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(奈良)末期がん 命に輝き

【出典:2017年9月19日 読売新聞(奈良)】

◇在宅ホスピス 365日24時間訪問

 2人に1人が罹患し、3人に1人が亡くなるがん。在宅での治療を選んだ末期がん患者らの訪問診療を続ける「ひばり往診クリニック」(奈良市三碓)が、県内での在宅ケアの草分けとして注目されている。院長の森井正智さん(52)の診療に同行した。

■苦痛を緩和

 「どうです、体重は」。森井さんは7月上旬、末期がんで闘病中の京都府木津川市州見台の前田輝正さん(69)の自宅を訪れた。「変わりはないです」と、前田さんは穏やかに応じた。血圧を測る。「上108、下50。よし」。「食欲は」と問われ、前田さんは「ぼちぼちです」と答えた。

 何げない会話を通して2人が笑顔になる。痛み止めの注射をし、約10分が過ぎた。「次があるから、もう行くわ」と森井さん。前田さんは「先生が来るのが楽しみなんです」と明るく返した。

 製薬会社の営業を定年まで勤め上げた前田さんに、異変があったのは5年前。検診で胃がんが見つかった。生駒市の病院で精密検査を受けると、肝臓に転移していることがわかった。落ち込み、「生きる気力がなくなった」という。抗がん剤治療と手術をしたが、治らなかった。

 義理の娘がインターネットでクリニックを見つけ、今年5月に相談した。森井さんは、前田さんと初めて面会した際、「いつかはみんな死ぬんです」と優しく語りかけたという。

■生きる意味

 「ほとんど食欲がない」と言われ、森井さんは食べやすい物を薦めた。痛み止めの量は次第に減った。前田さんは、剣道をしている中学生の孫の成長を楽しみにしていた。「孫が全日本選手権に出るまで生きたい」。そこに生きる意味を見いだした。

 8月中旬、前田さんは息を引き取った。痛みを訴えながらも精いっぱい生き、最期は家族に見守られ、静かに事切れた。未明だったが、森井さんが駆け付けてくれた。

 遺族は「治療法がないと落ち込んだこともあったが、森井先生に会ってから、孫の成長を楽しみに前向きに生きることができた。本人は喜んでいたのではないでしょうか」と話した。

■技術向上へ

 森井さんは、総合病院の麻酔医を務めていた時、在宅ホスピスを知り、2003年8月、クリニックを設けた。以来、多くの患者をみとってきた。

 入院して痛み止めの投与などを受けながら、最期を迎える「病院ホスピス」という選択肢もあるが、森井さんは否定的だ。「最期は家で迎えたいという人は多い。病院からも見放され、行き場を失う人もいる」

 クリニックでは医師と看護師、ヘルパーらが連携して、各世帯を回り、苦痛を取り除く治療を続けている。みとりを続けながら研修も重ね、技術の向上に取り組んできた。森井さんは「在宅ホスピスは365日24時間対応の厳しい仕事だが、レベルアップと後進の育成に努めたい」という。

◇高まる需要 県が啓発

 内閣府の2012年度の意識調査では、「最期を迎えたい場所」としては、「自宅」が54.6%と最も多く、次の「病院など」(27.7%)の2倍だった。高齢化が進むとともに、在宅ケアの需要は高まっている。

 県も在宅ケアを推進するため、県医師会と連携した勉強会を開催している。しかし、患者がいつ亡くなるか分からず、診察の態勢が整えにくいこともあって、終末期の在宅ケアに積極的に取り組む病院や診療所は、あまり増えていないのが現状だという。

 県保健予防課は「ひばり往診クリニックの先進的な取り組みを全県に広げるため、啓発を続けていきたい」としている。

<取材後記>生死 真剣に考える

 私自身、いずれはがんで死ぬだろう、と思っている。

 31歳の時、緊急手術を受け、2か月間、入院した。小腸に穴が開いていた。原因不明の難病「クローン病」と診断され、今も治療を続けている。主治医からは「健常な人より大腸がんなどになる危険性がかなり高い」と注意されている。以来、がんや難病患者の取材を、大切にしている。

 今回、初めて在宅ホスピスの現状を知った。森井さんの真摯な姿勢、家族に支えられながら命を輝かせた前田さんに、強く共感した。
 取材後、前田さんが亡くなった。遺族は「寿命だったのでしょう」と静かに話した。亡くなった日は、私の40歳の誕生日だった。偶然、だけでは片付けられない。生き方、死に方を真剣に考えよう。そう思った。(辻田秀樹)
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カードをかざせばお墓が出現 最新型の納骨堂が人気

【出典:2017年9月14日 朝日新聞】

 先祖をどう供養するか。墓が遠いなどの悩みを抱える都会の人が多いなか、カードをかざすとお墓が出てくる最新型の納骨堂を建てた吹田市の寺に、納骨の申し込みが相次いでいる。

 寺は735年創建の高野山真言宗「常光円満寺」(藤田昌孝住職)。JR吹田駅から南へ徒歩約10分にあり、今年4月に4階建ての舎利殿を完成させた。カード式の納骨堂はその2、4階にある。

 納骨堂の一室は三つのブースに仕切られ、右側の壁に液晶画面とICカードを読み取る板がある。カードをかざし、待つこと約40秒。ブース正面の扉が開き、遺骨を納めた厨子(ずし)が現れた。液晶画面を押すと、故人のスライド写真や動画が音声とともに流れた。墓の形をした厨子は68万円と88万円の2種類ある。これに年間管理料が1万円かかる。寺の僧侶が毎日、お経を唱えている。

 寺によると、「遠方で墓参りが難しい」「お墓を守る跡継ぎがいない」といった理由で、納骨の申し込みが相次いでいる。境内に、約400基の墓(墓石込みで約300万円~)があるがほぼ満杯。2011年、本堂奥に5段式のロッカー型納骨堂(80区画)をこしらえたが、15年にいっぱいになった。東京都内の寺院を視察し、納骨堂を備えた舎利殿を建設することにした。

 舎利殿内のカード式納骨堂は1780基の受け入れが可能で、これまでに250件を超す申し込みがあった。3階につくった計240柱を納める通常の仏壇型とロッカー型の納骨堂にも約60件の申し込みがあったという。

 吹田市の元建設業の男性(47)は、今年1月に亡くした父(当時76)をお参りするため、カード式の納骨堂を毎週訪れている。

 急死したこともあり、父から生前に墓の希望を聞いていなかった。奈良に先祖の墓があるが、父は次男で墓守の必要がない。母も71歳になり、将来を考えると頻繁に墓参りできない。葬儀会社に相談したところ、この納骨堂を紹介された。男性は「いつでも気軽にお参りできるのが決め手となった」と話す。

 納骨堂は年中無休で午前9時から午後8時まで開いていて、仕事帰りにお参りする遺族も多いという。副住職の藤田晃秀さん(43)は「お墓のかたちよりも、故人を思う心が一番大切」と話す。仮に家族が途絶えても、境内の供養塔に合葬して寺が永代供養するという。
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(福岡)患者塾:医療の疑問にやさしく答える 逝く時に備える(その2)/4

【出典:2017年9月13日 毎日新聞(福岡)】

 ■今回のテーマ 逝く時に備える(その2)

 「逝く時に備える(その2)」をテーマに7月1日、北九州市小倉北区の小倉井筒屋新館パステルホールであった第212回患者塾。孤独死への不安や亡くなった後の手続き、葬儀に飾る花の制約などについて、専門家が解説した。

 ◆大分県中津市 の男性(72)

 妻に先立たれ、親戚も子供も近くにはおらず近所との付き合いもありません。介護申請すると「要支援1」にもなりませんでした。おそらく孤独死するのだろうと思いながら毎日を過ごしています。

 ◇困った時に声を出して

 安孫子さん 亡くなるまで老後の問題に不安はつきまとい、考えなければならないことは山ほどあります。遺産や生命保険、相続などお金にまつわる問題を整理していただくことが一つ。もう一つは、判断能力がなくなった後のことですが、判断をまかせる「後見人」が必要です。弁護士ら法律家や専門家が引き受けます。

 孤独死といえば、自宅で1人で亡くなった後に誰かに発見されるというイメージを持っている人が多いと思います。実際そういう人もいますが、単純に頼れる親族がいないからということではありません。結論からいえば、ご質問には「そんなに心配しなくて大丈夫ですよ」と答えたい。なぜなら、この方は介護申請してケアマネとの関わりもできているし、おたずねを発信できる状況にもある。困った時に自分で声を出し、その人たちの中で最期を迎えられるのではないでしょうか。

 ◆福岡市博多区 の男性(68)

 友人が「親が亡くなった後の手続きが大変だ」と憂鬱な顔をしています。仕事の合間に書類を集めたり、あれこれ窓口に足を運んだりして「気が狂いそうだ」と言います。代わりにやってくれる所はないのでしょうか。

 ◇銀行などが対応

 大島さん 銀行にご相談ください。手数料が必要ですが、当行では、戸籍収集や相続人調査・確定、財産目録の作成、金融機関への預貯金の名義変更手続きなどを代行する「相続手続き基本パック」を取り扱っています。不動産登記など必要に応じて各種専門家の紹介もいたします。手数料は財産総額や手続きの内容によって変わります。

 安孫子さん 弁護士も相続の相談は受けます。戸籍を集めて相続図をつくり、財産整理を手伝いますが、もめる場合、もめることが予想される場合など紛争解決に動くことが多いです。

 ◆福岡県古賀市 の女性(69)

 母が「自分の葬儀の時はバラで飾ってほしい」と言っていたので、願いをかなえようと家族に相談したら「恥をかかせないで」と猛反対されました。

 ◇バラはトゲ取って

 戸高さん 飾りは宗旨や地域慣習に左右されることもあります。多くの仏式では昔は菊が多かったのですが、最近はトルコキキョウやランなどいろんな種類で優しいイメージの祭壇も多くなりました。宗教や寺院ごとに考えは違いますが、基本的にトゲや毒気のあるものはお供えしません。また、祭壇か仏壇かひつぎの中か、飾る場所によっても違いますが、ご葬家や本人の希望でトゲを取ったバラや好みのお花を使うことが多くなりました。

    ◆

 第214回患者塾「最期も薬が必要ですか」は16日午後3~6時、福岡県水巻町の遠賀中間医師会館で。入場無料。先着200人。

………………………………………………………………………………………………………

 ◇出席された皆さん

 村松弘之さん=福岡銀行FC推進室調査役(福岡市)▽大島広嗣さん=福岡銀行芦屋支店課長(福岡県芦屋町)▽戸高正郁さん=小宮山王斎場社長(北九州市)▽新田壽子さん=遠賀中間医師会在宅総合支援センター部長(福岡県遠賀町)▽福原照子さん=おんが病院訪問看護ステーション管理職(同)▽安藤由起子さん=安藤ゆきこレディースクリニック院長(北九州市、産科・婦人科)▽津田文史朗さん=遠賀中間医師会会長(福岡県水巻町、小児科・アレルギー科)▽田中孝一さん=遠賀・中間薬剤師会会長(同県水巻町)▽安孫子健輔さん=安原・松村・安孫子法律事務所弁護士(福岡市)

 ▼司会 小野村健太郎さん=北九州市立大大学院特任教授、おのむら医院院長(福岡県芦屋町、内科)

………………………………………………………………………………………………………

 ◇質問は事務局へ

〒807-0111
福岡県芦屋町白浜町2の10「おのむら医院」内

電話 093・222・1234
FAX093・222・1235
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緩和ケア病棟:4割、家族内対立 「役割果たさぬ者がいる」「治療方針意見相違」

【出典:2017年9月12日 毎日新聞】

 緩和ケア病棟で最期を迎えたがん患者の遺族の4割以上が、患者への対応を巡って家族内の対立や不満を経験していたとの調査結果を、筑波大などの研究チームがまとめた。患者だけでなく、みとりが近付く家族への精神面への支援の重要性が改めて浮き彫りになった。国際精神腫瘍学会誌に掲載された。

 緩和ケア病棟は、治癒を目指す治療の継続が難しくなった患者を対象にした施設で、心身の痛みの除去を中心に行う。チームは2016年5~7月、国内71カ所で死亡したがん患者767人の遺族(20歳以上)に書面でアンケートを実施。対立の有無に関して8問全てに回答した458人分を解析した。回答者は配偶者(44・6%)と子供(39・7%)が多かった。

 その結果、8問のうちどれかを経験した遺族は42・2%に上った。具体的には「役割を十分に果たしていない家族がいた」が最多の22・9%。次いで「治療方針で意見が合わないことがあった」が20・9%いた。「自宅や緩和ケア病棟など患者が残された時間をどこで過ごすか意見が合わないことがあった」も11・4%、「家族で傷つけ合ったり怒鳴り合ったりした」も11・2%いた。対立は回答者が若いほど多い傾向があった。

 チームの浜野淳・同大講師(家庭医療学)は「これらを経験した遺族は強い悲嘆やうつ症状があった可能性がある。気持ちの揺らぎや意見相違があることを踏まえ、家族への気配りも重要だ」と指摘する。
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(福岡)患者塾:医療の疑問にやさしく答える 逝く時に備える(その2)/3

【出典:2017年9月6日 毎日新聞(福岡)】

 ■今回のテーマ 逝く時に備える(その2)

 「逝く時に備える(その2)」をテーマに7月1日、北九州市小倉北区の小倉井筒屋新館パステルホールであった第212回患者塾。最期の時を周囲がどう支えるか。在宅医療での看取(みと)りや、痛みを取る医療用麻薬について、専門家が丁寧に説明した。

 ◆山口県防府市の女性(64)

 友人が卵巣がんの末期です。家族との大切な時間を邪魔するのではないか、と見舞いを迷っています。

 ◇友人がん、まずは手紙を

 安藤さん 卵巣がんは見つかった時はかなりステージが進んでいることが多いです。末期という状態にまで、非常に短期間で進む場合もあります。患者さんがどんな終末期を迎えるかは個人の資質によります。ご友人の気持ちは推し量れませんが、私なら手紙を書きます。心の葛藤があっても体調のいい時に返事が必ず来ると思うので、いきなり面会に行くよりいいのではないかと思います。

 ◆会場から

 10年前の話です。母が入院先から許可が出て、自宅に戻りました。しかし状態が悪化し、再入院した時、母から「もっと早く病院に戻りたかった」と言われました。治療に関する知識のない家族より、看護師がそばにいてケアを受ける方がいい。自分でも最期は自宅でなく病院に頼ってしまうのではないかと思います。

 新田さん お気持ちはよく分かります。痛みやつらさがあるときに誰に頼ればいいのか、患者さんも周りも耐えられないことがあるかもしれません。その時に訪問看護が1日1回でも入っていたら「じゃ、そんな場合はこうしましょう」「こういう時は電話をください」というサポートができるのではないか。すぐに相談できる人がいるという心強さが、自宅での最期の時を支えると思っています。

 ◆宮崎市の女性(70)

 78歳の主人が末期の前立腺がんです。痛み止めを使うと意識がもうろうとして会話も成り立たなくなります。本人がつらくても家族とのコミュニケーションを優先した方がいいのか、痛みを取ることを大切にした方がいいのか悩んでいます。

 ◇痛み、コントロールは可能

 田中さん 痛みをとるには医療用麻薬を使います。投与の間隔や量の調整などが適正なら昏睡(こんすい)はありません。会話できる状態を維持しながら、痛みのコントロールを続けることは可能です。肩をゆすっても起きない場合は、量が多すぎるのだと思います。

 医療用麻薬をオピオイドと呼びます。神経系をつかさどる脳や脊髄(せきずい)に作用して痛みを抑える薬の総称です。麻薬というと覚醒剤などをイメージしますが、医療用は法律で使用を許可され、有効性や安全性が確認されたものです。適切な処方量は患者さんによって異なるので、痛みの程度を見ながら調整します。「これ以上増やせない」という限界量はないといわれ、痛みが増せば量を増やします。医療用で痛み止めとして使う場合は中毒にはならないといわれています。

    ◆

 第214回患者塾「最期も薬が必要ですか」は16日午後3~6時、福岡県水巻町の遠賀中間医師会館で。入場無料。先着200人。

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 ◇出席された皆さん

 村松弘之さん=福岡銀行FC推進室調査役(福岡市)▽大島広嗣さん=福岡銀行芦屋支店課長(福岡県芦屋町)▽戸高正郁さん=小宮山王斎場社長(北九州市)▽新田壽子さん=遠賀中間医師会在宅総合支援センター部長(福岡県遠賀町)▽福原照子さん=おんが病院訪問看護ステーション管理職(同)▽安藤由起子さん=安藤ゆきこレディースクリニック院長(北九州市、産科・婦人科)▽津田文史朗さん=遠賀中間医師会会長(福岡県水巻町、小児科・アレルギー科)▽田中孝一さん=遠賀・中間薬剤師会会長(同県水巻町)▽安孫子健輔さん=安原・松村・安孫子法律事務所弁護士(福岡市)

 ▼司会

 小野村健太郎さん=北九州市立大大学院特任教授、おのむら医院院長(福岡県芦屋町、内科)

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 ◇質問は事務局へ

〒807-0111 福岡県芦屋町白浜町2の10「おのむら医院」内
電 話 093・222・1234
FAX 093・222・1235
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(福岡)患者塾:医療の疑問にやさしく答える 逝く時に備える(その2)/2

【出典:2017年8月30日 毎日新聞(福岡)】

 ■今回のテーマ・逝く時に備える(その2)

 北九州市小倉北区の小倉井筒屋新館パステルホールで7月1日にあった第212回患者塾。「逝く時に備える(その2)」をテーマに、最期の時を過ごす子供への説明や、火葬時に入れてよい副葬品について、専門家がわかりやすく話した。

 ◆北九州市 の女性(71)

 友人が12歳の長男を小児がんで亡くしました。「死の意味を理解し、最期の時をちゃんと過ごさせてやれたのだろうか」と悔やんでいます。

 ◇遺族に寄り添い援助も

 小野村さん 余命わずかの子供に、死とはどういうものか、説明すべきでしょうか。

 津田さん 7歳以上になると病気について、ある程度理解できるので、考えられる材料を提供し、きちんと説明します。その子に「こういう治療をするけどいい?」と尋ね、了解を得ます。

 12歳だったら、主治医はきちんと病状を説明していたと思いますし、その子もおおよそ理解できていたと思います。亡くなった子のことを悔やまない親はいません。忘れられず悲しみはずっと続きますが、やれるだけのことは尽くされたのではないでしょうか。

 安孫子さん 医療現場では、小さい子には、例えば絵本や人形劇を使って説明するなどの工夫がなされています。

 身近な人の不慮の死は病気だけでなく事故、自死の場合もあります。今は遺族に寄り添い援助する「グリーフケア」の取り組みが広がっていて、遺族同士が集まって話したり、さまざまな支援団体も活動したりしています。一人で悩んでいるのなら、そのような団体を探して相談するのも一つの方法だと思います。

 ◆鹿児島市 の男性(58)

 父が亡くなる前に「蔵書と自分が作ったプラモデルで囲んで焼いてくれ」というので、希望をかなえようとしたら「焼き場の決まりで無理だ」と言われました。ひつぎに入れるものに制限はありますか。

 ◇ペースメーカーなど制限

 戸高さん 地域によって違いますが、共通して制限されているのはペースメーカーです。爆発して危ないので、亡くなった時に外してもらいます。果物やペットボトルも同様です。そのまま入れたら破裂し、お骨に飛び散ったりする場合があります。

 それに金属類。眼鏡などは一緒に入れることを許す地域もありますが、燃え残って骨にくっつきます。蔵書も厚ければ燃え残ります。火葬時間にも影響しますので、1冊を入れるにしても破って分けて入れてください。模型は少量だと問題ありませんが、多ければ難しいかもしれません。

    ◆

 第214回患者塾「最期も薬が必要ですか」は9月16日午後3~6時、福岡県水巻町の遠賀中間医師会館で。入場無料。先着200人。

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 ◇出席された皆さん

 村松弘之さん=福岡銀行FC推進室調査役(福岡市)▽大島広嗣さん=福岡銀行芦屋支店課長(福岡県芦屋町)▽戸高正郁さん=小宮山王斎場社長(北九州市)▽新田壽子さん=遠賀中間医師会在宅総合支援センター部長(福岡県遠賀町)▽福原照子さん=おんが病院訪問看護ステーション管理職(同)▽安藤由起子さん=安藤ゆきこレディースクリニック院長(北九州市、産科・婦人科)▽津田文史朗さん=遠賀中間医師会会長(福岡県水巻町、小児科・アレルギー科)▽田中孝一さん=遠賀・中間薬剤師会会長(同県水巻町)▽安孫子健輔さん=安原・松村・安孫子法律事務所弁護士(福岡市)

 ▼司会 小野村健太郎さん=北九州市立大大学院特任教授、おのむら医院院長(福岡県芦屋町、内科)

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 ◇質問は事務局へ

〒807-0111
福岡県芦屋町白浜町2の10
「おのむら医院」内
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終末期医療巡り京都市に質問状 市民団体、事前指示書を批判

【出典:2017年8月29日 京都新聞】

 京都市が配布している終末期医療の「事前指示書」と関連パンフレットに対して、「尊厳死法いらない連絡会」と「やめて!!家族同意だけの『脳死』臓器摘出!市民の会」(事務局・大阪市北区)は27日までに、「『事前指示書』は医療の切り捨てにつながるが、承知の上で配布しているのか」「終末期の定義とは何を指すのか」など7項目について、公開質問状を出した。

 公開質問状は、京都市配布の事前指示書の文面について「延命のための人工呼吸器」などを挙げ、人工呼吸器や胃ろうを使い社会で暮らす患者さんが、項目に挙げられたことで生きにくさを感じていることをどう考えるかや、治療の打ち切りが行政が進めようとしている「看取(みと)り」なのか、「本人の意思を尊重する」として治療を打ち切る医師を行政はどのように指導するかなどをただしている。

 代表の冠木克彦弁護士は要望書で「医療は救命のためになされ、法制度においても『死なせる医療』はない。医師に患者を死なせる方向での裁量権はない。患者が自殺を希望しても、意向に沿う行為をすれば自殺ほう助となる。京都市が配布している事前指示書は法的にも医学的にも正当性を根拠づけることはできない」と撤回を求めている。

 京都市の事前指示書は、4月から3万部を区役所などで配布を開始。意識のない状態や重度認知機能低下の場合、胃ろうや「延命のための人工呼吸器」、点滴による水分補給など10項目について、希望する・しないなどを選択式で記すようになっている。
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(福岡)患者塾:医療の疑問にやさしく答える 逝く時に備える(その2)/1

【出典:2017年8月23日 毎日新聞(福岡)】

 ■今回のテーマ・逝く時に備える(その2)

 第212回患者塾が7月1日、北九州市小倉北区の小倉井筒屋新館パステルホールであった。前回に続き「逝く時に備える(その2)」がテーマ。専門家が、ローンの返済や遺品整理など最期に向けた準備について説明した。

 ◆女性(58)

 85歳の母が1人暮らしをしています。脳梗塞(こうそく)になってからはほとんど寝たきりです。いろいろなものを山のように残していますが、私は遠方にいて、遺品整理はできそうもありません。

 ◇遺品整理、銀行でも対応

 大島さん 銀行で対応できます。専門業者がご遺族に代わり、家財道具など故人の遺品片付けや整理をする「遺品整理サービス」があります。福岡銀行は「キーパーズ」と提携しており、窓口で申し込めます。引っ越しと同じで、業者がお客様と電話で打ち合わせた後、現地を訪問して無料で見積もり、料金と作業日時を決めます。

 小野村さん プライバシーが守られるか、故人が大切にしていた遺品が丁寧に扱われるのか。貴重品を勝手に処分されても困ります。

 大島さん 事前打ち合わせで残してほしいもの、処分していいものを確かめます。作業に入って貴金属や現金が出てきた場合は、通常のものとは別に保管して、処分前に依頼人に確認します。

 ◆北九州市小倉南区の男性(68)

 医療保険に入ろうと思いますが、この年齢で可能ですか。先進医療が対象の保険にも入れますか。

 ◇高齢者が入れる保険も

 村松さん 一般に、過去5年間でがんまたは腎不全になったことがあるか、過去2年間に入院手術したことがあるかなど三つの質問をクリアすれば高齢でも入れる保険もあります。

 小野村さん 先進医療には、例えば放射線治療の一種である「陽子線治療」や「重粒子線治療」があります。厚生労働省が安全性や有効性などを確認したうえで承認した治療です。保険診療と併用可能な自由診療ですが、かなり高額です。

 村松さん がんに対する先進医療は特に注目されています。放射線治療は体の正常な部分にも放射線があたると一定の負荷がありますが、粒子線はがんの部分だけにピンポイントで重点的に当てることができるので、一般的な放射線治療と比べて体への負担が少ないといわれています。施設は限られ、九州では佐賀県鳥栖市にある「サガハイマット」や鹿児島県指宿市の「メディポリス」があります。

 津田さん 保険料は高いのですか。

 村松さん 福岡銀行で扱っている保険では、先進医療だけを保障するという入り方はできません。あくまでオプションです。保障の設計にもよりますが、70代の方で保険料は5000~7000円のイメージです。まだ治療を受けられる施設が少なく、誰でも受けられるわけではないので安い保険料で提供できていますが、この先は分かりません。

    ◆

 第214回患者塾「最期も薬が必要ですか」は9月16日午後3~6時、福岡県水巻町の遠賀中間医師会館で。入場無料。先着200人。

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 ◇出席された皆さん

 村松弘之さん=福岡銀行FC推進室調査役(福岡市)▽大島広嗣さん=福岡銀行芦屋支店課長(福岡県芦屋町)▽戸高正郁さん=小宮山王斎場社長(北九州市)▽新田壽子さん=遠賀中間医師会在宅総合支援センター部長(福岡県遠賀町)▽福原照子さん=おんが病院訪問看護ステーション管理職(同)▽安藤由起子さん=安藤ゆきこレディースクリニック院長(北九州市、産科・婦人科)▽津田文史朗さん=遠賀中間医師会会長(福岡県水巻町、小児科・アレルギー科)▽田中孝一さん=遠賀・中間薬剤師会会長(同県水巻町)▽安孫子健輔さん=安原・松村・安孫子法律事務所弁護士(福岡市)

 ▼司会 小野村健太郎さん=北九州市立大大学院特任教授、おのむら医院院長(福岡県芦屋町、内科)

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 ◇質問は事務局へ

〒807-0111
福岡県芦屋町白浜町2の10 「おのむら医院」内
電話  093・222・1234
FAX 093・222・1235
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卒婚や死後離婚…中高年に異変 家族より個人を重視

【出典:2017年8月7日 日本経済新聞】

 近年、中高年の結婚のあり方に静かな異変が起きている。気になる事例その1は、「卒婚」への注目の高まり。仕事や子育てが一段落した夫婦が、ともに夫や妻といった役割から解放され、独立した自由な生き方を尊重し合うため、結婚を「卒業」するというものだ。別居する場合も、同居のままの場合もあるという。

 ポイントは離婚とは異なり、家族関係を解消するのではなく、個人として自由な生活スタイルを優先させるため「結婚」というパッケージから自由になろうとする点だ。評論家の杉山由美子氏が2004年に『卒婚のススメ』を書き先鞭(せんべん)をつけたが、注目されるようになったのはここ数年のことである。提案はほとんどが妻からであり、夫の定年退職を機にしたケースが多いという。

 2つめは「死後離婚」の増加だ。この造語は、正式には配偶者の死後「姻族関係終了届」を提出することで、配偶者の親族との法的関係を断つことを指す。15年度は2800件近い申請があり、過去10年で1.5倍に増加した。こちらも圧倒的に女性からの申請だ。

 法的には、夫の親族は「姻族」であり、夫の死後も関係が続く。姻族に対しては、特別な事情がない限り扶養義務は生じないが、慣習により姻族の介護を求められることを懸念するケースや、確執のある義母や生前不仲だった夫と同じ墓に入りたくないなどのケースが多いという。手続きに姻族の承認は不要で、通知されることもない。また、離婚と異なり配偶者の遺産の相続権や遺族年金の受給には問題がない。「配偶者の親族との縁切り」を眼目とした制度ともいえる。

 これらの現象の背景にあるのは、法律に基づく家族関係と、慣習としての家族役割、現実の人間関係や「個人としての幸福」との乖離(かいり)だ。80年代以降「家族の個人化」が言われ、旧来の家族役割より個人の志向性を重視する傾向も指摘されてきたが、他方で古い家制度に基づく家族の役割への期待は今なお重い。とりわけ団塊世代より下の女性たちは家制度から自由な結婚像を模索してきたにもかかわらず、結局は「嫁による義父母の介護」を当然視されてしまう結婚のあり方に、疑問や負担感を覚える人も多い。静かな「異変」は、これまで女性に一方的に忍耐を強いることで済まされてきた問題が、すでに限界に達していることの証左ともいえよう。
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人生の最終段階、何を望む? 治療方針の意識調査実施へ

【出典:2017年8月6日 朝日新聞】

 厚生労働省は今年度、病気から回復する見込みがなくなった人生の最終段階にどんな治療を望むかについて意識調査を実施する。3日に開いた検討会で決めた。自身で判断できなくなった場合に備えて希望を文書にしているかや家族間で話し合っているかなどを聞く。自宅で穏やかな死を迎えたい人が多い一方、実現は簡単ではない現状を把握し、改善につなげていく。

 同様の調査は1992年以降、おおむね5年ごとに厚労省が実施。医療技術の進歩で生命の維持は可能になったが、胃ろうなど管を通じた栄養補給が患者にとって苦痛になることもある。選択肢は多様化する一方、認知症などで本人の意思がわからず、家族が迷うケースも増えている。

 前回2013年の調査では男女5千人に調査表を郵送、2179人が答えた。希望を書面に残すことに約7割は賛成していたが、このうち実際に作成しているのは約3%。家族で話し合っていたのは42%にとどまった。末期がんで痛みがなく、意識や判断力が健康な時と同じ想定では、7割強が自宅での療養を望んでいた。病気やけがが悪化した場合、57~78%の人は胃ろうなど管を介した栄養補給や人工呼吸器などを望まないと回答した。
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終末期医療で国民意識調査 10月から、厚労省検討会 多死社会で対象者拡大

【出典:2017年8月4日 共同通信社】

 終末期の医療に関する意思決定の支援や普及啓発を行うため、厚生労働省は3日、国民や医療・介護従事者ら約2万3千人を対象とした意識調査を10月から実施することを決めた。5年に1度の調査だが、介護施設関係者など対象者を5千人近く増やし、来年3月にまとめる予定の報告書に反映させる。高齢化に伴う「多死社会」の中で希望する最期を迎えるために、事前の意思表示の重要性を広く伝えたい考えだ。

 情報提供や支援の仕組みづくりのほか、来春作成する普及パンフレットにも調査結果を生かしていく方針。厚労省が、同日開いた検討会の初会合で、調査内容を大筋でまとめた。

 検討会では、意思決定支援の例として、本人や家族、医療従事者らが治療内容や療養場所などを繰り返し話し合って決める「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」を紹介。今回の調査では、希望する終末期を過ごす場所のほか、ACPを進めることの賛否なども新たに尋ねる。

 がんを経験した委員からは「命の危険にさらされると何も考えられなくなる。必要になる前に普通に語れる環境整備が必要」といった意見が出された。

 高齢化の進展で、年間死者数は2015年には約129万人となり、40年には約169万人まで増える見通し。事前に延命治療の是非などを話し合っていなかったために、意思に沿わない治療をされるケースも相次いでいる。

 終末期医療では人工呼吸器の使用や胃に直接栄養を送り込む胃ろうなどの処置が行われているが、話題にする機会は少ない。また、「医療費削減が目的」といった批判を招かないよう、中立的な啓発資料の作成を目指す方針だ。

 ※終末期医療

 病気や事故、老衰などで治療を尽くしても回復が見込めない患者への医療。心身の苦痛を和らげ、残りの時間を穏やかに過ごせるように配慮する。厚生労働省は2007年、「本人の意思決定を基本に、医療行為の不開始や中止は医療・ケアチームが慎重に判断する」との指針を策定した。厚労省は近年、「終末期」ではなく、「人生の最終段階における医療」との表現を使っている。
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(群馬)「老衰」10年で3倍 無理な延命せず最期を受け入れ

【出典:2017年8月2日 上毛新聞】

 特定できる病気がなく自然に亡くなる「老衰死」と診断されるケースが群馬県内で増えている。2015年は1332人で、05年の426人から10年間で3倍超の増加。高齢化の進行が主な要因とみられるが、死因究明や無理な延命治療を求めず、老いに伴う自然な衰弱を受け入れて最期を迎えようとする考え方が世間に浸透しつつあることも診断数の増加の背景にあるようだ。

 「眠るように、静かに息を引き取りました」。県内最高齢だった桜井むめ乃さん=当時(112)、高崎市吉井町岩崎=を昨年8月にみとった長男の妻で密蔵院住職の妙佳(みょうか)さんは、義母の最期をこう振り返った。

 大病もなく、子宝に恵まれたむめ乃さんは、100歳を迎える頃に地元の老人ホームに入った。亡くなる1年前から病院での生活を送っていたが、無理な延命治療を受けることはなく、死亡診断書の直接死因欄には「老衰」と記された。

 「苦しみを和らげる緩和ケアのような処置は必要。でも、無理に延命して本人を苦しめるような治療をするのはどうか。私も穏やかに他界した義母のような最期を迎えたいと思います」と妙佳さんは話す。

 厚生労働省の死亡診断書記入マニュアルでは、老衰は「高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死」。病気を持っていても、死亡原因に直接結び付かなければ、老衰死と診断されることもある。

 人口動態調査によると、本県の老衰死は1970年代半ばから横ばい状態だったが、2000年代に増加に転じ、05年に7位だった死因別集計は15年には、がん、心疾患、肺炎、脳血管疾患に続き、5位となっている。

 老衰死の増加について、県内の男性医師は「高齢化の進行に加え、終末期の在り方に関する社会の意識の変化が関係している」と指摘する。厚労省が推奨する在宅医療や在宅みとりの浸透により、無理な延命治療や積極的な診断を望まない人が増え、結果的に老衰死と診断される事例が多くなっていると説明する。

 在宅医療での老衰死を巡っては、医師の間で診断や治療を積極的に行わないことへの葛藤も指摘されている。15年の全国の老衰死は約8万5000人で、本県と同様のペースで増えているが、全国在宅療養支援診療所連絡会会長の新田国夫医師は「救える命を医師が『人生の最終段階』と判断し、医療を放棄するケースもあり、老衰の診断は慎重にすべきだ。ただし、本人、家族と医師との間で合意があり、穏やかに亡くなったのなら、問題ないのではないか」と話した。
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(福岡)患者塾:医療の疑問にやさしく答える 逝く時に備える(その1)/中

【出典:2017年8月2日 毎日新聞(福岡)】

 ■今回のテーマ・逝く時に備える

 「逝く時に備える(その1)」のテーマで6月17日、福岡県水巻町の遠賀中間医師会館であった第211回患者塾。銀行マンや弁護士が、相続や保険について疑問に答えた。

 ◆福岡市の男性(32)

 60歳の父が脳梗(こうそく)塞で倒れました。車好きで高額なカーローンに入っていて、まだ600万円近く残りがあります。返済についてアドバイスをお願いします。

 ◇保険付加で残額免除も

 信安さん ローンは返済が遅れると通常の倍以上の金利がかかることがあります。当面は家族が返済を続けるのがいいのではないでしょうか。

 足立さん ローンの中には、返済途中に亡くなったりがんになったりしたことが分かれば、保険金で残額を支払う団体信用生命保険を付加できる商品もあります。福岡銀行のマイカーローンを新たに借り入れる際に付加すると金利0・3%の上乗せが必要です。例えば200万円を借りたら上乗せ利息は最大月500円程度ですが、月500円で最大200万円の死亡保険に入っているとイメージしてください。普通生命保険は年齢が高くなればなるほど保険料も高くなりますが、団体信用生命保険は一律です。

 松村さん 亡くなった方に借金があった場合、法定相続人が法定相続分に従って承継するのが原則です。ただし、法律は相続放棄または限定承認も認めています。相続放棄とは「プラスの財産(資産)をもらわない代わり、マイナスの財産(負債)も背負わない」、限定承認は「プラスの財産の範囲内でマイナスの財産について責任を負う」ということです。どちらも、家庭裁判所に対して申述(しんじゅつ)という手続きをする必要があります。手続きができる期間も決まっていて、基本的に相続開始を知った時から3カ月以内に申述をしなければなりません。「あまりに短すぎる」「期間を延長したい」という場合は家裁にその申し立てもできます。限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみ行うことができます。

 ◆福岡県古賀市の 女性(64)

 88歳の母が寝たきりになり、病院と施設を転々としています。母のキャッシュカードで現金をおろし、医療費や月々必要なものに使わせてもらっているのですが、法的な問題はありますか。

 ◇親の口座引き出し最低限に

 小野村さん 認知症がある親の入院費を払うのに、キャッシュカードであらかじめまとまった額を下ろしていいか、それともぴったりの額しか下ろせないのか。

 足立さん その後、相続が発生して財産分与する時、きょうだいの中で「なんでこんなに使っているのか」ともめるきっかけになる場合もあります。最低限にとどめてもらう方がいいと思います。

 信安さん 治療費やその他もろもろの費用が発生する場合、病院の費用等に充当するのを目的に窓口で「一定額を基準にこの程度は出していい」という制度もあります。その場合、家族であることを確認できる戸籍謄本等資料が必要になります。

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 ◇出席された皆さん

 戸高正郁さん=小宮山王斎場社長(北九州市)▽信安一宏さん=福岡銀行芦屋支店長(福岡県芦屋町)▽足立暁彦さん=福岡銀行セカンドライフサポート室長(福岡市)▽福原照子さん=おんが病院訪問看護ステーション管理職(福岡県遠賀町)▽八代晃さん=くらて病院院長(福岡県鞍手町、循環器内科)▽松村龍彦さん=安原・松村・安孫子法律事務所弁護士(福岡市)

 ▼司会
 小野村健太郎さん=北九州市立大大学院特任教授、おのむら医院院長(福岡県芦屋町、内科)

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 ◇質問は事務局へ
〒807-0111 
福岡県芦屋町白浜町2の10「おのむら医院」内
電話 093・222・1234
FAX093・222・1235
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 ◆第214回患者塾 9月16日開催

 ◇テーマ 最期も薬が必要ですか

 「薬だけでおなかがいっぱいになります」という電話をよくいただきます。尋ねるとどれも欠かせない薬ばかり。しかし、10種類もあるとさすがに多すぎる気がします。誤えんしがちな高齢者にとっては、薬を飲むこと自体が命がけになってしまいます。「がんばって飲んで下さいね。飲まないと寿命が縮みますよ」と促されて、顔をしかめて薬を飲む高齢の方を介護施設でよく見かけます。最期まで薬は絶対必要なのか。

 専門医に薬剤師、看護師さらに弁護士も加わり、「最期の薬」を本音で話し合います。

 9月16日(土)午後3~6時

 遠賀中間医師会館(福岡県水巻町下二西2の1の33、093・201・3461)

 先着200名
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(福岡)患者塾:医療の疑問にやさしく答える 逝く時に備える(その1)/上

【出典:2017年7月26日 毎日新聞(福岡)】

 ■今回のテーマ 逝く時に備える(その1)

 第211回患者塾が6月17日、福岡県水巻町の遠賀中間医師会館であった。「逝く時に備える(その1)」のテーマで、専門家が家族や自分の最期の時に向け、準備しておくべきことを話した。

 ◆長崎市の男性(58)

 父が倒れ、医師から「長くない」と言われました。父らしい遺影を飾って送りたいです。用意する写真への助言をお願いします。

 ◇遺影は元気な頃の写真を

 戸高さん 祭壇に表情のよい遺影があると、通夜や葬儀に駆けつけた人も癒やされます。その人らしいものを使うのが、今の流れです。10年前の写真でも構いません。亡くなる直前に病院や施設などで撮った写真は、服装が乱れていたり、女性は化粧をしていなかったりすることもあるので、元気な頃の写真を選んだ方がいいですね。他の人と一緒に写っていたり、服装がふさわしくなくても、今は加工技術が進んでいるので大丈夫です。

 小野村さん 本人が「葬式の時はこの写真で頼むよ」と指定するのは変ですか。

 戸高さん いいことですが、残された方がたまに「この写真はやめて」ということがありますので、可能なら事前に話し合う方がいいと思います。写真は10~20倍に拡大するので、実はピンぼけをしていて使えない場合もあります。自分で判断せず、専門家に前もって見てもらっていれば安心ですね。

 最近は携帯電話で撮った写真が多いのですが、自分撮りは圧迫感が出るため、できれば3メートル以上離れて撮ってもらった方がいいです。白飛び、黒つぶれにも注意が必要です。

 ◆福岡県宮若市の男性(56)

 母が危篤と言われて持ち直して、を繰り返しています。兄弟や親戚は遠方です。亡くなってから葬儀までどのくらい間を開けることが可能ですか。

 ◇東京は1週間安置が常態

 戸高さん 東京あたりは火葬場が少なく斎場も空きがなく、1週間は当たり前という状態です。実際、東京にいた私の姉の夫が亡くなった時もそうで、驚きました。

 小野村さん 遺体の状態は保てるのですか。

 戸高さん ドライアイスや霊安庫に入れて保たせます。特に夏場はすぐにドライアイスをあてて傷みを抑える必要があります。葬儀社によっては、エンバーミングという遺体を防腐処理したり、修復したりして保存する技術を勧めるところもあります。

 小野村さん 病院での遺体管理は難しいのでしょうか。

 八代さん 亡くなったらご家族に葬儀屋さんへ連絡してもらいます。私の病院では、数時間以内にお見送りをしています。

 ◆福岡市の男性(52)

 父が亡くなり、頂いた香典が思わぬ高額になりました。

 ◇香典、近所なら3000円前後

 小野村さん 香典の常識的な金額は。

 戸高さん 地域差がありますが、近所の方だと3000円前後でしょう。親族は料理の振る舞いもありますから、これまでのやり取りの記録を参考にしたらいいと思います。

 受け取る側は、香典から料理、香典返しの費用を差し引いて3分の1から半分くらい残り、葬儀代の一部を賄えるような設定が理想です。

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 ◇出席された皆さん

 戸高正郁さん=小宮山王斎場社長(北九州市)▽信安一宏さん=福岡銀行芦屋支店長(福岡県芦屋町)▽足立暁彦さん=福岡銀行セカンドライフサポート室長(福岡市)▽福原照子さん=おんが病院訪問看護ステーション管理職(福岡県遠賀町)▽八代晃さん=くらて病院院長(福岡県鞍手町、循環器内科)▽松村龍彦さん=安原・松村・安孫子法律事務所弁護士(福岡市)

 ▼司会

 小野村健太郎さん=北九州市立大大学院特任教授、おのむら医院院長(福岡県芦屋町、内科)

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 ◇質問は事務局へ

〒807-0111
福岡県芦屋町白浜町2の10
「おのむら医院」内

電話 093・222・1234
FAX 093・222・1235
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増える老衰死、10年で3倍 高齢化、価値観の変化で 死因より最期を重視 「暮らしアイ」

【出典:2017年7月24日 共同通信社】

 特定できる病気がなく自然に亡くなる「老衰死」が増えている。2015年は約8万5千人で、05年から10年間で3倍になった。高齢者の増加が要因とされるが、背景には死因究明より、人生の最期を重視することで死を受け入れようとする本人や家族、医師の価値観の変化もあるようだ。

 「立派な老衰です。大往生ですね」。15年7月、寺田(てらだ)さださん=当時(99)、滋賀県東近江市=を自宅でみとった長女の丸山イサ子(まるやま・いさこ)さん(77)は、往診した花戸貴司(はなと・たかし)医師(47)の言葉に涙が止まらなかった。「母の人生がいい人生だったと、認められたような気がした」からだ。

 さださんは病気知らずで、大根や白菜など季節の野菜を、自宅裏の畑で丹精込めて育てていた。しかし、死亡の3カ月ほど前から次第に食が細くなり、1週間前には何も食べられなくなった。

 「母は枯れて、美しい姿になっていきました」とイサ子さん。亡くなる前日、さださんは布団から起き上がり、集まった家族や診療に訪れた花戸医師ら一人一人に「ほんまにありがとうございました」と丁寧に頭を下げた。その翌日さださんは眠るように亡くなり、死亡診断書の直接死因欄には「老衰」と記された。

 長年地域の医療に従事してきた花戸医師は「残された人を納得させるのは、最期を共に過ごす中で語られた本人の言葉ではないか」と話す。在宅医療の普及で、人々の意識は、死の原因ではなく、最期に至るまでの生きた過程を重視する方向に変わってきたという。

 厚生労働省の死亡診断書記入マニュアルでは、老衰は「高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死」。人口動態調査によると、老衰死は診断技術の進歩に伴い減っていたが、00年代から急増。05年の2万6千人から15年には8万5千人近くに増え、死因の7位から5位になった。

 全国老人福祉施設協議会の12年度の調査によると、特別養護老人ホームでみとりをした人のうち、老衰で死亡した人は6割を超える。

 在宅医療に詳しい東埼玉病院(埼玉県蓮田市)の今永光彦(いまなが・てるひこ)医師は「高齢者の増加の影響が大きいが、終末期のあり方に関する社会の意識の変化も関係しているのでは」と指摘。「在宅で世話をしてきた家族にとって、きちんとみとった証し、勲章のような意味を持つ場合がある」と話す。

 一方、今永医師が、在宅医療で「老衰」と診断したことのある医師を対象に実施した調査では「診断を積極的に行わないことへの葛藤」や「病気の見逃し」に不安があることが分かっている。

 全国在宅療養支援診療所連絡会会長の新田国夫(にった・くにお)医師は「救える命を医師が『人生の最終段階』と判断し、医療を放棄するケースもあり、老衰の診断は慎重にすべきだ。ただし、本人、家族と医師との間で合意があり、穏やかに亡くなったのなら、問題ないのではないか」と話した。
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