MVCメディカルベンチャー会議

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第62回MVC定例会in東京

2008年06月07日 | MVC定例会
「インターネットの医療応用の可能性」をテーマに、佐藤俊彦氏(株式会社ドクターネット 代表取締役社長 宇都宮セントラルクリニック 代表)を講師にお招きして講演頂きました。今回は初めて、屋外会場での開催でした。遠くに見えるのは東京タワーです。

①昨今、医療崩壊という言葉をよく聞くようになりました。医師不足が進み、医療ギャップを埋める方向性として、インターネットの活用は必然の流れです。私は1985年に医学部を卒業した放射線科医です。放射線科医がインターネットを医療の現場に使ってどのような事が可能だったか、お話させていただきます。

②私は、1995年にアメリカで医療制度の違いをリサーチしていました。日本にない放射線インフラを整備しようと思い、ドクターネットを創業しました。当時、アメリカにあって日本に無い医療システムが3つありました。グループプラクティス、遠隔診断ネットワーク、Diagnostic Imaging Center:DICがそうです。ドクターネットを創業するにあたって参考にしたのが、CDI(Center for Diagnostic Imaging)、RCG(Radiology Consulting Group)、Virtual Radiology、e-Medの4社です。Virtual Radiologyは、時差を使った国際的遠隔診断を行う企業で、Preliminary readingをインド等の諸外国で行い、Final readingを米国内で行うよう分けていることが特徴です。また、インターネットインフラを整備していれば、そのインフラをレンタルすることで収益を上げることが可能です。

③1998年に宇都宮セントラルクリニックを開設し、2003年にはPETを導入するなど、最先端の医療設備を導入してきました。宇都宮セントラルクリニックのフロントエンドを充実させるため、医師・医療機関・患者への情報提供を行う別会社を設立しました。またバックエンドでは、放射線科医のネットワークを整備して画像診断センターを支えています。ドクターネットは、ドクターネットグループのバックエンドを担っており、近々のIPOを控えています。

④ドクターネットの事業は大きく分けて3つあります。インターネットを通じて放射線診断を契約先病院に提供する遠隔医療支援事業と、ITソリューションの開発・提供を行うITソリューション事業と、画像診断センターの構築・運営支援を行うメディカルイメージング事業です。

⑤遠隔診断支援システムの提供先は病院施設から検診センターまで多岐にわたります。弊社のサービスを利用することで、画像診断管理加算2が算定できる施設もあります。来月からは24時間365日、夜間の緊急読影にも対応できるようサービスを拡充します。

⑥遠隔診断を行う放射線科医は全員が専門医です。診断医を専門医に限定し、診断領域を各医師の専門分野に限定することで、診断の質を確保しています。子育て中の女性医師や研究留学中の医師も参加しています。日本の地方都市だけでなく、海外にも協力医師が分布しています。

⑦大分県の中核病院を中心にした病院間の連携にもドクターネットのシステムが使われています。診断を担当する放射線科医は病院機関に足を運ぶことなく、弊社のサーバーにアクセスすることにより自宅でも診断が可能です。ドクターネットの遠隔医療支援システムを使うことで、放射線科医のいない地域の医療格差をうめる事ができます。

⑧ドクターネットでは分子イメージングや遺伝子治療薬の治験など、次世代の放射線科医療を担う研究開発を行っています。また、放射線科医の教育にも力を注いており、当グループに参加する放射線科医がスキルアップできるプログラムを用意しています。

⑨今後のさらなる放射線科医師不足を考えるとき、インターネットを利用した医師どおしのコミュニケーションはもとより、外国人の医師の活用や女性医師の在宅勤務のインフラとして、遠隔医療とそのネットワーク、病院のIT化は必須であり、I-googleのような医療情報の一元管理の方向性にドクターネットは貢献できる企業体にしていきたいと思います。

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