ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

原発は全然安くない!限りない負担を伴う負の遺産!こんなのもういらない!

2016年12月08日 | 日本とわたし
先日こんなニュースを目にしました。
日本の電気利用者に課されている電気代に、原発にかかる負担のあれこれを溶け込ませて払わせようと、
ずる賢い連中が、コソコソと、様々な調整をしている、というものです。
もちろん、主流のマスコミは、そのことについては結果のみで、経過の中身をほとんど(もしかして全く)伝えてはいかないでしょう。
東電の賠償や廃炉費用はすでに、国民負担に転嫁されはじめています。
東京電力福島第一原発(1F)事故の賠償・廃炉費用や、老朽化で廃止をする原発の廃炉関係費用を、託送料金に上乗せして回収しようではないか…。
電力会社の負担を軽減し、国民負担を増大させる議論が、二つの委員会で交わされているのです。
事故の責任があいまいなまま、また、原子力政策の見直しも無いまま、負担を押し付けられることを、まあ仕方がないなんて思わないでください!

『原発は安い』など、今ではデタラメの神話と化しているのに、原発にかかる費用見積もりを隠し続けている電力会社と国…。
本当にこのままでいいのですか?

今日の記事の、特に最後に載せた談話は、とても読みにくく長いものですが、時間を見つけてぜひ読んでください。
下記の二つ目の東京新聞の記事が、この談話をとても簡潔にまとめてくださっています。
知っていなければならないことが、たくさん書かれています。
お急ぎの方や、どうしても時間が見つからない方は、赤文字や太文字の部分だけでも読んでください。

東電賠償の費用負担で…新電力に“見返り” 経産省
【テレ朝ニュース】2016.12.03

東京電力福島第一原発の賠償費用について、経済産業省は、新電力に一部を負担させる見返りに、大手電力から原子力などの電気を調達できるようにする方向で、調整しています

東電が支払う賠償費用は、当初の5兆4000億円から、8兆円を超える額に膨らむとみられ、
経産省は、そのうち3兆円を、電線の使用料に上乗せして、電力自由化で参入した新電力にも、負担させる方針です。
しかし、一方的な負担では、新電力の理解が得られないため、負担の見返りとして、発電所の保有で劣っている新電力が、市場でさらに電気を調達できるよう、
大手電力に対して、原子力や火力の電気を、電力卸売市場に放出させる
方向で、調整しています。

ただ、大手電力が、自前の電気を市場に放出することは、電力自由化を進めるために経産省がこれまでも働き掛けてきたことで、自由化に向けて必要な措置です。
新電力にまで事故の賠償費用を負担させることは関係なく、経産省幹部も「バーターだ」と話しています。
経産省は来週、有識者会議を開いて、正式決定する方針です。

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「東電を破綻処理し責任明確に」 原発ゼロの会、処理費上乗せ反対の談話
【東京新聞】2016.12.08
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201612/CK2016120802000132.html

超党派の議員連盟「原発ゼロの会」は7日、東京都内で記者会見し、
東京電力福島第一原発の事故処理など、膨らむ原発費用を、国民の電気料金に上乗せする政府の方針に対して、反対する談話を発表した。
国民にツケだけ回す前に、東電を破綻処理して責任を明確にするよう求めている。
 
経済産業省は、「過去に原発でつくった電力の価格は、賠償のための積み立て費用を含まなかったため安かった」として、「過去分」の費用を、電気料金に上乗せしようとしている
しかし、価格を決めていたのは、大手電力会社と経産省。
談話は、両者の「甘かった判断の問題だ」と指摘。
消費者に負担を求める前に、東電を破綻処理して、経営陣と株主の責任を明確にし、資産を売却するなどして、資金を捻出するべきだと主張した。
 
また、予定より早く廃炉を決めた、原発の廃炉費用の一部も、電気料金に上乗せする方針に対しても、
「政府は、『原発は安い』と主張しているのだから、追加負担を求めなくても対応できるはずだ」と指摘した。
 
そもそも経産省は、必要な費用の見積もりを明らかにしないまま、有識者会合を設置して、電気料金への上乗せなど、国民に負担させる手法だけ先に固めてきた
会見で、河野太郎共同代表(自民党)は、
「議論の前提となる数字が出てこないことに、自民党からも、経産省に対して、強い不信感が出ている」と批判した。
 
原発ゼロの会には、与野党の議員78人が参加。
河野氏ら自民党の議員も4人加わっている。

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「原発コスト安」は嘘だった-国民への8.3兆円負担転嫁の前に政策転換を
【change.org】
https://www.change.org/p/経済産業大臣-世耕弘成-原発コスト安-は嘘だった-国民への8-3兆円負担転嫁の前に政策転換を

2016年9月、「原発の廃炉費用を新電力にも負担させる方向」とのニュースが、私たちを驚かせました。
9月下旬の報道では、東電福島第一原発事故の廃炉・賠償費用と、既存の原発の廃炉費用と、あわせて8.3兆円にものぼる、とも伝えられました。
その後、9月27日より、経済産業省で「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」と「東電1F問題委員会」が設置され、議論が進むにつれ、話が具体的に見えてきつつあります。

1)福島第一原発事故の廃炉費用、賠償費用の件
(東京電力改革・1F問題委員会で議論)

2)廃炉会計制度と、解体引当金制度
(電力システム改革貫徹のための政策小委員会で議論)
と2つの議論があります。
これらを、「託送料金」のしくみなどを利用して、回収できるようにしようという議論です。
その理由づけとして、

3)原発の電気を卸売り市場に流し、使いやすくする「市場整備」=ベースロード電源市場、非化石価値取引市場の創設など
(電力システム改革貫徹のための政策小委員会ー市場整備WGで議論)
の議論があり、
原発の電気を皆で使うのであれば、託送料金での回収は適当、という方向です。

・東電1F問題委員会資料:
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment.html

・電力システム改革貫徹のための政策小委員会
(11月11日 第2回会合開催)
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_system_kaikaku/002_haifu.html

事故の責任があいまいなまま、また、原子力政策の見直しを伴わない国民への負担転嫁は、新電力事業者や国民を説得できるものではありません。 

福島第一原発事故の賠償・被害最小化を最優先として、東京電力の責任を明らかにし、
莫大な費用がかかることが明白となった原子力発電については、これまで利益を得てきた事業者が責任を持って、安全な廃炉に向けた対策を取るべきです。
経済合理性を欠く原発を、維持を前提として国民負担で支えることは、電力自由化の理念にも反し、受け入れられるものではありません。
パワーシフト・キャンペーンは、福島第一原発事故の廃炉・賠償については東京電力の責任で、また今後の廃炉費用をめぐっては、政策転換の議論を行うことを、強く要請します。


【1.事故の責任があいまいなままに、国民負担は許されない】
東京電力福島第一原発事故については、東京電力に一義的な責任があるとされながらも、原子力損害賠償支援機構を通じて、他の電力会社と政府が、賠償費用を支援しています。
東京電力が責任を取っているとは言えない一方で、東京電力の2015年度の営業利益は、3400億円を超えています
一民間企業の起こした甚大事故について、企業を事実上「救済」しながら国民負担を求めることについて、倫理的にも経済的にも、理解を得られるものではありません。

【2.「原発の事故費用・廃炉費用は莫大」明らかに-政策変更なき国民負担は許されない】
2014年の「エネルギー基本計画」をはじめ、各電源のコスト検証において、原子力については、事故処理・賠償費用を勘案してもなお、「コストが低廉な電源」と位置づけられてきました。
しかし今回、東京電力福島第一原発事故の廃炉・賠償費用は、東京電力だけでは負担できないこと、
また、他の原発の廃炉費用も、原発を保有する電力会社では支払いきれないことが、公にされたと言えます。
そうであれば、まずは、新規原発の建設可能性について撤回し、また、既存の原発の廃炉も早急に検討する方向で、具体的に政策転換を行うべきです。

原発のリスク、費用、事故被害の大きさについての国民的議論なしに、国民負担に転嫁することは、電力自由化の趣旨にも反しています。
原発の費用負担と、原発電気の卸電力市場での取引や、「非化石電源」としての扱いなど、市民・消費者に受け入れがたい政策に反対し、
「東京電力改革・1F問題委員会(東電委員会)」、および「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」を、注視していきます。


【声明:「原発コスト安」は嘘だった-国民への8.3兆円負担転嫁ではなく、原発政策の転換を】
http://power-shift.org/info/160921/

・団体賛同 
https://goo.gl/forms/cgWgqKCNNnINN2Jo1

・個人賛同 
このChange.org署名とあわせて集計します。

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原発ゼロの会 公式ブログより
東電賠償・廃炉費用、老朽炉廃炉費用の託送料金上乗せについて(談話)
2016年12月7日
原発ゼロの会役員
http://genpatsu0.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post-033b.html

東京電力福島第一原発(1F)事故の賠償・廃炉費用や、老朽化で廃止をする原発の廃炉関係費用を、託送料金に上乗せして回収するなど、電力会社の負担を軽減し、国民負担を増大させる議論が、
経済産業省の「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」(貫徹小委)と、「東京電力改革・1F問題委員会」(東電委員会)で進んでいる。
前者は今年9月27日、後者は10月5日にスタートし、いずれも年内に一定のとりまとめをするという。
 
国民的議論はもちろん、国会の関与も一切ないままに、原則を歪めた国民負担増大案がまとめられるのであれば、言語道断である。
これまでに提案されている託送料金上乗せ案(参考資料)には、根拠がないか、飛躍した論理が用いられており、そもそも、議論の前提となる数字等も、十分に公開されていない。
 
原発ゼロの会は、各種費用の託送料金上乗せに反対するとともに、「原発の後始末費用」については原則に立ち返るべきであると、強く主張する。

■ポイント
【総論】

1. 既に東電賠償・廃炉費用は国民負担に転嫁されはじめている
2. 東電債務超過回避のために費用見積りを隠すべきではない
3. 老朽炉の廃炉関係費用の見積りを明らかにすべき

【東電賠償・廃炉費用について】
4. 原賠機構一般負担金「過去分」はあり得ない
5.「使用済燃料再処理等既発電費」の前例を悪用すべきではない
6. 1F廃炉費用の託送料金上乗せの根拠がない
7. 1Fへの廃炉会計制度(廃止措置資産)適用には歯止めがない
8. 東電破綻処理、株主・貸し手責任の完遂が前提

【老朽炉の廃炉費用について】
9.「安全神話」の反省がない
10. ベースロード電源市場とのバーターにすべきではない
11. 廃炉促進の特別法で分割償却を担保すべき
12. 託送料金上乗せは電力会社に不当な損益改善効果
13. 会計制度を歪めるべきではない
14.「原発は安い」というコスト計算に意味はない


【参考資料】

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原発ゼロの会役員
共同代表:河野太郎(自民党)、近藤昭一(民進党)
世話人:阿部知子(民進党)、逢坂誠二(民進党)、初鹿明博(民進党)、真山勇一(民進党)、笠井 亮(日本共産党)、河野正美(日本維新の会)、玉城デニー(自由党)、照屋寛徳(社民党)
顧問:加藤修一(公明党)、山内康一(民進党)、鈴木 望(日本維新の会)
事務局長:阿部知子(民進党)
* 原発ゼロの会には、8党・会派及び無所属の衆参国会議員78名が参加しています。
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【総論】
1. 既に、東電賠償・廃炉費用は、国民負担に転嫁されはじめている

 
福島第一原発事故費用については、既に、多額の国民負担が生じている
 
1Fの廃炉・汚染水対策費用のうち、「安定化維持費用」(毎年経常的に発生する修繕費、委託費、消耗品費等。2015年度は836億円)と、
「廃止措置資産償却費」(廃炉のために新たに取得した設備等や、5・6号機の廃止措置中も役割を果たす設備等の減価償却費。金額不明)の一部は、
既に、東電の電気料金原価に算入され、消費者に転嫁されている。
凍土壁の費用などには、廃炉に係る研究開発として、国費が支出されている。
通常の廃炉を想定して、2011年度までに東電の電気料金から積み立てられた原子力発電施設解体引当金(1,856億円)も、廃炉費用に充てられる。
コールセンターなど、東電の賠償対応費用も、料金原価に算入されている(2012~2014年度の平均は259億円/年)。
 
一方、原発事故の損害賠償に備えるために、2011年9月に、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(原賠機構)が設立された。
これは、原子力事業者による支え合いの仕組みであり、損害賠償費用に充てるために、原子力事業者は毎年、一般負担金を原賠機構に納付している(2015年度は1630億円)。
この一般負担金も、各電力会社の料金原価に算入されている
一般負担金は「将来の事故」に備えるという建前であるが実際は東電の賠償を支えるものである。
 
また、1Fサイト外の除染に要する費用も、賠償に含まれるものであるが、除染費用は国が立替えており、東電に求償すべき費用は、原賠機構が保有する東電株の売却益で、賄う予定となっている。
しかし、除染費用は、国の予算ベースでも、既に3.8兆円(2017年度概算要求までの累計)と、2.5兆円という見積りを超過している上に、
東電株売却益も想定に届かないとされており、潜在的な国民負担である。
 
また、除染により取り除いた土壌や廃棄物を保管する、中間貯蔵施設の費用には、電源開発促進税が充てられ、電気利用者に負担が転嫁されている
 
このように、電気料金や税という形で、既に多額の国民負担が発生している
我々が把握できた範囲で、参考資料にまとめたが、公開情報の制約から、十分に明らかにできたとは言えない。
政府は、議論の前提として、賠償・廃炉費用の全体像と金額、及び負担関係を、明瞭に示すべきである。


2. 東電債務超過回避のために、費用見積りを隠すべきではない
 
政府は、東電が債務超過になる恐れがあるとして、東電委員会で東電改革案がまとまる年末まで、1F事故賠償・廃炉費用の最新見積りを公表しない方針のようだ。
一方で、電気事業連合会が、8.1兆円の資金が不足するという試算を政府に示し、国費負担を要請したとか、
経産省が、賠償・廃炉費用の総額は20兆円を超えると推計した、といったことが報じられている。
政府は、過去に例がないため、費用見積りが難しいと言うが、合理的に見積れる範囲であっても、東電が実質的に債務超過になる可能性がある。
賠償・廃炉費用の規模感が、具体的に示されないままに、費用負担の仕組みや統合・再編を含む、東電改革の論議が先行するのは、本末転倒である。


3. 老朽炉の廃炉関係費用の見積りを明らかにすべき
 
2012年の原子炉等規制法の改正で、原発の運転期間が40年に制限され、審査を通った場合に限り、20年の延長が認められることになった。
既に、関西電力美浜1、2号機、中国電力島根1号機、四国電力伊方1号機、九州電力玄海1号機、日本原電敦賀1号機の6基が、運転期間延長申請をせず、廃炉とすることが決定した。
 
原発の廃炉費用は多額に上るため、運転期間中から、原子力発電施設解体引当金を積み立てることとされており、その引当費用は、電気料金原価に算入されている。
ところが、2013年に制度が改正される以前は、発電量に比例して引き当てる、生産高比例法が採用されていたこと等により、
引当金の残高が、本来積み立てるべき総額に不足する、という事態が生じている(引当計算の前提だった稼働率76%に達しなかった等による)。
この引当不足額は、通常の会計処理であれば、特別損失として一括計上されるべきものである。
 
また、廃炉決定時点における固定資産(原子力発電設備、核燃料)の残存簿価については、固定資産除却損が計上され(改修等があるため、老朽炉でも設備の残存簿価がある)、
さらに、上記解体引当金の対象となっていない核燃料解体費用等も発生するが、これらも、特別損失として計上されるべきものである。
 
しかし、多額に及ぶこれらの費用を、廃炉決定時点で一括認識し特損計上することは、電力会社の財務に悪影響を及ぼすため、廃炉の決定を躊躇うことが懸念された。
そのため、2013年と2015年の2回にわたり、「廃炉会計制度」が整備され、廃炉関係費用の分割償却と、電気料金原価算入を可能にすることによって、廃炉を促進することとされた(その他、解体引当金の引当てを、生産高比例法から毎年定額引当に変更し、不足が生じないようにされた)。
 
上記6基に廃炉会計制度が適用され、その対象費用については、参考資料の通りに明らかにされている(2016年3月末の残高は、6基合計で約1,800億円である)。
しかしながら、今後も、運転期間延長を申請せず、廃炉となる老朽炉が出ることが想定されるが、その場合に、どの程度の費用が発生し得るかを試算するための基礎データが、十分に公開されていない
原子炉毎の解体引当金総額の見積額、及び未引当額等は、公表されているが、廃炉会計制度の対象となる、固定資産の残存簿価、及び減価償却費の年額(これにより将来の廃炉決定時の残存簿価が推計できる)、及び核燃料解体費用等の見積額も、原子炉毎に明らかにすべきである。
こうした費用の国民負担への転嫁が、検討されているのであれば、公開が優先されるべきである。


【東電賠償・廃炉費用について】

4. 原賠機構一般負担金「過去分」はあり得ない

 
資源エネルギー庁は、原賠機構の一般負担金について、
「本来、これらの費用は、福島第一原発事故以前から確保されておくべきであったが、制度上、こうした費用を確保する措置は講じられておらず、当然ながら、料金原価に算入することもできなかった」と主張する。
そして、過去に、
「安価な電気を利用した需要家」に遡及して負担を求めるべきだが、現実的ではないとして、全需要家が遍く負担する、送配電網の利用料である託送料金に上乗せして、回収することを検討している。
すなわちこれは、原発を持つ電力会社だけでなく、新電力の利用者も、賠償費用を負担することになる
 
原賠機構の一般負担金は、東電以外の電力会社にも電気料金原価への算入を認め、また株主からの責任追及を回避するために、将来の事故に備える支え合いの仕組みであるとの建前をとるが、実質的には東電支援に充てられてきた
 
にもかかわらず、この期に及んで、こうした「過去分」なる理屈が持ち出されたことには、大いに違和感がある。
販売時に、原価に含めていなかった分を遡及して取り立てるなどということは、通常の商取引ではありえない。
販売側が、自己責任で処理すべきものである。
 
そもそも、事故リスクを過小評価し、事故費用の備えを怠ったどころか、
リスクに備えると、原発が危険だと思われる恐れがあり、また投資に金が嵩むことから、賠償費用の備えをせず、安全投資も抑えた、国及び電力会社の甘い判断の問題
である。
安全神話」を流布させてきた責任を棚に上げ、賠償の原資不足を電気利用者全員で負担しろと言うような、事故検証と断絶した費用負担論は認められない


5.「使用済燃料再処理等既発電費」の前例を悪用すべきではない
 
「過去分負担」問題は、使用済み核燃料の再処理費用を発電時に積み立てる、使用済燃料再処理引当金の創設時(2005年)にも起きている。
制度開始以前に発生した使用済み燃料の再処理費用、いわゆる既発電分について、原発を持つ電力会社の電気料金ではなく、託送料金で回収する案が示され、
PPS(現・新電力)が反発し、「(過去分をPPSの顧客に負担させるのは)今回の小委員会で最後」にするとして、議論が終了し、
2005年度から15年度間にわたり、「使用済燃料再処理等既発電費」を電力会社が費用計上することとなり、その相当額が託送料金に含まれている。

資源エネルギー庁は、逆に、この議論を、託送料金で回収することの前例として示しており、悪質極まりない


6. 1F廃炉費用の託送料金上乗せの根拠がない
 
1Fの廃炉費用は、東電の合理化努力により捻出するというのが、現下の検討の基本とされている。
電気料金に1F廃炉費用を含めることは、経営判断であり、消費者にも、その価格を受入れるか、他社に移るかの選択肢がある。
 
しかし、送配電事業の合理化による、原価低減分の扱いは別である。
合理化分を、東電の送配電部門(東京電力パワーグリッド)の託送料金(自由化後も引き続き規制料金)に反映させず、廃炉費用に充てるならば、
新電力を含む東電管内の全利用者が、廃炉費用を負担することになる
それが認められる根拠も示されないままに、送配電事業の合理化分を廃炉費用に充てるために、「制度的手当」をどうするかという議論に飛躍している
 
廃炉・汚染水対策のうち、安定化維持費用については、既述の通り小売料金(小売自由化後も2020年までの経過措置として規制料金)原価に算入されているが、
そもそも発電をしておらず、売上を生まないにも関わらず、経常費用として原価算入を認めた判断は問題であり、送配電網の利用料である託送料金の原価たり得ないことは、なおさら明白である。


7. 1Fへの廃炉会計制度(廃止措置資産)適用には歯止めがない
 
1F廃炉費用のうち、固定費については、廃止措置資産(廃炉・汚染水対策のために新たに取得する設備等)への廃炉会計制度の適用を継続し、その減価償却費を、託送料金に上乗せすることも検討されている
元々、廃炉措置資産という区分は、通常炉の廃炉を促進するために、2013年の廃炉会計制度導入の際に設けられたものであり、事故を起こした1Fに適用するためには、通常炉とは別途の根拠を必要とする。
しかし、その根拠が示されないままに、資金確保のための「政策対応」に、議論が飛んでいる。
 
そもそも、通常炉に関しても、「発電と廃炉は一体の事業」という理屈で、廃止措置中も引き続き役割を果たす設備(原子炉格納容器など)について、
固定資産除却損(特別損失)の一括計上ではなく、減価償却の継続と電気料金原価算入を認めた、2013年廃炉会計WGの論理には問題がある。
同WGは、事故炉にも留保なく適用することを認めたが、これを維持するのであれば、廃炉・汚染水対策のための新規取得資産が、際限なく廃止措置資産として計上されることになる。
その矛盾を放置した上に、特例を設けることは現に慎むべきである。


8. 東電破綻処理、株主・貸し手責任の完遂が前提
 
負担の前提となる責任の所在の議論があいまいなまま、1Fの事故費用負担の現状や、廃炉や賠償にかかる費用の具体的な見積りも示されていない中で、
このまま費用負担の論議や、統合・再編を含む東電改革論議が先行するのは、本末転倒
である。
原則に戻って、費用認識をし、経営責任の明確化と、株主・貸し手責任の徹底を前提として、廃炉と賠償の完遂という特殊事情を踏まえつつ、東電の今後を議論すべきである。


【老朽炉の廃炉費用について】

9.「安全神話」の反省がない

 
3.11の反省を踏まえて、原子力規制委員会が創設され、原子炉等規制法も改正されて、40年運転制限やバックフィットが導入され、新規制基準も策定された。
 
にもかかわらず、安全神話の下での60年運転計画を前提に、老朽炉の40年廃炉は、原発の40年運転制限の導入や、新規制基準の策定という政策変更を理由とした「計画外廃炉」に当たる、
あるいは、新たな基準を既存炉に適用するバックフィットを理由とする廃炉も、計画外廃炉となるなどとして、国民負担に転嫁するのは、
福島第一原発事故の検証を無視した議論であり、認められない。


10. ベースロード電源市場とのバーターにすべきではない
 
当初、資源エネルギー庁は、電力小売自由化後も、大半の新電力は、大手電力会社の電源から常時バックアップを受けて供給力を補っており、
大手電力会社の、原発を含む電源から受益をしているという、アクロバティックな「現在受益論」を唱えたが、さすがにこれは評判が悪く、取り下げた
しかし、託送料金上乗せを認める見返りとして、大手電力会社のベースロード電源に対する新電力のアクセスを確保することなど、原発を、いわば「公益電源」化する議論は維持されている
ベースロード電源の開放は、大手電力会社と新電力の競争条件を対等にして、競争を促進する必要条件であるが、託送料金上乗せの交換条件にするものではない
また、「公益電源」などという言葉で惑わせ、託送料金を通じた消費者負担で、原発を優遇することを正当化すべきではない
 
電気そのものの価値から、二酸化炭素を排出しないという「非化石価値」を分離して取引できるようにする、「非化石価値取引市場」創設も検討されている。
その主要な目的は、再生可能エネルギーの推進と、FIT(固定価格買取制度)賦課金の国民負担軽減である。
しかし、原発を非化石電源として、再エネと同列で扱うことは問題であり、原発の環境汚染リスクという、負の価値を減殺させる不当な優遇措置となるため、認められない


11. 廃炉促進の特別法で分割償却を担保すべき
 
通常炉の廃炉費用に関する今般の検討の「目的」としては、「原発依存度低減、廃炉の円滑化」が掲げられており、
資源エネルギー庁の資料は、廃炉促進を前面に出した上で、会計上の制約を訴える構造となっている。
資源エネルギー庁は、計画外廃炉については、一括費用認識が問題であって、「電力会社が廃炉に関係する費用負担を回避したい訳ではない」とする。
直接的なキャッシュフローではなく、バランスシートへの影響(債務超過、あるいは財務指標悪化による資金調達リスク)のみが問題であるのならば、
特別損失一括計上ではなく、費用として分割計上できるよう、会計上の特則を担保できればよいはずである。
その場合であっても、電気事業会計規則など、経済産業省令レベルで処理するのであれば、国民、国会の監視・関与が効かない。
あくまで会計原則の例外であることを明確にしつつ、廃炉促進を目的とする特別法を制定して、分割償却を担保すれば、透明性も確保でき、望ましい


12. 託送料金上乗せは、電力会社に不当な損益改善効果
 
廃炉費用を、利益(=電気料金-本来の原価)から捻出する場合は、分割償却と特損一括計上との間で、電力会社の通算損益は変わらない。
しかし、廃炉費用を託送料金に上乗せすることは、廃棄する資産の対価を、消費者から別途徴収することと同じであるので、電力会社の損益にとってプラスの効果が生じる
また、発送電分離後の廃炉費用は、原子炉を所有する発電会社に帰属するのに対し、
託送料金収入と、これに対応する費用(託送料金原価)は、送配電設備を所有する送配電会社に帰属するため、会計上の矛盾が生じる(廃炉費用を賦課金の形で徴収する場合でも、事実上、価値のない資産の対価として、消費者に追加負担が生じることには変わりがない)
加えて、廃炉費用(原子力発電施設解体引当金)の見積りが、上振れして膨らんだ分も、託送料金に上乗せされる可能性が示唆されている
資源エネルギー庁は、「見積り総額を経産大臣が承認する」ことで、妥当性を確保する現行の仕組みを継続するとするが、廃炉費用が際限なく託送料金に転嫁される、抜け道を作ってはならない


13. 会計制度を歪めるべきではない
 
廃炉が決まった原発は、もはや発電をせず、売上を生まないのであるから、廃炉費用には原価性がなく、特別損失として計上されるべきものである。
しかしながら、廃炉会計制度では、電気料金の総括原価方式の原価として算入することによって、廃炉費用に原価性を付与して、一括費用認識(特損計上)を回避している
 
2020年の規制料金撤廃以降は、この原価性を維持できないことから、残る規制料金である託送料金の原価として、一括費用認識を回避することが目論まれているが、
託送料金制度を利用しても、原価性のないものに、虚構の原価性を付与することには変わりがない
本来、電気事業会計制度と電気料金制度との間には、「会計制度を基礎にした電気料金」という関係があるはずである。
つまり、電気事業会計の社会性を担保するために、企業会計の原則に従うことが当然に求められ、その会計を基礎として電気料金が算定される。
しかし、廃炉会計制度では、電気料金原価に算入するという結論に会計制度の方を合わせる、「電気料金を前提とした会計制度」という逆転が起こり、会計制度が歪められている
これ以上、原子力発電に関する会計制度を、歪めるべきではない(金森絵里氏『原子力発電と会計制度』参照)。


14.「原発は安い」というコスト計算に意味はない
 
福島第一原発事故により、多額の賠償・廃炉費用が発生するという経験をした後でも、「原発は安い」と主張されている。
「原発は安い」と言うのであれば、通常炉・事故炉を問わず、賠償・廃炉費用は、利益(過去利益を含む)から捻出すべきである。
託送料金上乗せを求めるならば、「原発は安くなく、電力会社が負担に耐えられない」ことを認めなければ、筋が通らない
 
まずは、1F賠償・廃炉費用、及び通常炉の廃炉関係費用の見積りを、明らかにすべきである。
また、計画外廃炉の場合、電力会社は、稼働継続と廃炉との間で損益を比較して、合理的に判断しているはずである。
本来電力会社が捻出すべき費用が、安易に消費者につけ回されてはならず、原発によってどれだけの利益が蓄積されているのかをはじめ、原発に係る通算損益の計算、電力会社の負担能力に係るデータも明らかにすべきである。

以上
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