この界隈では私の石橋守好きは有名であろうが
「なぜ石橋守好きなのか?」「なぜ“さん”づけなのか?」
ということに関してはあんまり書いたことが無い。
私が言うのも何なんだが、石橋さんは取り立てて騎乗技術が優れているわけでもない。
印象に残る馬に数多く乗っているわけでもない。
テレビのバラエティ番組で笑いを取れるような人でもない。
そんな派手さの無い一見すると「ただ地味」な騎手がなぜMFJ(マイ・フェイバリット・ジョッキー)なのか。
それはさかのぼること10年前、私が中学生で競馬を競馬として見始めて1年位たった時のことだった。
私は知り合いの方のツテで栗東トレーニングセンターを訪れる機会を得た。
当時ハッピーマンデー法施行以前だったので、その96年10月10日は体育の日だった。
訪れたのは知り合いの方が厩務員さんと知り合いとなった境直行厩舎。
過去にフレッシュボイスを手がけていた厩舎である。
われわれは「厩舎関係者の知り合い」という特権を使用させてもらい
一般見学者は入れないトレセンの調教スタンドに入らせてもらった。
まだ朝の早い時間帯でコースでは追い切が行われており、ちょうど坂路で調教を終えた馬が戻ってくる道の
真上のスタンドにいた私たちは京都新聞杯1週前追いきりを武豊を背に終えたダンスインザダークを見たりして
幸せの真っ只中であった(ダンスは今も昔もMFHなので)。
スタンドでの見学を終え、厩舎に戻った私たちは厩舎内を見学させてもらった。
マチカネゲンジの母であるマチカネササメユキ(超良血)が厩舎の期待馬である
などと教えてもらっていると、厩舎に小柄な一人の男性が入ってこられた。
そう石橋さんである。
石橋さんはもともと境厩舎所属で当時すでにフリーになっていたが
境厩舎の馬にも乗っていたし、会えるかも、と期待して
サインをもらうため「ライブリマウントの平安S」のトレーディングカードを持参していた。
余談であるが当時境厩舎所属だった藤田騎手のサインももらおうと
フサイチコンコルドのダービーのポスターを持参していた。
ただポスターとトレーディングカードの差に石橋さんが気を悪くするのではないかと
心配していたのだが幸か不幸かホウエイコスモスの南部杯に騎乗するため藤田騎手は盛岡に行っており
コンコルドのポスターはそのままかばんに入れたままで済んだ。
厩舎の中に入った石橋さんに私は駆け寄り「サインお願いできますか?」
と声をかけた。
石橋さんはちょうど手を洗い始めたところで(なんと間の悪い私であろうか)
「ちょっと待ってな。」
と言い、洗い終えた手を丁寧にタオルで拭いて私のカードとペンを受け取ってくれた。
特に紹介もされていなかったので、石橋さんとしてはどこの誰だか分からん中学生
である。
もちろん厩舎にいて誰も何も言ってないから、関係者の誰かの知り合いであろう事は想像できただろうが
非常に丁寧に、快く応対してくださった石橋さんに子どもながらに私は感動してしまった。
そして石橋さんはカードを受け取ると
「これ表にサインして良いの?裏にした方が良い?」
とさらなる心遣いを見せてくださった。ここまでくると完全に
「石橋さん=ものすごく良い人」
の図式が私の中で出来上がっていた。
この出来事以来、私はずーっと石橋さんのファンだ。
そして私が唯一騎手で「さんづけ」する騎手だ。
岡部もユタカも呼び捨てなのに、石橋さんだけはレース中に叫ぶ時ですら「石橋さん!」だ。
予想していて「来ないな」と思う馬でも石橋さんが乗っていれば買いたくなるし
たまに人気薄で複勝をとらせてもらったりもした。
そして石橋さん自身がマスコミに出ることは無いものの
例えばデムーロが来日して石橋さんにプレゼントされたブーツで日伊ダービーを取った話を新聞で読んだり
テレビで池添とユーイチが「普段は誰が面倒見が良いのか?」というようなことを聞かれて
2人とも真っ先に「石橋さん」と答えたりするのを見る度に自分の中のイメージが正しかったことを再確認した。
また境厩舎に新人として入った小坂忠士くんが
「目標とする騎手:石橋守」
としているのを見たときはその人柄が厩舎研修で会った新人にまで伝わるのかと
驚いた。
そんな石橋さんもG1をこのまま取れずに終わるのかな、と思っていた。
だからメイショウサムソンが2歳時に中京2歳Sをレコード勝ちした時
「これは石橋さんにとって最初で最後のG1勝ちのチャンスかもしれない」
と思った。ところがサムソンは最初で最後どころか皐月賞に続いてダービーまでも
勝ってしまい。あっという間に石橋さんはダービージョッキーの称号を得ることとなった。
そして今週は昨年のディープインパクトに続く2年連続の三冠馬を目指して
石橋さんとメイショウサムソンは菊花賞に挑戦する。
昨年はディープ一色だったが、まさか今年も出走しないのに競馬会はディープ一色。
でもそんな大きく、派手な存在の陰に隠れて、ひっそりと、でも力強く確実に
三冠を達成する騎手と馬がいても良いじゃないか。
そしてそんな三冠騎手と三冠馬の誕生を
私は本気で心の底から願っている。
「なぜ石橋守好きなのか?」「なぜ“さん”づけなのか?」
ということに関してはあんまり書いたことが無い。
私が言うのも何なんだが、石橋さんは取り立てて騎乗技術が優れているわけでもない。
印象に残る馬に数多く乗っているわけでもない。
テレビのバラエティ番組で笑いを取れるような人でもない。
そんな派手さの無い一見すると「ただ地味」な騎手がなぜMFJ(マイ・フェイバリット・ジョッキー)なのか。
それはさかのぼること10年前、私が中学生で競馬を競馬として見始めて1年位たった時のことだった。
私は知り合いの方のツテで栗東トレーニングセンターを訪れる機会を得た。
当時ハッピーマンデー法施行以前だったので、その96年10月10日は体育の日だった。
訪れたのは知り合いの方が厩務員さんと知り合いとなった境直行厩舎。
過去にフレッシュボイスを手がけていた厩舎である。
われわれは「厩舎関係者の知り合い」という特権を使用させてもらい
一般見学者は入れないトレセンの調教スタンドに入らせてもらった。
まだ朝の早い時間帯でコースでは追い切が行われており、ちょうど坂路で調教を終えた馬が戻ってくる道の
真上のスタンドにいた私たちは京都新聞杯1週前追いきりを武豊を背に終えたダンスインザダークを見たりして
幸せの真っ只中であった(ダンスは今も昔もMFHなので)。
スタンドでの見学を終え、厩舎に戻った私たちは厩舎内を見学させてもらった。
マチカネゲンジの母であるマチカネササメユキ(超良血)が厩舎の期待馬である
などと教えてもらっていると、厩舎に小柄な一人の男性が入ってこられた。
そう石橋さんである。
石橋さんはもともと境厩舎所属で当時すでにフリーになっていたが
境厩舎の馬にも乗っていたし、会えるかも、と期待して
サインをもらうため「ライブリマウントの平安S」のトレーディングカードを持参していた。
余談であるが当時境厩舎所属だった藤田騎手のサインももらおうと
フサイチコンコルドのダービーのポスターを持参していた。
ただポスターとトレーディングカードの差に石橋さんが気を悪くするのではないかと
心配していたのだが幸か不幸かホウエイコスモスの南部杯に騎乗するため藤田騎手は盛岡に行っており
コンコルドのポスターはそのままかばんに入れたままで済んだ。
厩舎の中に入った石橋さんに私は駆け寄り「サインお願いできますか?」
と声をかけた。
石橋さんはちょうど手を洗い始めたところで(なんと間の悪い私であろうか)
「ちょっと待ってな。」
と言い、洗い終えた手を丁寧にタオルで拭いて私のカードとペンを受け取ってくれた。
特に紹介もされていなかったので、石橋さんとしてはどこの誰だか分からん中学生
である。
もちろん厩舎にいて誰も何も言ってないから、関係者の誰かの知り合いであろう事は想像できただろうが
非常に丁寧に、快く応対してくださった石橋さんに子どもながらに私は感動してしまった。
そして石橋さんはカードを受け取ると
「これ表にサインして良いの?裏にした方が良い?」
とさらなる心遣いを見せてくださった。ここまでくると完全に
「石橋さん=ものすごく良い人」
の図式が私の中で出来上がっていた。
この出来事以来、私はずーっと石橋さんのファンだ。
そして私が唯一騎手で「さんづけ」する騎手だ。
岡部もユタカも呼び捨てなのに、石橋さんだけはレース中に叫ぶ時ですら「石橋さん!」だ。
予想していて「来ないな」と思う馬でも石橋さんが乗っていれば買いたくなるし
たまに人気薄で複勝をとらせてもらったりもした。
そして石橋さん自身がマスコミに出ることは無いものの
例えばデムーロが来日して石橋さんにプレゼントされたブーツで日伊ダービーを取った話を新聞で読んだり
テレビで池添とユーイチが「普段は誰が面倒見が良いのか?」というようなことを聞かれて
2人とも真っ先に「石橋さん」と答えたりするのを見る度に自分の中のイメージが正しかったことを再確認した。
また境厩舎に新人として入った小坂忠士くんが
「目標とする騎手:石橋守」
としているのを見たときはその人柄が厩舎研修で会った新人にまで伝わるのかと
驚いた。
そんな石橋さんもG1をこのまま取れずに終わるのかな、と思っていた。
だからメイショウサムソンが2歳時に中京2歳Sをレコード勝ちした時
「これは石橋さんにとって最初で最後のG1勝ちのチャンスかもしれない」
と思った。ところがサムソンは最初で最後どころか皐月賞に続いてダービーまでも
勝ってしまい。あっという間に石橋さんはダービージョッキーの称号を得ることとなった。
そして今週は昨年のディープインパクトに続く2年連続の三冠馬を目指して
石橋さんとメイショウサムソンは菊花賞に挑戦する。
昨年はディープ一色だったが、まさか今年も出走しないのに競馬会はディープ一色。
でもそんな大きく、派手な存在の陰に隠れて、ひっそりと、でも力強く確実に
三冠を達成する騎手と馬がいても良いじゃないか。
そしてそんな三冠騎手と三冠馬の誕生を
私は本気で心の底から願っている。
石橋騎手がダービーを勝った時に、他の騎手の方が皆嬉しそうにお祝いの言葉をかけていた、という記事を読み、石橋騎手の人柄を感じました。実力世界の中で仕事仲間から慕われる方がダービージョッキーになったということが競馬歴の浅い私にも嬉しく、その時から是非三冠を達成して頂きたいと思うようになりました。
今年の菊花賞は去年程騒がれてはおりませんが、私も石橋騎手とメイショウサムソンが三冠を達成することを本当に願っています。
長々と失礼致しました。
はじめまして。
私も皐月、ダービー共に関西のジョッキーズルームで
歓声が上がったというのを見てとても嬉しく
改めて石橋さんが仲間に愛されているのがよくわかりました。
石橋さんの勝利を願う方が多いのは
私としても心強いです。
これからもよろしくお願いします。
金曜日の更新では、抑え切れないイラ立ちが伝わってきて、私も同じ気持ちだと嬉しくも思えました。
そして、今日も…。
こういった暖かい文章を読むことができて、幸せです。
ここ一連のディープの薬物反応における、冷静さに欠けた発言の数々によって荒んだ私の心は、連日、ニセ社長さんの言葉によって救われています。
本当にありがとう。
石橋騎手、およびメイショウサムソン号の快挙を心から願います。ですので、呪い回避のためにメイショウサムソン1着馬券を買うのはやめておきますね(笑)
本当にありがとうございました。
いや、ここまで褒められると恐縮です。
ただみなさんがここまで共感していただけるのも
ひとえに石橋さんの持つ雰囲気から感じられる人柄によるものなんでしょうね。
>呪い回避のために
ありがとうございます。
いや、でもサムソン1着馬券で勝負できると思われたなら
気にせずに馬券買ってくださいね(笑)。
いつも楽しませてもらっている、pusholというものです。
ニセ社長さんが石橋さんファンになったというエピソード、
そして石橋さん自信の魅力が詰まった心温まる文章、
その両方にグッときました。
菊花賞結果は残念でした。
でもサムソンと石橋さんの人馬一体のドラマと、
それに負けない素晴らしいレース内容に、
久しぶりに競馬を見ていて震えました。
ぜひ有馬記念で強い競馬を見せて欲しいと思います。
はじめまして。
菊花賞の結果は残念でしたが
京都3000という舞台では上に来た3頭が強く
また3人の騎手も最高の騎乗でしたから
悔しいですが負けても納得です。
有馬の舞台である中山競馬場は(2.0.0.0)と得意ですし
期待大です。