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武満徹ピアノ独奏曲演奏会(12月18日)

2016年12月19日 | コンサート
世田谷美術館の講堂で開催された高橋アキによる小さなコンサートである。「<没後20周年企画>一回だけの特別公演」と題されたこのコンサート、確かにこの日足を運んだ143人だけが享受することのできた特別な機会だったような気がする。出版されている武満のピアノ曲全てが、ほぼ作曲年代順に並べられ、そのように一連の作品を聞くことによって、時系列的な変化もありながら、そこを貫く武満の武満たる所以を確りと感じることのできた貴重な時間だった。時代とともに段々と音が多くなり、ストーリー的なものが見え隠れする瞬間さえ現れるのだが、基本はやはり音と音の間に聞かれるたゆたう響きの変化であり、そうしたものがこの作曲家の本質の多くの部分を占めているという思いを更に強いものにした。高橋のピアノはそうした響きの彩をクールに聞かせ本質に迫った。休憩後に「ピアニストのためのコロナ」が置かれたプログラミングが秀逸だった。この曲は、ピアノの内部奏法を多用した所謂当時の前衛音楽なのだが、それが今回の同質的なプログラミングにアクセントを与え、それに続く唯一のメロディアスな「こどものためのピアノ小曲」からの2曲が何と心に染みたことか。しかしここでも高橋のピアノはクールを貫いた。最後に高橋による委嘱作品群『ハイパー・ビートルズ』から武満編の「ゴールデン・スランバーズ」を実筆楽譜で弾くというおまけがつき、弟子でもあった池辺晋一郎と高橋アキとの短い対談でお開きになった。
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