ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

「インド辺りで戦争が起きてくれれば、 我が国としては一番有り難い展開になる」安保法制来懇メンバー

2014年07月08日 | 日本とわたし
Hitoshi Kawashimaさんという方が書かれた記事と出会いました。
ご自身の体験を、集団的自衛権容認の閣議決定が、ほとんど暴力的とも言えるほどに強引に為された日の翌日に、フェイスブック上に掲載された文章です。
写真をクリックしていただくと、元の記事がご覧いただけます。

↓以下、転載はじめ

July 2


政財界の人達の、ヨーロッパ・オペラ鑑賞ツアーで、通訳のアルバイトをした。
毎晩、一泊何万円もする豪華ホテルに泊まって、音楽祭を巡り、食事の席にも同席した。
その時、某大手鉄道会社の社長さん(当時)が、大きな声で話したことを、今も忘れない。

そろそろどこかで戦争でも起きてくれないことには、日本経済も立ちゆかなくなってきますなあ。
さすがに日本の国土でどんぱちやられたのではたまらないから、私はインドあたりで戦争が起きてくれれば、
我が国としては、一番有り難い展開になると思ってますよ


ここまでえげつない戦争待望論には、周囲にいた人達もちょっとびっくりしたらしく、一同目を見合わせ、
隣りにいたご夫人が、「またあなた、そんなことをおっしゃって……」と、とりなしている。
「川嶋君、きみたち若い人の意見を聞こうじゃないか」と、ご本人が、話をぼくに振ってきた。
言いたいことは山ほどあったけれど、アルバイト中のぼくには、面と向かって彼に反駁することもできず、言葉を濁してしまった。
今思うと、通訳のアルバイトなんか棒に振ってでも、彼にしっかり反論しておくべきだったと思う。
権力の中枢近くにいるひとに、直接ものを言う絶好のチャンスだったのに。

もう10年以上昔の話。

集団的自衛権容認の閣議決定(7月1日)。
この暴挙を安倍首相が進めるにあたって、議論を先導した首相の私的諮問機関・安保法制懇のメンバーに、あの社長さん(いまは名誉会長になられているそうだが)が入っている
「国民の安全を守るため」とか、「海外の戦争に参戦することは絶対にない」とか、夕べの首相会見では言っていたが、
民主主義の手順も無視して、強引にことを進めるこの内閣の本当の目的が、そんなところにないのは、法制懇の顔ぶれを見ても明らかだ。

背後には、死の商人がいる。
彼らは、戦争でひと儲けしたいのだ。


政府は、歴代政府が守ってきた武器輸出三原則を、この春の閣議決定で撤廃し、武器の輸出推進政策に転じたのに続き、
つい二週間ほど前には、国内軍需産業を強化・育成するための、「防衛生産・技術基盤戦略」なるものも決めた
軍需産業が、大学や研究機関と連携して、国の進める軍事政策に協力する体制を、平時から強化しておくのがねらいだそうだ。
秘密保護法が成立し、憲法9条も死文化した今、重要なことは次々と機密指定にしてしまえば、
国民のあずかり知らぬところで、海外で戦争を始める準備は、どんどん進んでいく
ほんとうに恐ろしい内閣に、国民は、絶対多数のフリーハンドを与えてしまった

ドイツのヒトラー政権にも並ぶこの暴走内閣を、はやく退陣に追い込まなくては、日本は大変なことになる
平和憲法のもつ重みを、国民一人一人が、心からかみしめられる日を、もう一度取り返さなくてはならない。
若者たちが、総じて無関心、もしくは無行動なのが、いちばん気になるところだ。
次は徴兵制だと、死の商人たちが言い出すことは、火を見るより明らかなのだから、
手遅れになる前に、何をおいても今、ぼく達は動かなくてはならない


*  *  *  *  *  *  * 

閣議決定翌日(7月2日)の、ぼくの投稿に関連する書き込みを、夕べ、その投稿のコメント欄に載せましたが、
シェアされた先々で、寄せていただく声に対する、ぼくなりの補足説明も含んでいますので、
別立てで投稿し直すほうがいいかなと思い直し、以下(一部加筆して)掲載します。
シェアいただいた数は、3000件を超えました。

*  *  *  *  *  *  * 

July 7

写真:
南チロルの山岳地域 St. Ulrich, Jakobskirche のフレスコ画。
ぼくのフィールドです。
人々が日々犯している罪を、主イエス・キリストが贖って受難されたことを、民衆にわかりやすく示す、中世末期のとても珍しい図像。
左側、切れてますが、受難のイエスの傷口のひとつひとつから流れる赤い血が、人々につながっています。



日記を書いてから、今夜でまる4日。
シェアしてくださる方が、日々どんどん増えており、当初はまったく思いもよらなかったこの展開に、大変驚いています。
今日は、防衛大臣が、憲法解釈変更の説明に、早くもアメリカまで出向いて行ったとか。
まだ国民も、国会も、すこしも了承などしていないのに、ほんとうにどこまでひどい内閣なのでしょう

記事の中に書いた社長さんは、旅の途上、私が運転する車のなかで、シューベルトの『冬の旅』をドイツ語の原語で全曲そらで歌ってくださるような、芸術愛好家でした。
当時は、私はまだ大学院の学生だったので、同じ大学出身という気安さから、何の警戒心もなく、あんな本音を話されてしまったのだろうと思っています
旅はそれなりに楽しいものでしたし、個人的に、その方のことをあしざまに書くことは気がひけたのですが、
いま現在、世の中で急速に進行している動きを目の当たりにしながら、記憶のかなたにそっと封印しておくには、話の内容があまりにもひどすぎました
その会社が組合と対立し、働く人たちにずいぶんひどいことをしているらしいという噂は、当時もずいぶん耳にしていましたから、
シューベルトを歌ってくださる時のその方のお人柄とのギャップには、ひそかに戸惑いを感じていたのですが、
あのインドの話を聞いた時には、びっくりする気持ちと、「ああ、やはりそうだったのか!」との思いが交錯し、
これが日本を代表する企業トップの方の感覚なのかと、しみじみとあきれ果ててしまったのです。
その瞬間、私が何の言葉も発せられなかったのは、職を失いたくないからというよりも、
その職を私に紹介してくれた方の面目を、つぶしてはいけないということが、とっさに頭をよぎってしまったためです。

あの人が今、私のこの記事の存在を知り、それを読んだ多くの人々が、その方の言葉に抱いている怒り・嫌悪感を知ったらどう思うだろうと考えると、
やはりぼくとしては、心穏やかではいられなくなります。
でもやはり、今こそはっきり、ぼくはあの人に言わなければならないと思っています。
ぼく達の宝である憲法を、奇妙な詭弁を重ねて破壊し、
戦争への道を突き進もうとしている安倍内閣と、それを操るあなた方を、
ぼく達は決して許すことができません
と。

この記事がきっかけとなり、ネット上では、社長さんの会社や個人名を特定しようとする、もしくは特定したとする、ゴシップ的書き込みを多く見かけますが、
ぼくの本意は、昔の話を持ち出して、その人個人を糾弾することではありません
戦争で亡くなった多くの人々の犠牲の上に、戦後、日本の人々が築きあげてきたこの国のかたちを、
国民に相談も、まともな説明もなく、うそにうそを重ねてすっかり変えてしまおうとする動き、
幾重にも作られてきた戦争への歯止めを、ひとつひとつ全部取り払ってしまおうとする乱暴な企みを、
どうしても今、食い止めるのでなければ、取り返しのつかぬことになってしまうと思うのです。


ぼく自身が体験し、今も耳に焼き付いて離れない、あの夏に聞いたあの人の、あまりにも身勝手すぎる戦争待望論、
そしてその人は、そのへんの町工場の、引退した社長さんなどではまったくなく、
今も現役で、現政権にもっとも大きな影響力を行使する位置に(国民がそれを望んだわけでもないのに)座っておられる方だということ。
これが、ぼくが、自分の発言のよりどころとする、ぼくにとっての真実です。



追記1:
ぼくが、通訳としての守秘義務を犯しているのでは、とのご意見を目にしました。
その場限りの雇われ通訳で、そのような守秘義務を負う契約は一切しておりませんが、
一般的な信義にはもとるかもしれない、と言われてしまう可能性は、ぼくも少し気になっています。
しかし、今の状況下でぼくが、このことを、ささやかな自分のこの日記記事に書くことすら許されないということは、あり得ないのではないかとぼくは考えます。
多くの人々が、この事実に衝撃を受け、周りの人達にも伝えなくてはと真剣に努力されている様子を目にすると、
このことを知りながら口をつぐんでいることの方が、よほど大きな悔いを残すことになったと思います。

ましてや、その社長さんは、安倍首相と一体となって、日本のすべての国民を瞞き、裏切るような、とても不誠実な手法で、
日本の憲法を骨抜きにしようと、立ち回っておられる方です。
その不誠実な行動に荷担することは、ぼくには出来ません。


追記2:
「ドイツのヒトラー政権とも並ぶ暴走内閣」との、日記のなかの表現について、
「感情的で何の根拠もないアジテーションだ」とする批判的な書き込みを、2、3目にしました。
去年の夏、麻生財務大臣が、「改憲はナチスの手口に学んだらよい」と暴言し、世界中を震撼させる物議をかもしながら、
その後も辞任することなく、今も内閣にとどまり続けていることを、この方たちはどう認識されておられるのでしょうか。

その後、それまで自民党のなかで声高に唱えられてきた、憲法96条の改正論議(3分の2要件の緩和)が、いつの間にか影をひそめ
気がついてみたら、あれよあれよと言う間に、自民・公明だけの密室協議で、今回の閣議決定です。
麻生氏が「学べ」と言ったのは、ナチスが、1933年3月に全権委任法を成立させ、
世界でもっとも民主的と言われたワイマール憲法を、憲法改正の手続きを踏むことなく無力化させた際の、「やり口」のことでした。

まるで、麻生発言をそのまま絵に描いたかのような、安倍政権の今回の「やり口」には、ヒトラー的と言うよりほかに、形容の言葉が見当たりません。
きわめて客観的で、冷静な形容だと思います。

ですから、今は安倍政権がお手本にしているナチス・ヒトラーが、
どうやって、あの豊かな音楽や文学を育んだドイツの民衆を、狂気の戦争へと駆り立てることに成功したのか、
その歴史を、みんなが真剣になって学び直さねばならない時だ
と考えています。
(7月7日、記)

今日は、集団的自衛権の関連法案を、十把一絡げの一括で国会に上程し、採決してしまうための準備作業に自民党が入ったことを報じていましたね。
医療・介護関連の大改悪法案を、十何本もまとめて、ろくな審議もせず、
ほとんどの国民が何も知らされないうちに一括成立させた、つい先日のやり方に、与党が味をしめた様子
です。
議会制民主主義の堕落、というほかはありません

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3 コメント

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言葉もありません。 ()
2014-07-10 17:34:30
いつも読ませていただいています。
コメントさせていただくのは久しぶりですが。

この鉄道会社の会長の発言を知っての僕の気持ちを何と表現すれば良いのか…
言葉もありませんが。

とにかく読ませていただきました。

僕も僕の場所で戦ってます。
諦めません。

返信する
春さんへ (まうみ)
2014-07-11 00:39:02
お久しぶりです春さん。
コメントをありがとうございました。

このような考えを持つだけでなく、それを口から出すような人が、我々が生きる社会にけっこう存在していること、それをまず認めなければならない。
これがけっこうキツいです。

でも、春さんの強い言葉に励まされました。
わたしも諦めません。
返信する
twitter炎上してる人とかわらない気がします (通りすがり)
2014-07-12 09:27:00
通りすがりですが・・

>>ささやかな自分のこの日記記事に

オンラインに出してる時点でまったく「ささやか」ではありませんよ。街中で大声でわめくのとまったく同じです。第三者が簡単に見れてますし。
せめてクローズな記事であれば同意できますが。
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