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藤原歌劇団「セビリアの理髪師」(4月29日)

2017年04月29日 | オペラ
ベルカント歌いとしてヨーロッパで名声を極めている脇園彩の凱旋公演である。なにしろ、ペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティバル・アカデミー出身とは言え、アルベルト・ゼッダをして「彩の声はもしかすると当時のソプラノ・ドラマティコ・ダジリタ、つまりイザベッラ・コルブランのような声なのかもしれない」と言わしめた逸材である。完璧なアジリタ技巧と押し出しの強い演技力、そして円やかで太いイタリア人好みの声質には本当に惚れ惚れした。これは本当に素晴らしい理想のロジーナだ。それにつられてか周りの歌手達の歌唱も上り調子で充実の度を増していった。とりわけ谷友博の切れ良く貫禄十分のフィガロは聞きものだった。柴山昌宣のバルトロの演技達者振りは全体を引き締めた。アルマヴィーバ伯爵の中井亮一は健闘していたものの声の伸びに不足しアジリタの切れ味もこの日は今一だった。指揮の佐藤正浩は、統率力はあるもののちょっと騒ぎすぎで、ロッシーニの響きではなかった。松本重孝の演出は丁寧に良く考えられたもので音楽の邪魔は一切せずに必要にして十分にドラマを盛り立てた。1300人規模のテアトロ・リージオもロッシーニには理想の空間で、藤原ならではの秀逸な舞台だった。
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