最初に、
乙武洋匡という人について、私は著書も読んだことはないし(「五体不満足」の最初の何ページかは読みました。これは読んだうちにならんでしょう)、いままでの言動や行動その他についてもこれといって把握はしていません。2回くらいトーク番組で彼を見たくらいです。保守的な人間だという仄聞は耳にしますが、それくらいです。
が、今回の記事を書くに当たって彼の過去の言動その他についてとくに確認はしません。今回の記事の内容だけで、私の主張にはじゅうぶんだからです。
過日の大阪市のトンデモ条例案 で、ちょっと話題になったのが
高橋史朗の「親学」なるものをその根本の考えで背景にしているということです。
高橋の「親学」なるものは、wikipediaによると
>現在は、家庭の教育力が低下・崩壊の危機に瀕していることに警告を発し、まず親が子育ての方法を学ぶという「親学」なる概念を提唱している。親学推進協会の理事長を務めるほか、親学推進議員連盟に提言を行なっている。
児童の発達障害は治療可能であるとしており[1]、独自の「脳科学」を論拠に講演や出版[2]を行なっているが、発達障害や脳科学に関する専門の学会において査読を経た学会論文はなく、もっぱら一般人向けの出版や講演が中心である。発達障害が伝統教育で治療可能であるという主張は、ゲーム脳などと同様に何ら科学的根拠はないか、むしろ明確に否定されている疑似科学であるが、その内容が保守層の政治的信条に合致しているため支持者は多く、大阪市では大阪維新の会は「家庭教育支援条例」案を提出した際に高橋の助言を受けて条文を検討、作成していた[3][4]。この条例案は、一般に知られることになった時点で、医師や発達障害児の保護者から、内容が「学術的根拠がない」「偏見を増幅する」[4][5][6]との批判を受け、維新の会代表である橋下徹大阪市長も、批判に同調しつつ条例案に否定的なコメントを述べたため、維新の会大阪市議団はいったん謝罪[7]、その後、この条例案を撤回した[4]。
というもので、科学的裏づけのない時代錯誤なイデオロギーを前提とするとてもお話にならない代物です。こんなことを提唱するような人物が埼玉県の教育委員長をやっていたってのもかなりの驚きですが、実態はさすがに彼の主張は教育実務においては通用するようなものではなかったのでしょう。当然な話ですけど。それで大阪維新のメンバーは、
inti-solさんがおっしゃるように
>「親の愛情不足が発達障害の要因」というのは、あまりにむちゃくちゃな理論です。ちょっとでも考えればそんなのおかしいと気がつくはずなのに、こんな発想をそのまま条例案として発表する以前に、誰か「これは違う」とストップをかける人が維新の会内部にいなかったという事実に驚きます。
(中略)
それにしても、「伝統的子育て」というのが具体的にどういう内容を意味するのかは知りませんが、1人の女性が生涯に5人も6人も子どもを産んでいた時代と、1人かせいぜい2人の現在で、子育てのスタイルが同じにできるはずがありません。もちろん、「伝統的子育て」によって発達障害が減るということはあり得ないでしょう。
というものでしょう。ある種の保守系の人間の人間観とかには非常に相性がいい(失笑)のでしょうが、だからといってこんなものにすがりついているようではね、どうしようもありません。
で、東京都の「
教育再生・東京円卓会議 第3回会議録」なるものに次のメンバーが出席していることが分かります。
>石原 慎太郎 (東京都知事)
猪瀬 直樹 (東京都副知事)
乙武 洋匡 (作家)
高橋 史朗 (明星大学教授)
中原 徹 (大阪府立和泉高等学校長)
ろくに東京都庁に出勤していない石原が出席しているんだから、彼の力の入れよう(笑)がわかるというものです。で、副知事の
猪瀬直樹はいいとして、その後の3人が興味深いですね。
高橋は、上に書いたようなどうしようもない男ですし、中原は、教員が君が代を斉唱したかどうかをチェックした弁護士出身の校長(絶句)(こちらの
記事参照)、お前どれだけ日本を北朝鮮みたいな国にしたいんだよっていう男です。こんなひどいやつらを呼ぶなんて(石原の指示でしょうけど)、東京都というところもどうしようもないところです。
さてさて、上の2人は予想通りとして(いかにも石原の好みですから)、私が「おや」と思ったのは、乙武洋匡がメンバーに名を連ねていることです。
乙武がいろいろ教育にもかかわっているくらいの知識は私にもありますが、それにしたってねえ、こんなどうしようもない連中といっしょの会議に出席することはないと思います。
いくら乙武が保守的な思考の持ち主だとしても、さすがに彼が高橋の「親学」とか中原の「君が代斉唱時における教職員の斉唱チェック」なんて支持しているとは思えないんですけど。彼はそんな馬鹿だったり非常識な人間じゃないでしょう、たぶん。
たとえばですよ、仮に乙武が「高橋先生、先生の親学っていう考えは、とても通用するものじゃありませんよ」とか「中原先生、教職員にたいする君が代斉唱のチェックってのはいくらなんでも行き過ぎじゃないですか」くらいの発言をすれば、私はそれなりにえらいと思うけど、議事録に収録されていないから発言しなかったとは必ずしもいえませんが、そんなことをいうやつははじめっからよばれないし、よばれても出席しないでしょうね(笑)。そしてそのようなことを発言すれば、少なくとも石原が知事の間は二度とよばれないでしょう。で、そんな度胸は乙武にはないでしょう。
個人的には、こんな連中といっしょの会議に出席するなんて一生の恥というレベルなくらいどうしようもないことだと思いますが、たぶん乙武は、そんなことはたいしたことはないと考えているか、自分の将来を考えれば、こういった連中と付き合っておくのは自分に有益だと考えているんでしょうね。石原は次の都知事選には出馬しませんから、次の都知事が石原よりまともな人間なら少なくとも高橋や中原みたいな人間はお呼びではないと思いますが。
もしかしたら乙武って将来東京都の教育委員かなにかになって・・・なんて人生計画を立てているのかな、とかそんなことも考えます。そうしたら彼のスタンスは・・・。当て推量でこんなことを書いても仕方ないのでやめますが、でも彼が教育委員になってもあんまり期待はできそうにありませんね、このざまでは。
ともかく、この会議出席だけで乙武の程度は知れます。そういう人間です。
なお、このことは、
Apemanさんのブログで知りました。感謝を申し上げます。また、記事を引用させていただいたinti-solさんありがとうございます。
さて、以下は上とは直接関係ない話ですが、やはり教育の話を。
bogus-simotukareさんのブログで知りました。元記事は、産経新聞の「エディターズEye」なるコラムより。(
こちら、
こちら。
魚拓1、
魚拓2)
>私立校が国旗・国歌を教えない理由
2012.5.12 21:00 (1/2ページ)[教育]
私立男子校御三家の一つ、麻布中学・高校(東京都港区)校長の「国旗・国歌発言」が話題を呼んでいる。
麻布の氷上信広校長は小学館のニュースサイト「NEWSポストセブン」で、卒業式や入学式での国旗掲揚・国歌斉唱について「私立校は関係がありません」と断言。今後も国旗掲揚・国歌斉唱を行わないと強調している。
大きな勘違いをしているようだ。私立学校は学校教育法1条で定められた「学校」であり、都道府県の設置認可を受け、国や都道府県から多額の助成金を受けている公教育の機関だ。学習指導要領を守る義務がある。
文部省は平成7年、私立小・中・高の国旗・国歌実施状況の調査を初めて行った。国旗掲揚は小学校の卒業式で65.4%、国歌斉唱は小学校の入学式で42.3%などと極めて低い数字だった。文部省・文部科学省はこれ以降一度も調査していない。麻布の校長が「関係ない」とうそぶく背景にはこうした文科省の無策がある。
私学関係者の間では国旗掲揚・国歌斉唱を行わない根拠として、ある国会答弁がもてはやされてきた。
指導要領は「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」と定めているが、「指導する」ではなく「指導するものとする」という変な日本語になっていることについて、平成元年6月20日の参院文教委員会で西岡武夫文相は次のように答えている。
「国公立の特に義務教育の場と私立の義務教育の場におきましてはそれぞれ若干、例えば入学式や卒業式等のありようが異なる場合がある」「その場合には、やはりそういう強制ということは行わない場合がある、その含みを持たせて『するものとする』というふうに決定をしたというのがその真相でございます」
「するものとする」は、私学はしなくていいというメッセージだという。
反日教育をしている朝鮮学校の授業料を日本国民の税金で負担するかどうか議論になっているが、日本人が通う私立学校の在り方のほうが大問題だ。
平野博文文科相は西岡答弁を取り消し、指導要領を守らない私立学校への助成、さらには設置認可自体を再検討すべきだ。(渡辺浩)
>反日教育をしている朝鮮学校の授業料を日本国民の税金で負担するかどうか議論になっているが、日本人が通う私立学校の在り方のほうが大問題だ。
平野博文文科相は西岡答弁を取り消し、指導要領を守らない私立学校への助成、さらには設置認可自体を再検討すべきだ。
けっきょくこういう話になっちゃうわけですよ。朝鮮学校の話を「他人事」なんて軽く考えていると、一部のとんでもない馬鹿はここまで主張するということです。
bogus-simotukareさんは、
>ここで産経が言ってることは平たく言えば「国、自治体は国歌斉唱・国旗掲揚をしない反日の麻布高校を『助成しない』『認可取り消しもあり得るぞ』と脅してこらしめろ」ということだ。
朝鮮学校無償化除外論の行き着く先、朝鮮学校無償化除外論の目指すものをわかりやすく産経が教えてくれたと言えよう。一部ウヨ(例:RENKの李英和)のきれい事「朝鮮学校の教育正常化(金正日崇拝教育などよくない)。それが学校に通う子どものためでもある」など全くの嘘だと教えてくれたわけだ。目的は「反日学校の撲滅」だと。まあ、きれい事が事実、本心だとしても思い上がり、勘違い、「大きなお世話のお節介」「小さな親切、大きな迷惑」以外の何物でもないが。
そしてこうした産経の暴論を産経同様「朝鮮学校の無償化除外」を主張する「id:noharraおよび奴が所属する守る会」「その他の朝鮮学校無償化除外を主張する各種の個人、団体」が批判することはないだろう。下手したら「その通り!」と絶賛だ。違いますか、id:noharraさん。今日も俺の突っ込みを華麗にスルーですか?。いつもながらゲスいねえ。
別に「麻布高校への酷い因縁」がなくても朝鮮学校無償化除外なんか支持しないが、「麻布高校への酷い因縁」が飛び出したんだからなおさら支持なんかしないよ。id:noharra君たちが「朝鮮学校無償化除外を支持ないし黙認する俺は差別主義者じゃない」といいたいのならこういう暴論はきちんと批判しましょうね。まあ、繰り返しになるけど非難なんかできないでしょうが(毒)
とお書きになっています。また、私へのコメント返しにも
>道理や憲法の「思想の自由」に反するのも問題ですが、そもそも私立校、それもエリート校の麻布にまで無理矢理国旗掲揚、国歌斉唱を「補助金がどうなってもいいのか」だの「認可がどうなるかわからない」だの脅して言うことを聞かせられると思うのが、もうね。さすがに外国人学校は対象外かもしれませんが最終的には恫喝によって「全ての私立校」に国歌斉唱、国旗掲揚をやらせる気なんでしょうし。そう言う無茶苦茶な行為は麻布だけでも無理でしょうし、ましてや全ての私立校なんて絶対無理でしょう。政府がやるわけないし、やったら日本ももうどうしようもないでしょう。
で、関係ないはずの朝鮮学校がどうとか言うことによって、「金正日崇拝がどうとか」いうことがまるきりでたらめで産経的には「麻布も朝鮮学校も反日だから懲らしめてやる」という話でしかないことが明白ですね。
とお書きになっています。
さすがに現段階では、現民主党政権なり文部科学省、あるいは政権奪還したとして自民党が
>指導要領を守らない私立学校への助成、さらには設置認可自体を再検討すべきだ。
なんていうトンデモ主張を相手にすることはないでしょうが、ともかく行きつく先の主張はここまでひどいものだということです。そういう意味では一部の人間の本音がまともに出ている非常に興味深い記事だと思います。
bogus-simotukareさんに感謝を申し上げます。
同日の追記:すいません、上の記事の後半は、bogus-simotukareさんの記事とコメントの引用がほとんどでしたので、内容をちょっと追記します。
それにしてもこの産経新聞の記事の主張は、思想信条の自由をまるっきり侵害しているわけで(これは公立学校も同様ですけど、そもそも学校における教育と日の丸掲揚・君が代斉唱って、なんか因果関係があるんですかね?)、これってもしこんなことを本当にしたら、これこそ行政訴訟を起こされれば一発で違憲になるとおもいます。さすがにどこの馬鹿な裁判官も、これを「合憲」とはしないでしょう。産経新聞の立場からすれば現行憲法は認めないのかもしれませんが、そんなレベルの話じゃないでしょう。
また、コメント欄でbogus-simotukareさんもご指摘のように麻布高校って(別に学歴をそんなにありがたがる気もしませんが)日本を代表する進学校で、政治家・役人・財界・文化人・知識人その他大変な人脈を持っているわけで、失礼ながらOBの皆々様方は、
>平野博文文科相は西岡答弁を取り消し、指導要領を守らない私立学校への助成、さらには設置認可自体を再検討すべきだ。
なんていう事態は、普段その人がどのくらい保守的な心情を持っていようと(たとえば石原や橋下らのやり方を普段は支持していたとしても)、さすがに自分の出身校がそのようなことになったら、まともな人間だったら怒り心頭になりませんかね。自分が卒業した高校がそのような行政の介入を受けることには露骨な不快感を持つんじゃないんですか。そのとき彼らが事態を黙ってみているとは私には思えませんけどねえ(といいますか、麻布高校の校長さんがそこまで堂々と学校の意見を述べられるのも、やはり自分たちの人脈というか立場に自信があるということも一因であろうと思います)。
有名なニーメラーの警句じゃありませんが、まさに「朝鮮学校だから・・・」なんて軽く考えていると、行き着く先がホロコーストとまではいわずとも、日本の私立学校に対してですらそんなことが書かれる始末になるわけです。
このブログの読者の皆さんも、日の丸・君が代を支持する人たちも、さすがに上の産経新聞の主張は行き過ぎだと思う人が多いでしょうし、くりかえしますと、いまの日本でこんなことは実行はされないでしょう。しかし世の中、ここまで書く人間がいて、しかもそれが新聞社のサイトにのるということはあるわけです。そこまでめちゃくちゃなことが現実に行われているとなると、やはり馬鹿にして笑って相手にしないのも良くないと思います。だから私は、大海の一滴であろうと記事を書き、批判をするわけです。