MVCメディカルベンチャー会議

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第107回MVC 定例会 in 大阪

2013年02月06日 | MVC定例会
最先端医療について学ぶため、高橋政代氏(理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクトリーダー)を講師にお招きして、「iPS細胞を用いた網膜細胞治療」についてお話いただきました。

(1)私達の研究グループは、2013年2月現在、加齢黄斑変性という視力低下を起こす目の病気に対して、iPS細胞から作った網膜色素上皮細胞を移植する手術の実施を申請しています。

(2)2012年度ノーベル医学生理学賞を受賞された山中伸哉教授が2006年に開発されたiPS細胞の人体への応用では世界初となる手術です。

(3)新聞やテレビでは「万能細胞」という言葉が使われていますが、これは正確に言うと間違いで、正しくは「多能性幹細胞pluripotent stem cell」です。

(4)多能性幹細胞は、ES細胞とiPS細胞の総称です。前者は受精卵から作成するのに対し、後者は皮膚や毛根や血液などの体細胞から作成されます。

(5)iPS細胞の画期的な点は、自分の細胞を使うため、免疫抑制剤の使用が要らないという点にあります。また受精卵という一つの生命を使うES細胞と比較して、倫理的に問題が少ない点も重要です。

(6)加齢黄斑変性(AMD)は、網膜の病気で、視力の源となる黄斑が機能しなくなる病気で、これまで根治治療がない難病でした。

(7)この病気に対して、患者さんの皮膚細胞から作成したiPS細胞を、網膜色素上皮細胞に分化させてシート状にして、網膜に移植するというのが、網膜色素上皮細胞移植術です。

(8)神戸の先端医療センターで皮膚を採取し、理化学研究所でiPS細胞を作成し、再び先端医療センターで、網膜色素上皮シートを移植します。

(9)この網膜色素上皮細胞移植術は「夢のような治療法」ではありません。というのも、視力が完全に回復するのではなく、失明に近い状態から低視力状態に持っていくことが治療の目標だからです。しかし治療法があること自体が研究を始めた17年前では「夢」でした。

(10)再生医療の現状は、飛行機でいえばライト兄弟が試作機を作っていたような段階です。ジャンボ機が飛ぶようになるまで数十年かかりました。私たちは、数年~20年のスパンで考えて、iPS細胞の臨床応用を成功させたいと思います。
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