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別離ネズミは痛みに過敏!? 大迫・高知大准教授がストレス関連

【出典:2017年9月20日 高知新聞】

 特定のパートナーと添い遂げる「一夫一婦制」の習性を持つ珍しいネズミを使った実験で、「パートナーを失ったネズミは痛みが悪化する」との研究結果を、高知大学医学部解剖学講座の大迫洋治准教授がまとめた。痛みと心理的ストレスとの関係を解明する手がかりとなる研究成果として米科学誌が掲載した。大迫准教授は「慢性痛の緩和や予防に役立てたい」と話している。

 研究に使っているのは北米に生息するプレーリーハタネズミ。不特定多数と交尾するマウスと違ってパートナーとの絆が強く、死別しても新しい相手をつくらない。雄が雌を守り、育児に参加する習性もあり、人の社会性に関わる脳のメカニズムを探る研究で、モデル動物として注目されている。

 大迫准教授は日本で初めて、プレーリーハタネズミを使った研究を始めた。今回はパートナーを失った雄に痛みを与え、痛みと心理ストレスとの関係を探る研究を愛知医科大、群馬大、米エモリー大と共同で行った。

 実験では雄と雌を1週間同居させ絆をつくらせた後、引き離した。雌と別れた雄を90センチ四方の空間に入れると、そのまま同居を続けた雄たちに比べて、空間の隅を動き回る不安行動を多く取った。

 さらに、足の裏を熱などで刺激すると、別れた雄は弱い刺激で逃げる反応を取った。また、足の裏に炎症を起こすと、痛みが治まって歩き始めるまでの時間が長かった。こうした現象は、1週間同居しても雌に愛着を示さなかった雄では見られなかった。

 大迫教授は「雄はパートナーを失うことで心理的ストレスが強くかかり、痛みを強く感じたのだろう」と説明。「人の痛みも心理的ストレスで変化するという報告がある。プレーリーハタネズミはそのメカニズムを解明するいいモデルになる」と話している。結果をまとめた論文が米国の心療内科系雑誌「サイコソマティック・メディスン」電子版に掲載された。

 大迫准教授は現在、痛みの感じ方が変わる時に、脳のどの部分が関係しているのかを調べている。「高齢化が進み、パートナーと死別して1人で暮らす高齢者が増えれば、腰痛や関節痛などの慢性痛が増える可能性がある。地域での絆づくりやストレスのない環境づくりなど、非薬物的治療につなげることを目指し、研究を続けたい」と話している。
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ガガさんも発症「線維筋痛症」、原因物質の候補発見 横浜市大・長崎大

【出典:2017年9月15日 日本経済新聞】

 横浜市立大学と長崎大学などの研究チームは14日、全身の筋肉に強い痛みやこわばりがでる「線維筋痛症」の原因物質の候補となるたんぱく質を見つけたと発表した。このたんぱく質の働きを抑える化合物を似た症状のマウスに投与すると痛みの症状が改善したという。改良して治療薬の開発を目指す。

 線維筋痛症は全身に激しい痛みがある病気で、中高年の女性に多い。国内に約200万人の患者がいると推定されている。原因は特定されていない。米国の人気女性歌手レディー・ガガさん(31)も発症し、活動を休止した。

 研究チームはNRSFというたんぱく質が、線維筋痛症を起こす有力な候補であることを突き止めた。神経細胞に過剰にあると、神経に関連する多くの遺伝子の働きを抑える。正常な神経細胞ができず、痛みが生じると考えられるという。

 NRSFは特定のたんぱく質と結合すると働き出す。研究チームは相手のたんぱく質にNRSFの代わりに結合する化合物を開発した。この化合物を線維筋痛症と似た症状のマウスに投与した。医療用麻薬のモルヒネを打っても鎮痛効果がでない状態だったが、化合物を投与すると鎮痛効果が見られたという。
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パーキンソン病新治療 薬剤 小腸へ直接投与 福井赤十字病院 北陸で初導入 ポンプ携行 最大16時間持続

【出典:2017年7月6日 福井新聞】

 福井赤十字病院(福井市)は、手足の震えや体のこわばりが起こる神経系の疾患「パーキンソン病」の進行期の症状に効果があり、海外で広く利用されている「デュオドーパ配合経腸用液(空腸投与用レボドパ・カルビドパ水和物配合剤)」を使った治療を始めた。北陸では初めて。胃ろうを設けて、小腸(空腸)に自動的に薬剤を直接投与する。動作が困難になる合併症を抑え、生活の質(QOL)の維持・向上や介護負担の軽減につながると期待されている。

 パーキンソン病は、10万人当たり100人以上がかかり、県内には約千人の患者がいるとみられる。主に40~50代以降に発症し、初期は病状をコントロールできるが、治療期間が長くなってくると、抗パーキンソン病薬(レボドパ)の有効時間が短くなり、動作が緩慢になる「ウエアリングオフ」や、薬の血中濃度が高くなり過ぎて体がくねくねと動く「ジスキネジア」といった症状が出現する。

 デュオドーパはウエアリングオフを抑える薬。胃ろうから空腸までチューブを挿入し、チューブに体外式の専用ポンプをつないで朝から晩まで1日最大16時間、医師が調節した分量の同薬を持続的に投与する。薬の適切な血中濃度が維持でき、安定した薬の吸収を可能にする。

 専用ポンプの重さは約500グラムで、ウエストポーチやショルダーバッグに入れて携行する。入浴時などは簡単にポンプを外せ、食事にも支障がない。国内では薬が昨年9月に発売されて以降、全国で100人以上がこの治療を行っているという。

 同病院は5月に導入し、これまでに4人に実施した。個人差はあるものの「ウエアリングオフが軽減され、体が以前より動くようになった」との声が聞かれるという。神経内科の高野誠一郎部長は「胃ろうを設ける前に鼻からチューブを使って空腸に投与することで、事前に効果を確認できる」とメリットを話す。

 投与は最大16時間のため、深夜や未明に目覚めると、体の動きにくさを感じる場合もあるが、その際は医師と相談し、既存の薬を併用して対応できるという。高野部長は「パーキンソン病は家族の理解と支援が大切。これらの状況も踏まえた上で、新治療を勧めている。良い状態が少しでも長く続けば、患者にとっても家族にとっても有意義」と話している。
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(くらしナビ・気象・防災)天気の変わり目に「気象病」

【出典;2017年6月23日 毎日新聞】

 気圧の変化で体調不良を感じる「気象病」。雨の日が多い梅雨時は、天気の変わり目に増えそうだ。正式な病名ではないが、ひどい場合は布団から起き上がれない症状が出る人も。全国でも数少ない「気象病外来」を設ける、せたがや内科・神経内科クリニック(東京都世田谷区)の久手堅(くでけん)司(つかさ)院長に、症状や対処法を聞いた。

 ●気圧変化で不調に

 「気象病は自律神経の不調と密接に関係します」と久手堅院長は話す。気圧の変化は、耳の中にある「内耳」で感じていると言われており、自律神経と強い関係がある。

 自律神経は、脳内から全身へ信号を出し、体を調整する役目を果たしている。緊張したときに優位になる交感神経とリラックスしたときに優位になる副交感神経があり、交感神経は、血圧を上げたり、呼吸を速めたりし、副交感神経はその逆の働きをする。

 久手堅院長が作成した気象病のチェックリストが表だ。(1)と(2)がある人はほぼ気象病と認定できる。自律神経の不調と関係する、寒暖差のない環境やストレスのほか、前のめりの姿勢になりやすいスマートフォンの使い過ぎも影響する。

 ●めまいや吐き気

 症状は多岐にわたる。乗り物酔いに近いめまいや吐き気、頭痛を訴える人が多いが、肩こりや全身のだるさ、手足のしびれ、関節痛、うつ症状、目がかゆいなどのアレルギー症状を訴えるケースもある。

 脳や耳鼻科の検査では異常がなく、「気のせいでは」と言われた人や、精神科などいくつかの診療科をまわっても原因が分からなかったりする状態が何年も続き、ようやくクリニックを訪れた患者もいた。天気が悪いときに朝起きられず、遅刻や休みが続き、原因も分からないため、うつ状態になることもある。

 ●ストレッチお勧め

 気象病の治療、改善には、耳や肩の周りを動かすストレッチ▽投薬▽日常生活の見直し――がある。特に久手堅院長が勧めるのは体を動かすストレッチだ。気圧の変化の有無にかかわらず、隙間(すきま)時間にこまめに行うことで予防ができる。

 耳の周りを軟らかくするストレッチを久手堅院長に紹介してもらった。

 (1)耳たぶの少し上を水平方向に引っ張る。
 (2)5~10秒くらいしたら離すことを数回繰り返す。
 (3)耳たぶ後ろの骨のへこみ(顎(がく)関節)を斜め上に、30秒程度ぐっと押す。手を離したときに耳の周りが軽くなっていれば、うまくいっている。

 ほかにも、背筋を伸ばした状態で頭を前に押し出し、いったん戻した後にあごを水平に強く押すことで首や頭のつなぎ目の関節を軟らかくしたり、肩まわりを動かしたりすることも効果的。首や肩の関節が柔軟だと、気圧の変化で体が過剰に揺れを感じるのを防げる。

 クリニックでは、ストレッチで改善しない場合、乗り物酔い薬を処方する。「気圧が下がり始める前に飲むと、8割くらいの患者さんに効果を発揮します」(久手堅院長)。他にも、体の中の水分を調整し、むくみを取る漢方「五苓散(ごれいさん)」や、肩こりがひどい患者には筋肉を緩める薬を処方することもある。

 気象病と関係が深い自律神経を整えるためには、睡眠時間を十分に取ったり、ヨガなどで呼吸を整えたりすることも効果的。エアコンの利いた環境にこもらず、汗をかくことも予防に重要だ。

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 ◇気象病のチェックリスト

 (1)天候が変わる時に体調が悪い
 (2)雨が降る前や、天候が変わる前に何となく予測ができる
 (3)耳鳴りやめまいが起こりやすい
 (4)肩こり、首こりがある。首の外傷歴がある
 (5)猫背、姿勢が悪い
 (6)乗り物酔いをしやすい
 (7)パソコンやスマートフォンの使用時間が、1日平均4時間以上
 (8)ストレッチや柔軟体操をすることが少ない
 (9)歯の食いしばりや歯ぎしり、歯の治療が多い。顎関節症と言われたことがある
(10)夏冬共に、エアコンが利いている環境にいることが多い
(11)日常的に、ストレスを感じている。特に精神的なストレス
(12)男女ともに、更年期障害ではないかと思うことがある

 ※(1)か(2)があるとほぼ気象病、(3)~(12)は三つ以上あると予備軍(久手堅院長作成)
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伝わるかで治療に差 「痛み」の伝え方7つのポイント

【出所:2017年4月13日 日本経済新聞】

 つらい痛みに耐えかねて病院へ駆け込み、思いのままに自分の症状を訴えるが、痛みがうまく伝わらない。こんな経験を持つ人は多いのではないか。正確に伝わらないと、診断や治療に時間がかかったり、適切に治療がされなかったりする。うまく医師に伝えるには、どうすればいいのだろうか。

 「お医者さんに痛みを正確に伝えるのがいかに大事か分かった」。長年、首と腰の痛みに苦しんできた奈良市在住の梅木和美さん(55)は、かわたペインクリニック(同市)での経験をこう話す。

 痛みは主観的で他人からは分かりにくい。ひどい痛みで苦しい時は、平常心ではいられずにひたすら「痛い」と訴え続けがち。だが、これでは適切な治療は難しい。

 同クリニックの河田圭司院長は「梅木さん、今抱えている痛みについて、できるだけ具体的に教えてください」と求めた。梅木さんは「下を向いた時に、首の付け根から肩にかけ、キューンとつったように感じる」などと伝えた。

 河田院長は、梅木さんが過去に追突事故にあった経験があることと合わせて考え、むち打ち症の後遺症が出ていると診断。それまで使用していたのとは別の痛み止め薬を飲んだり、脊髄へ注射を打つなどの治療を施したりし、痛みは和らいだ。梅木さんは「正しく伝わり、適切な治療を受けられた」と満足げだ。

 製薬大手のファイザーは昨年9月、慢性痛患者(約五千人)と慢性痛治療の経験がある医師(約170人)を対象に、痛みと治療に関するアンケート調査をインターネットで実施。患者の7割が「痛みをどのように伝えたらいいか分からない」と回答した。

 河田院長は「痛くてつらい気持ちはわかるが、『とにかく痛い』などと痛みの感想を話されるだけでは治療に進めない」と話す。医師任せではなく、患者自身が痛みの内容を細かく伝えることが重要だと指摘する。痛みに関する情報が多いほど治療の選択肢が増え、正確に治療方針が決められ、効果も高まるからだ。

 痛みを上手に伝えるためには、押さえておきたいポイントがある。いつから起きたか、何かきっかけはなかったか、痛む部位や強さ、差し込むようだとか、殴られたようだなどの痛みの性質などだ。

 医師が患者の痛みの強さを知るために用いる手法として、「ニューメリカルレーティングスケール」というものがある。痛みが最も強い時を10として、現在はどの程度なのかを聞くものだ。患者は痛みが弱ければ1や2などと答え、強ければ9、10と答える。

 数値を大きく言う人や、逆に控えめに言う人もいるが、患者は気にしなくていい。医師は痛みに関する他の情報も加味して、強さを補足するので、実態と大きくずれることは少ない。治療を進めていくなかでは、初診時の程度からどのくらい変化したかで、治療効果を確認する。

 痛みの性質を把握するのも重要だ。鈍い、鋭い、重いなど実際の痛みに近い表現を使う。ピリピリ、ヒリヒリ、ジンジン、ズキズキなどのオノマトペ(擬態語)も有効だ。表現の違いで「原因が筋肉なのか神経なのかなどがわかる」(加藤実・日本大学医学部付属板橋病院痛みセンター長)という。

 痛みに関する治療が専門のペインクリニックでは、医師が状態を細かく聞き出していくなかで、患者も自分のことを客観的につかみやすい。しかし、痛みが専門の医師がいない一般の医院などでは、自身の痛みを客観的に説明するのが難しいこともある。

 日大板橋病院の加藤センター長は「病院に行く前に、痛みの情報をメモし、医師に伝える準備をしておくとよい」と勧める。痛みについて(1)時期(2)場所(3)強さ(4)性質(5)日常生活への影響――などを控えておき、診察時に伝える。

 医師は、痛みの情報を基にどうして痛くなるかという仕組みを説明。治療法の種類や内容を話し、どの順番で治療するかなど、ひとつずつ患者と相談しながら決めていくことになる。河田院長は「痛み治療は患者と医師の共同作業。両者の間でよいコミュニケーションがとれることが、痛みを和らげる近道だ」と話す。

◇     ◇

■オノマトペが有効

 ファイザーがインターネットを通じて調査したところ、患者に問診する際に、「痛みを上手に伝える・聞き出すための工夫」として、約9割の医師がオノマトペを使用しているという。患者の方も約7割が使っていた。

 医師が問診でオノマトペを使う理由(複数回答)は「患者から痛みの情報を聞き出しやすくなるから」(93%)、「患者の痛みの表現から痛みの種類が推測できるから」(91%)。患者も「自身の痛みを説明しやすいため」(94%)、「痛みを感覚的・直感的に表現できるため」(93%)などだった。

 問診で医師に痛みを上手に伝えられているかは「オノマトペを使用している患者」(61%)が、「使用していない患者」(54%)を上回った。

 日大板橋病院の加藤医師は「オノマトペは、医師と患者が容易に使える痛みの共通言語として非常に重要な役割を担っている」と話す。
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検査で異常ナシ…痛みは続く ペインクリニック受診を 新薬登場、治療に選択肢

【出典:2016年12月22日 日本経済新聞】

 医師にどこも悪くないと言われる、検査でも異常が見つからない――にもかかわらず3カ月以上痛みが続くようなら、それは「慢性痛」だ。どうせ治らないと諦める前に、痛み治療が専門のペインクリニックを受診してはどうだろう。新薬も登場しており、自分に合った治療法が見つかるかもしれない。

 「ぎゅーっと締めつけられるような痛みがずっと続いていた」

 東京都板橋区の日本大学付属板橋病院。2年前から同院のペインクリニック科に通う76歳の女性は、11年前に乳がんの手術を受けて以来、背中の痛みに苦しんでいた。乳がんは完治したが、背中の痛みは治る気配がなく、検査をしても原因が分からなかった。

 「医師に『もっとひどい人もいる』と言われ、あきらめていた」と女性。しかし、4年前に痛みが悪化した。10分と立っていられず食事もできない。体重は8キログラム落ち、ほとんど寝て過ごすようになったという。

 2年ほどして医師の紹介でペインクリニック科を訪れた。「先生に『1分でも痛みを消せるよう頑張ろうね』と言われ、痛みを認めてもらえたことがうれしかった」。現在は薬で治療している。「まだ痛む時もあるがだいぶ楽になった。何より気持ちが前向きになった」。今では週3回、ジムでヨガを楽しんでいる。

■患者2500万人超か

 検査などで異常は見つからないが3カ月以上続く痛みを慢性痛という。国内の患者数は推計で2500万人以上。その治療を専門に手がけるのがペインクリニックだ。治療を担当するのは麻酔科医ら専門医で、病院のペインクリニック科のほか、専門の診療所も開設されている。

 ペインクリニックでは主に神経ブロック療法や投薬治療が行われる。以前は鎮痛剤の種類が少なく効果的な治療がなかなかできなかったが、最近「トラマドール」「リリカ」などの新薬が続々登場。慢性痛の治療も変わりつつある。日大付属板橋病院の加藤実部長は「薬の選択肢が増えたことで一人ひとりの症状に合った薬を処方できるようになった」と語る。

 例えば炎症などが原因のズキズキとした痛みにはまず通常の鎮痛剤を処方。それが効かない場合は「弱オピオイド」と呼ばれる強めの薬を使う。「もう治らないのでは」といった不安で痛みが増すこともあるため、「カウンセリングなどで患者の不安を和らげることも大事だ」(加藤氏)。

■具体的に伝える

 ペインクリニックを受診する前に、「まず主治医に痛みについてしっかり話すことが大切」と加藤氏は助言する。ほとんどの場合、痛みは疾患などのサインとなっている。身近な主治医に相談し検査などで異常がないかを確認。痛みの原因となる疾患を治療することで痛みが治ることもある。

 ペインクリニックにかかる際は、かかりつけの医療機関の紹介状やそれまでの検査結果があった方が治療がスムーズに進む。また、痛みが始まった時期や治療で用いた薬など「痛みの履歴」も準備しておこう。

 一般社団法人マイインフォームド・コンセント理事長の佐伯晴子氏は「ただ『痛い』だけでなく、いつ、どこで何をするとどう痛いのか具体的に伝えるとよい」と話す。痛みの種類を見分けられ、治療もしやすい。「普段から痛みを感じたら紙に書き留めるなど医師に伝える準備をしておきたい」(佐伯氏)

 慢性痛の治療に際しては「目標設定も大切」と加藤氏。「治療をしても痛みがゼロになることは少ない。多少痛んでも家事や仕事ができる、趣味の運動ができるなどの目標を設定すると治療方針を決めやすい」という。専門医のサポートを受ければ、痛みと上手に付き合っていくことも可能だ。

◇     ◇

■一般医師にも知見広がる

 日本は「痛み」治療で海外に後れを取っていたが、最近は環境が整いつつある。日本ペインクリニック学会が認定する国内のペインクリニック(麻酔科含む)は、2012年に318施設だったのが16年には349施設となり、専門の診療所も増えてきた。専門医の数は1500人を超え、さらに一般の診療科の医師の間でも痛みの治療に関する知見が広がりつつあるという。

 治療の選択肢も徐々に増えている。慢性痛の治療薬や医療機器の開発も相次ぐ。塩野義製薬は11月、がんの痛み治療に使われる「オキシコドン」をがん以外でも使えるよう厚生労働省に申請した。医療機器メーカーの米セント・ジュード・メディカルはiPodタッチをリモコンとして使う埋め込み型の痛み緩和機器を5月に発売している。
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