ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例(ハリウッド編)

2014-08-21 00:00:00 | 社会時評

ちょっと前の記事ですが、産経新聞より。

中国に屈した「ハリウッド」の“失いしもの”…もう独裁批判の作品は創れない(魚拓1魚拓2魚拓3魚拓4

2014.8.10 07:00

 8月8日に日本で公開された米映画「トランスフォーマー/ロストエイジ」が中国で大ヒットを記録した。公開日の6月27日から11日目にして興業収入が歴代1位に。全世界の3分の1近くにあたる3億ドル(約300億円)以上も稼いでいるという。そもそも、日本の玩具メーカーが発売した変形ロボットシリーズが“元ネタ”だが、シリーズ4作目となる同作品は中国企業との合作とするなど中国市場を意識した作品に。ただ、こうした製作方針には、専門家から疑問の声もあがっている。

(中略)

大ヒットの背景には、配給元のパラマント・ピクチャーズの戦略がある。

 中国は自国の映画産業を保護するため、外国映画の上映本数などを制限していいる。このためパラマウントは中国国営の中国電影頻道と提携、中国企業からも支援を受けて、米中合作の作品とすることで、審査をパスした。さらに、中国の人気女優リー・ビンビンを起用。中国各地でロケも敢行。中国での人気拡大の布石を次々と打っていた。

 ただ、こうした戦略には疑問の声もあがる。キーン氏はAP通信に対し、こう指摘している。

 「チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世のように中国政府が敏感に反応するような事象は取り上げられなくなる。中国市場に入り込むためには」

 人種差別や性差別、人権問題や政治家の不正、さらには強権的な政治手法。米映画界は米国だけにとどまらず、世界の社会問題や暗部を、さまざまな形で提起してきた。しかしキーン氏の指摘通り、今回の戦略が今後も採用され続ければ、民族問題や貧富の格差など多くの問題を抱える中国の事象を的確にとらえることは不可能になる。

(後略)

>しかしキーン氏の指摘通り、今回の戦略が今後も採用され続ければ、民族問題や貧富の格差など多くの問題を抱える中国の事象を的確にとらえることは不可能になる。

いや、それはないんじゃないんですかね。作りにくくなる、っていうことはあっても、「不可能」ってことはないでしょう。メジャーでなくったってインディーズで有名な監督が参加するってことだってあるし、また「トランスフォーマー/ロストエイジ」のような娯楽映画といわゆる社会派映画では、資本もスタッフも観客層も、往々にして俳優も違うし。別に中国の暗部を描くのに、中国本土でロケをしなくてもいいし、中国政府の協力をいかに得ないで制作するかというのも、そのあたりはプロデューサーの腕でしょう。

ただ、産経新聞が好むような、非常識な反中国映画とか、無意味にケンカを売るような映画が製作されにくくなる、っていうことは確かでしょうね。そしてそれはいいことでしょう。そんなもの作ったってしょうがないとしか言いようがない。

ただ、これは別に中国に限りませんよね。日本だって同じでしょう。日本のメジャーな映画会社が、中国を(産経新聞みたいなレベルで)露骨に敵視するような映画を製作するというのはあまり現実的な話ではないでしょうし、またそれでいいでしょう。そんなものをつくったって、日本に全体として益するところはありはしない。そして米国だって、昔はいざ知らず、いまの時代は日本をそんなに露骨に馬鹿にするような映画やキャラクターを製作したり登場させるわけにもいかないでしょう。たとえば「ティファニーで朝食を」に出てくるデフォルメされた日本人のようなキャラクターは、いまの米国映画では出てこないしまたそれが当然です。中国だって韓国だって同じことでしょう。ブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳」だって、あれははじめから日本への輸出など考えもしなかったから制作されたわけで、そうだからあれだけ日本人が悪役なわけです。ていいますか、日本兵というのは、東南アジアの映画でも悪役の典型なのですが、そんな話はこの際関係ないので略します。

逆に言えば、米国だって、日本をどれだけ批判する映画を作っているかです。なかなかそれは難しいし、つくられても日本での公開は容易でない。南京事件の映画なんて、なかなか日本では公開は困難です。商売というのはそういうものであって、中国ばっかり・・・というものでもないでしょう。

なおこの記事は、bogus-simotukareさんの記事よりヒントをいただきました。ありがとうございます。

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