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第61回東響川崎定期(7月16日)

2017年07月17日 | コンサート
ノットの演奏会の楽しみの一つはそのプログラミングだ。今回はメインのマーラーの交響曲第2番「復活」の前に細川俊夫の「嘆き」が置かれた。メゾソプラノとオーケストラのためのこの曲は「東日本大震災の津波での犠牲者、特に子供を失った母親達に捧げられる哀悼歌」なのだから、人間の死と再生という課題を扱ったマーラーの作品とのテーマ的親和性には異をとなえるところはない。細川作品は乾いた音が全体を支配する曲で、それはさながら子を失った母親の心の空洞を表すよう。そんな中後半冒頭の藤村美穂子の強靭な高音による嘆きは心に突き刺さった。そして最後は風鈴や鐘の音が鳴る中、すべてが浄化されてゆく。武満のように和楽器を使うこともなく、しかしながら日本人特有の心象世界を描き尽くすこの作曲者の腕前には感服する。20分の休憩後のマーラーの「復活」は正にノットの独壇場。この日もノットは東響の面々の心を確りとつかんで自由自在にオケを操る。色々と手を尽くす表現が不自然さなく全体の構成の中で全てピタリと決まる。そしてオケの各パートが何と生き生きと鳴り尽くしていることか。まさに東響の実力を余すところなく引き出した名演だった。ここでも藤村美穂子は「Urlicht(原光)」で鳥肌が立つような秀でた歌唱を聞かせた。東響コーラスも実に精緻に行き届いたアンサンブルで歌いきった。
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