Maxのページ

コンサートの感想などを書き連ねます。

東響オペラシティシリーズ第94回(10月9日)

2016年10月10日 | コンサート
武満徹没後20年のメモリアルイヤーに、この曲の初演をした東響によってタケミツ・ホールに響いた「弦楽のためのレクイエム」。これまで幾度も邦人指揮者や外国人指揮者によって聴いてきたこの曲が、音楽監督ジョナサン・ノットによるこの日の演奏ほど説得力をもって語りかけてくれたことはなかった。明快にして柔軟な運びの中で、一つのストーリーを感じさせてくれるような、まさにこれは記念の年に相応しい稀代の名演奏だった。続いてはタケミツが愛したドビュッシーの交響詩「海」。この連続性はノットのプログラミングの魅力の一つである。俯瞰的な構成感と一点一画をおろそかにしない繊細な表現を通して、時にはきらびやかで、時には優しく、時には激しい「海」の表情を描き尽くした。ここでは秀でた木管の表現力が物を言った。休憩を挟んでのブラームスの1番は、正に天使が舞い降りた演奏だった。明快なだけでなく、懐の深ささえ感じさせたノットの演奏は新境地である。ノットの動きにものの見事に追従する東響から豊かな音楽が無限にと思わせる程に溢れ出る。一楽章の終盤あたりからその一体感は尋常なものではなくなり、中間楽章を挟んで、頂点を極めた感動的なフィナーレを形作った。このような演奏を前にすると、細かい描写は意味を持たない。それはノットと東響のかたい絆が作り出した一合一会の忘れ得ぬ音楽だった。
『芸術』 ジャンルのランキング
この記事についてブログを書く
« 第885回東フィルオーチャード... | トップ | 東響第645定期(10月15日) »