新国立小ホールの「フラ・ディアボロ」に出かけた。浅草オペラ史には登場するこの作品であるが、現代の我われにはなじみが薄い。今回は昭和40年代の日本の温泉旅館という想定外の設定での公演。ベテラン、若手織り交ぜたキャストで、思い切った脚色と、ギャグや名作オペラのパロディ満載のよく工夫された舞台はそれなりに面白いのだが、やはり曲自体の魅力に欠ける。この種の工夫は、やはり揺るぎない音楽の魅力があって初めて効果を生むような気がする。有名な「岩にもたれて」以外はどうも魅力的なメロディに乏しく、同時に邦訳との関係か、譜割がむづかしいところもあるらしく、熱演にもかかわらずアンサンブルとしての仕上がりも今一つで、「国立」劇場の出し物としては完成度が今一歩であったような気がする。こうした公演を見るにつけ、ついつい比較してしまうのは、毎夏に名古屋の大須演芸場で繰り広げられる恒例の「スーパーオペラ」である。オッフェンバックの作品を中心に、まさに抱腹絶倒の舞台!秀でた歌唱技術や立派な舞台装置があるわけでもないのに、文句なく楽しいひと時を創出してくれる。東京のオペラ・ゴアーの中にも通いつめている人が多いと聞く。いったい何故なのか。やはり選曲に負うところは大きいと思う。
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