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広がる「赤ちゃん先生」 栃木県内、学校・施設で触れ合い活動

【出典:2017年8月11日 下野新聞】

「人と人つなぐ力」 母親の社会参加も

 学校や高齢者施設などで赤ちゃんと触れ合う活動が県内で広まっている。少子高齢・核家族化による異世代交流の難しさなどを背景に、教育的効果を期待して取り組む自治体もある。産後に孤立しやすい母親の社会参加を後押しする役割も大きいようだ。

 6月下旬、宇都宮市平出町の介護老人保健施設「宇都宮シルバーホーム」。NPO法人ママの働き方応援隊(本部・神戸市)による「赤ちゃん先生プロジェクト」が行われ、生後2カ月~3歳の母子5組が、認知症を患う入居者約30人と一緒に歌や体操を楽しんだ。

 優しい笑みを浮かべ、赤ちゃんをあやそうとするお年寄りたち。中里與志雄(なかざとよしお)さん(93)は「目に入れても痛くないというが、まさにその通り。かわいいという言葉以外、何にも言えない」。にじむ涙をティッシュペーパーで押さえた。

 同施設の鈴木亜紀(すずきあき)看護係長は「表情が全然違う」と目を潤ませた。孫やひ孫は遠方にいて、接する機会がない入居者も多いという。「子育て経験のある方も多く、早期記憶を呼び起こし、脳を刺激する効果も高いのでは」と期待を寄せた。

 0~3歳の親子がさまざまな施設を訪れる同プロジェクトは2012年にスタート。県内では、昨年8月に「栃木宇都宮校」が立ち上がり、「前橋校足利学級」と合わせてママ講師22人、赤ちゃん先生19人が活躍中だ。

 1回2千円の謝礼も支払われ、仕事としても注目されている。栃木宇都宮校の川辺真美子(かわべまみこ)代表は「赤ちゃんには人と人をつなぐ力がある。お母さんが外に出るきっかけとなり、1人でも笑顔になれるよう、活動を広めたい」と力を込める。

 「目が合うと笑ってくれた。かわいかった」。高根沢町阿久津中で今月13日に行われた「赤ちゃんふれあい『いのち』の授業」。赤ちゃんを抱っこした2年の野口仲吾(のぐちちゅうご)さん(13)は、はにかんだ。

 同町は10年から、思春期の生徒たちに親への感謝や自己肯定感を高めてほしいと町内中学校で授業を展開。実施するNPO法人「次世代たかねざわ」によると、母親らにも好評という。導入を検討して視察に訪れる自治体もある。

 中学3年生を対象に10年以上前から取り組むのは那須烏山市。昨年度からは市内2中学校で、赤ちゃんを連れて参加した母親が中学3年生になった未来のわが子へ向けてメッセージを発表する時間を設けた。「生徒たちは、自分のお母さんも同じ思いなのかな、と胸を熱くするようです」と市子ども課の担当者。涙を流す生徒もいて、教室は感動に包まれるという。

 また、鹿沼市も本年度から市内6小中学校で、命の尊さや家族への感謝を学ぶ「赤ちゃん交流体験事業 いちご未来ふれ愛プロジェクト」を始動した。
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失語症理解広げたい 13日福井で「カフェ」 川岸さん(福井出身)「思い共有して」

【出典:2017年8月11日 福井新聞】

 福井市出身の言語聴覚士(ST)、川岸惠さん(61)=北海道帯広市=が13日、失語症の人や家族らが集う「失語症カフェ」を福井市のアオッサで開く。川岸さんは「交流を楽しみながら思いを共有したり、理解の輪を広げる場にしたい」と話している。

 失語症は脳の損傷などで話す、聞く、読む、書くがうまくできなくなる言語機能の障害。ST(=スピーチセラピスト)は国家資格で、失語症をはじめ、聴覚障害、発達の遅れ、発音など言葉によるコミュニケーションに障害がある人の訓練や指導、助言、援助などを行う。

 川岸さんは23歳のとき県内第一号のSTとなり、病院などで患者のリハビリを支援してきた。県失語症友の会の立ち上げに関わり、福井医療短大教授として後進の育成にも力を注いだ。日本言語聴覚士協会の理事も務めた。失語症カフェは日本失語症協議会(東京)が昨年9月に東京で初めて開いた。川岸さんは「家にこもりがちになる当事者の方たちが安心して話せる場を」と帯広市で開いたところ好評で、福井でも初めて企画した。

 「第1回失語症★ときめきCafe in 福井」は午後2時から同4時まで。飲食したり、歌を歌ったりしながら交流を深める。症状や対応を学ぶミニセミナーもある。

 参加費は一般2千円、当事者や家族、学生は千円。定員25人。申し込み、問い合わせは川岸さん=電話090(8371)3939、メールはkawa07111@gmail.com
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薬効かぬマラリアに警鐘 長崎大熱帯医学研究所准教授 リチャード・カレトン氏

【出典:2017年8月11日 日本経済新聞】

 世界の熱帯・亜熱帯地域で毎年2億人以上の人が感染するマラリアは発展途上国の発展にとって重いくびきだ。国際協力によるマラリア制圧対策が進むが、近年は薬が効かない薬剤耐性菌が広がり感染防止を困難にしている。長崎大学熱帯医学研究所のリチャード・カレトン准教授はアフリカで新たな耐性菌の出現を報告、その拡大の恐れに警鐘を鳴らしている。
 
 マラリアは蚊を媒介にして広がるマラリア原虫が起こす病気で頭痛や高熱、体の痛みなどが主な症状だ。マラリアの中でも熱帯熱マラリアは早期に治療しないと重症化し死に至ることもある。

 現在はアルテミシニンという薬を投与して治療する。アルテミシニンは血液中の原虫のなくす効果が高く副作用も少ない。クロロキンなどかつて標準的だった薬が効かなくなった薬剤耐性のある熱帯熱マラリアに効果があるため、現在の治療になくてはならない薬だといえる。

 そのアルテミシニンが効かない耐性のあるマラリアがタイとカンボジアの国境地帯で見つかり東南アジアで拡大している。さらに長崎大のマラリア研究チームは中国やタイの研究者らと連携し、アフリカの赤道ギニアから帰国後に発症した中国人の患者から新たなアルテミシニン耐性菌を見つけ、米医学誌で報告した。遺伝子の変異から東南アジアでみられるものとは異なるアフリカ独自の耐性菌だとみている。

 耐性菌の出現は、国連をはじめ様々な国際機関や国が展開してきたマラリア制圧プログラムの効力を失わせる深刻な事態だといえる。かつてクロロキンの効かない耐性菌が10~20年ほどの速いスピードで世界に広がったことを考えると、アルテミシニン耐性菌の拡散も予断を許さない。

 現場で耐性菌の存在を前提にした対策を講じるとともに、変異の仕組みの解明や新たな治療法の開発を急ぐ必要がある。
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医療にES細胞 ようやく日本で 政府から了承 京大が作製へ 臨床応用、先行する海外勢

【出典:2017年8月11日 日本経済新聞】

 京都大学の研究グループが計画していた医療用のヒト胚性幹細胞(ES細胞)を作製する計画が6月末、文部科学省と厚生労働省から了承された。早ければ10月にもES細胞の作製に乗り出し、来年2月から医療機関や大学、企業などへ無償配布を始める。iPS細胞のライバルともいえるES細胞の医療応用は米国や中国、韓国など海外が先行しているが、今後、日本でも広がりそうだ。

 ES細胞はiPS細胞と同様に万能細胞と呼ばれ、培養すると目の細胞や神経細胞など様々な細胞に変化させることができる。これらの細胞を移植して、様々な病気を治療したり、新薬の開発に役立てたりする。欧米では失明原因のトップとされる加齢黄斑変性のほか、脊髄損傷、1型糖尿病など根本的な治療が難しい病気に対する再生医療の切り札と期待されている。

倫理面で課題

 ヒトのES細胞は1998年、米国のウィスコンシン大学マディソン校で初めて作製された。日本で最初に作られたのは2003年5月。京大が大学などでの基礎研究用に作製した。

 ただ、ES細胞は生命の萌芽(ほうが)とされる受精卵から作るため、臨床研究や医療現場への応用は国の指針で厳しく規制されてきた。医療用ES細胞の作製に道が開けたのは14年になってからだ。同年に「再生医療等安全性確保法」が施行され、「ES細胞の樹立に関する指針」が策定されたことで、国の了承を得れば、医療用のES細胞を作ることが可能になった。

 京大の計画は、この指針制定を受けたものだ。京大ウイルス・再生医科学研究所のグループは足立病院(京都市中京区)から受精卵の提供を受けて、ES細胞を作製する。この受精卵は不妊治療で使用されず、廃棄されることになったもので、患者から同意を得て提供する。今後、10年間で京大は20種類の株を作製する計画だ。

 20種類の株を作製するのは、ES細胞の課題である拒絶反応に対応するためだ。ES細胞から作った治療用の細胞は、患者にとって他人の細胞になるため、拒絶反応が起きる可能性が高くなる。京大准教授の末盛博文さんは「20種類のES細胞株を使えば、全体の5割程度の患者で拒絶反応をある程度弱めることができるのではないか」とみている。

 医療応用で先行する米国でも生命倫理上の課題があるとして、09年、米国立衛生研究所(NIH)の助成金によるヒトES細胞の研究を規制した。しかし、企業などが中心になり開発を進め、10年10月、世界で初めてES細胞を使った臨床試験が実施された。実施したのは米バイオベンチャー企業、ジェロン社だ。ヒトES細胞からオリゴデンドロサイト前駆細胞と呼ぶ神経系の細胞を作り、脊髄損傷の患者に移植した。

 10年11月にはアドバンスト・セル・テクノロジー社(現・アステラス製薬米国法人)のグループが、ES細胞から網膜色素上皮細胞を作って、萎縮型加齢黄斑変性症の患者に移植する臨床試験を始めた。その後、韓国や英国、中国、ブラジル、イスラエルで臨床試験が相次ぎ、実施された。

 対象疾患は、脊髄損傷と加齢黄斑変性症のほか、1型糖尿病、心臓病、パーキンソン病へと広がっている。ES細胞から誘導した様々な細胞の移植を受けた患者はすでに100人を超えたと推定されている。

 日本で最初に臨床応用を始めるとみられているのは、国立成育医療研究センターだ。今後、医療用ES細胞の作製計画を国に申請。さらにES細胞から肝細胞を導き、先天的な代謝異常でアンモニアが分解できない0歳児に移植する計画だ。

新薬開発に活用

 アステラス製薬は昨年2月、臨床応用への動きを先取りする形で、ES細胞を使った再生医療の臨床試験を進めていた米バイオベチャー企業のオカタ・セラピューティクスを3億8400万ドル(約425億円)で買収した。同社は欧米で失明に至る萎縮型加齢黄斑変性症などの患者38人に網膜色素上皮細胞を移植する初期の臨床試験をすでに実施。安全性と、視力の改善を確認したという。

 ES細胞は医療のほか、新薬の開発にも役立つ。国立成育医療研究センター再生医療センター生殖医療研究部長の阿久津英憲さんらは試験管内で、ES細胞から腸の機能を持った「ミニ腸」を作製することに成功した。生体の小腸のように立体的な構造をして、ぜん動運動をする。物質の消化・吸収などの機能も持っているという。「試験管の中で長期間、生きているので開発中の新薬の試験を繰り返し行うことができる」と阿久津さんは話す。

 先天性の小腸の病気や潰瘍性大腸炎、クローン病に代表される原因不明の慢性炎症性腸疾患など腸の難病の画期的な治療法の開発にもつながると期待される。

【キーワード 幹細胞】

 幹細胞は体性幹細胞、ES細胞、iPS細胞の3つに大きく分かれる。体性幹細胞はヒトなどの体内にある造血幹細胞や神経幹細胞などで、変化できる細胞の種類がある程度、限られている。赤ちゃんのころには多量に存在するが、年とともに減少する。

 ES細胞とiPS細胞は、様々な細胞に変化するので一般に万能細胞、正式には多能性幹細胞と呼ばれる。ES細胞は受精卵を破壊するので倫理的な課題があるとされる。一方、iPS細胞は皮膚や血液の細胞に遺伝子を導入させ、細胞を若返らせて作る。がん化のリスクがあり、安全性を確認するのが課題だ。
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チタンで治療用人工骨 ヤマウチマテックス、医療分野進出へ

【出典:2017年8月11日 日本経済新聞】

 チタン製の眼鏡部品加工が主力のヤマウチマテックス(福井市)は医療分野に進出する。2019年度をメドに富山大学などと連携し、骨転移のがん治療に使う人工骨を開発する。眼鏡で培ったチタン加工技術を応用し、患者の病状や骨格に応じて製造することを目指す。

 部品加工のグループ会社、ヤマウチマテックス・エンジアリング(同)を通じて開発する。富山大が臨床試験の中心となり、福井大学と福井県工業技術センターがデータ解析などで協力する。

 手や足の骨に転移したがんを取り除き、その部分を補う人工骨を開発する。関節に近い場所を人工関節に置き換える方法はあったが、関節から遠い部分を補填できる有効な治療法はなかったという。

 患者のコンピューター断層撮影装置(CT)データなどをもとにチタン粉末から3Dプリンターで人工骨をつくる。切削、研磨の機械を使って仕上げ、全体で10日程度の納期を見込む。

 経済産業省が産学連携などを支援する事業として採択し、3年間で約1億円を補助する予定。実現すれば、手術や治療までの時間短縮を通じて、患者や医師の負担軽減が期待できるという。
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