ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

さらばTPP!わたしらは、身の丈に合うた賢い生き方を選ぶ!

2013年02月27日 | 日本とわたし


TPPについて - 日本の皆さんへのメッセージ
ブルースター・ニーン & キャサリン・ニーン


キャサリン・ニーン:
みなさんこんにちは。
TPPの討論会へ、ようこそおいで下さいました。
この会が、日本の皆さんにとって、有益な場となりますように。
海の向こうからのご挨拶になってしまったことをお詫びいたします。
全くの予想外でしたが、先週金曜日の定期検診で、ブルースターの心臓に問題が見つかり、
急きょ、医師から、旅行の中止を指示されました。
治療の効果が見られる前に渡航すれば、重大な結果を招く危険も高いということでした。
そういうわけで、わたし達は今、オタワの自宅におります。
日本へ行って、皆さんと、TPPへの懸念を共有できず、直に皆さんのお話を伺うこともできないことを、大変残念に思っています。
しかし、わたし達は、日本の賢明な判断に貢献できることを、願ってやみません。
ブルースター?

ブルースター・ニーン:
旧友であり同僚であるレイから、日本でTPPの講演をして欲しいと言われた時は、驚きとともに、大変嬉しく思いました。
皆さんとお会いできず、本当に申し訳なく思います。
私が用意した講演を、レイが皆さんに伝えてくれるということで、安堵しています。
私とレイは、25年来の友人で、共にウィニぺグ市で働いていました。
その頃、カナダの農家は、深刻な負債問題に直面していました。
農家が、借金のかたに、農地を銀行にとられていくのを見て、
農地トラストというやり方の方が、銀行から借金をするよりも農地を守れることを、農家に紹介していました。

その頃、地域から、食に関する関心が高まり、私たちも、CSA(地域で支え合う農業)などの、地域主導型の農業の立ち上げに関わっていました。
レイと私はそれ以来、地球の反対側に住みながらも、交流を続けています。

講演を始めるにあたって、ひと言付け加えたいことがあります。
TPPは“パートナーシップ”と呼ばれていますが、実際には、国と国が、公平で正しい関係を結ぶものではない、ということです。
すべての人々のニーズが満たされ、環境をも守るような経済を、作り上げるものではないのです。
TPPは、他の貿易協定と同じように、企業が好きな場所で好きなように、事業を展開できるよう、特権を与えるものです。
いったん“パートナー”国となれば、その企業の特権を認め、保護しなければならなくなります。
それが、全ての人にとっても良いものである、と言うのです。

しかし、モンサントやカーギルのような、多国籍企業と国々の関係は、むしろ植民的な主従関係、というべきです。
植民地支配をする側、される側、という関係になってしまうのです。
日本は、企業の権利を保障したり擁護する、といった役割を強いられるでしょう。

TPPの目的は、人々の幸福ではなく、企業の幸福なのです。

日本にとって、この貿易協定に参加するということは、米を含めた食料自給の放棄を意味します
カーギル社は喜んで、テキサスやカリフォルニアから、米を日本に輸出してくれるでしょう。
豚肉でも牛肉でも、合衆国や、おそらくカナダから、カーギル社は喜んで輸出してくれます。
また、ニュージーランドも喜んで、日本が必要とする乳製品を輸出するでしょう。

しかし、TPPは、単に貿易問題にとどまりません。
学校給食や医療などを含む、公共事業において、外国企業が日本での入札に参加できることを、認めなくてはならなくなるからです。
日本は、外国企業を、日本企業と同様に、日本国籍を有する法人であるかのように、扱わなくてはならなくなるのです。

さらに、TPPの最も重大な側面のひとつは、遺伝子組み換えや、特許種子問題への影響です。
今日、世界で消費される食料の大半が、実は、自家採取した種子を使って、小規模農場で栽培された作物です。
しかし、モンサントやシンジェンタのような、ほんの一握りの巨大企業は、
遺伝子組み換え技術や知的所有権を利用して、世界の食料市場の支配を広げています。
TPPは、この目的達成を手助けするために企図された協定
なのです。
そもそも、モンサントの種子は、環境に配慮した農業のものではなく、工業的で、エネルギーを多投する、画一的な農業のために作られたものであり、
企業の利益を除けば、誰にとっても災いをもたらす代物です。

TPPは、健康や環境に関する安全基準を引き下げ、それを国際基準として統一しようとするものです。
その意図は、医薬品や遺伝子工学の分野においても、企業による乗っ取りを助長するものなのです。
カナダでは、企業の利益が守られる範囲で、規制が策定されている、とさえ言われています。
さらに政府は、適切な試験もせずに、全ての新しいバイオテクノロジー製品を、許可しようとしています。
地球の裏側のカナダでも、現政府は、企業保護のために尽くしており、
TPPは、日本と同様、カナダにとっても、やはり悪い結果を招くものなのです。

キャサリン?

キャサリン・ニーン:
カナダはこれまでに、いくつもの貿易協定に参加してきました。
そして今、TPPとCETAへの参加協議を行っています。
CETAは、ヨーロッパとの貿易協定で、内容はTPPと同じものです。
カナダ政府は、国民の不安を、無視しようとしてきたことは明らかです。
国民が黙ってさえいれば、政府はそういうことがやれてしまうのです。
そして、反対者を追いやって、計画を実行してしまうのです。
今日の会が、TPPによって被る本当の危険とは何なのかを、日本の皆さんが理解する一助となることを願っています。
皆さんの地域社会や組織の中に、TPPをめぐる問題意識が高まり
政府のプロパガンダに対して、声を上げるための手助けとなることを期待しています。
食糧主権に関心を寄せる、世界各国の人々と声を合わせ、
企業による食糧システムの統治や支配は、誰にとっても良く無いことであると、訴えて欲しいと思います。

食糧主権とは、
わたし達が、わたし達自身の持つ、身の丈にあったエネルギーを使って、地域規模の食糧システムを構築することです。
また、その経済は、公正さを保ち、環境に配慮したものであるべきです。
世界のあらゆる地域で、食糧主権に取り組む人々と繋がりましょう。


わたし達は、グローバル貿易よりも、人々の生活が優先される日が来ることを望んでいます。
まず、家族が十分食べられる分を確保して、残りを市場へ持っていくのでしたね、ブルースター?

ブルースター・ニーン:
そうだね。
最後にもう一度、日本の皆さんがいらっしゃる会場に伺えなかったことを、心からお詫びし、お招きいただいたことにあらためて感謝申し上げます。
では、信頼おける友人レイに、あとを託します。

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