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東響第645定期(10月15日)

2016年10月16日 | コンサート
音楽監督のジョナサン・ノットの指揮、バイオリンにイザベル・ファウストを迎えた「創立70周年記念ヨーロッパ公演プレコンサート②」である。最初に置かれたベートーヴェンのバイオリン協奏曲は、ティンパニとトランペットにピリオド楽器を使用したビブラート控えめのすっきりした演奏。それがダイナミックな運弓から生まれる瑞々しく切れがありながら繊細さをも併せ持ったファウストの音楽にピタリとはまった。作曲家自らピアノ協奏曲に編曲した作品61a(1807)の為に書かれたカデンツアを用いたことが非常に興味深く、同時にそれはとても効果的であった。1楽章のティンパニ付きの箇所を始め、何箇所かの掛け合いからソリストとオケとの音楽的対話が深みを増してゆく様は実に楽しく、取り分け終楽章のそれは合奏の喜びに満ち溢れた素晴らしい音楽だった。この「ムジチーレン」に満ちたスタイルはベートーヴェンの笑顔がうかがわれるこの協奏曲にまさにベストマッチだった。長く続く大きな拍手にアンコールは舞曲風のギコマン「アミュズマン」。休憩を挟んだショスタコーヴィッチの交響曲第10番ホ短調は、厳しく暗い側面を強調するのではなく、音楽に内在するしなやかさを引き出した実にノットらしい音楽。それは現代のショスタコ演奏に相応しいスタイルだと思う。実にこの曲の日本初演は、ソ連初演の翌年1954年に東響+上田仁によってなされているが、ここでは戦後のある時期ロシア物の初演を重ね、ロシアの名指揮者ヴィトルド・ヤンソンスの薫陶を得たこのオーケストラのDNAが存分に力を発揮したようにも感じられた。こうしたハイレヴェルな演奏を引っ提げてヨーロッパ公演に出発するこのオケの本場ヨーロッパでの評判が実に楽しみだ。
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