
全共闘世代の物語。東大安田講堂陥落のナレーションが冒頭から入って、最初は試写会にありがちな音声ミス?と思ったけれど、それも演出のひとつでした。
まだまだ全共闘運動の余熱冷めやらぬ時代に、新人雑誌記者の沢田(妻夫木聡)は、京西安保を名乗る梅山(松山ケンイチ)と出会い、取材を進める。沢田は京大全共闘のリーダー前園(山内圭哉)と梅山の対談をセッティングしたりと便宜を図るが、先輩記者からは「梅山は京西安保を騙っているだけで、怪しいから関わるな」と忠告されていた。
沢田が梅山のアジトで赤邦軍のヘルメットなどを写真に収めた後、赤邦軍が自衛隊に侵入して自衛官を殺したというニュースが流れる。沢田が梅山に単独インタビューをしていると、系列新聞の社会部記者が割って入ってきて、結局新聞は梅山を思想犯ではなく殺人犯として警察に告発する。沢田は取材源の秘匿をたてに何も喋らない。当の梅山、本名片桐は、あることないことをぺらぺらと喋り、沢田も逮捕されて職場をクビになってしまう。。。
試写会前に、山下敦弘監督と長塚圭史、山内圭哉のトークショーがあり、彼らの20代前半のこととか、撮影中の裏話とかをビール片手にいろいろと話してくれました。この試写会は、なんと観客にも飲み物のサービス付き!私もビール片手にトークショーを楽しみました。長塚圭史が早稲田の演劇で、学内にはまだ学生運動の立看板なんかが残っていたっていうのに、山下監督のいた大阪芸大ではそんな空気はまったくなく、せっせと映画を作っていたのに対して、山内圭哉は大学に行かず、中島らもの劇団リリパット・アーミーで演劇をやり始めていたとか、山内の奥さんが大阪芸大で、山下監督と古くからの知り合いだとか。自分も同世代なので、20代前半の頃の話は興味深く聞きました。
撮影の話では、2人とも全共闘のリーダー役だからか、撮影当日に台本にはない長台詞の演説原稿を渡されて必死で覚えたら、その演説を最初からではなく途中からやるように言われて、しかも編集でばっさりといってるとか。確かに唐谷(長塚圭史)の演説もそんなに長くなかったし、前園に至っては演説シーンそのものがないし。あとは前園のアジトのシーンのエキストラが熊切監督など関係者ばかりだったりとか、前園と梅山が対談する料亭のロケ場所が都内の古い日本旅館なんだけど、外国人のバックパッカーに人気のある宿だったりとか、いろいろと面白い話が聞けました。
映画は、松山ケンイチがいい味出してます。腰が据わっていないというか、信念がなくてただ何者かになりたいだけという挙動不審な梅山を、そのまんまというか本当に軽薄な奴として上手く演じていました。沢田は梅山に対してどうなんだろう、思想的には応援したくて、雑誌記者としてスクープもあげたい、そして最後まで頑なだったのは、梅山を信じた自分を否定したくないというこだわりと、雑誌記者としての意地かな。妻夫木君はそんな、純粋なところのある沢田をこれまた等身大に上手く演じていたと思います。
全共闘とか新左翼のことなんて、よど号事件とか浅間山荘事件くらいしか知らないけれど、セクトを作って活動する中には、本当に思想的な信念から行動に出る者もいれば、梅山のようにただ何かになりたかっただけの者、そして梅山の彼女のように思想ではなくその他の感情でついていった者など、いろんな人がいたんだろうな。
でもそれ以来政治活動は下火になっちゃって、僕たちの政治への無関心が今の政府の体たらくを許しているのだとしたら、3・11後の今こそ過去の呪縛から解き放たれて、三たび声を上げるときなのかもしれない。
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5/17 シネマート六本木



『海洋天堂』今夏シネスィッチ銀座他で公開!












拙ブログにトラックバックありがとうございます。
試写会前に色々お話が聞けて良かったですね。
この映画で、松山ケンイチのペテン師胡散臭さが良かったです!
赤邦軍の仲間も疑念を時々抱くんですよね。抱きつつ流されてしまう様子はなかなかよく出来ていたかと思います。
ではでは失礼いたします。こちらからもトラックバック送らせて頂きましたのでよろしくお願い致します。
試写会前のトークイベントはなかなか面白かったです。
松山ケンイチ、不思議な空気感を持った俳優さんですよね。
あの頃の映画がわからないので、妻夫木君の涙のくだりがいまいちピンときませんでした。
「生きてるだけでよかったじゃん」はいい台詞でしたけど。