狙いだ。会員は新卒訪問看護師や志望学生など約90人で、月1回、勉強会や交流会を開く。

 代表の小瀬文彰さん(26)は都内で働く訪問看護師で、13年に新卒採用された。当時は自分と同じような「新卒」と出会うことがなく、情報交換をしたいと思ったのが会のきっかけだ。小瀬さんは「新卒者就業やキャリア普及の課題も多い。情報発信や研究を重ね、新卒訪問看護師を当たり前のキャリアにしたい」としている。
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水銀規制の水俣条約、発効 体温計や電池、製造禁止へ

【出典:2017年8月16日 共同通信社】

 水銀による環境汚染や健康被害の防止を目指す「水銀に関する水俣条約」が16日、発効した。鉱山での水銀産出から輸出入を経て使用、廃棄まで、すべての過程を国際的に規制する取り組みが始まる。

 条約は前文で、水俣病の教訓と、同様の被害を将来発生させないことに言及している。水銀を含む体温計や電池などの製造、輸出入を2020年までに原則禁止し、水銀の大気や水、土壌への排出削減や適切な保管と廃棄を定めている。

 9月下旬には、スイス・ジュネーブで第1回締約国会議を開催。確実な実施に向け、締約国の水銀にまつわる各種データの報告方法などについて議論する。水俣病患者らも現地を訪れ、被害の現状を訴える予定。

 水銀は環境に排出されると分解されずに循環し、人間への毒性が強い。先進国では使用量が減っているが、途上国では金の採掘や触媒などとして使われ続けている。

 水俣病は「公害病の原点」とされ、熊本県水俣市のチッソ水俣工場がメチル水銀を含む排水を海に流し、汚染された魚介類を食べた住民らが手足のしびれなどの神経障害を発症した。

 水俣条約は13年に熊本市での会議で採択され、日本は16年に締結。今年5月に欧州連合(EU)や加盟国が相次いで締結手続きを終え、発効の条件である50カ国に達した。
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