まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
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奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ LES HERITIRS

2016-09-17 23:41:32 | その他の映画(あ~な行)

フランス、パリ郊外の高校で、落ちこぼれの集まるクラスが厳しくも暖かい教師の提案で歴史コンクールに出場して、表彰されるまでの物語。

まず生徒たちが多種多様でびっくり!アフリカ系が多いのは旧植民地からの名残でしょうか。アジア系もいるし、インドっぽいのも中東っぽいのも。冒頭ではムスリムの女子学生が卒業証書を受け取りに来たところ、「ヘジャブをつけいている生徒は学校に入れない」と言われ、もう卒業式は終わったんだから、と猛反発するシーンが出てくる。フランスでは、公立学校で宗教着の着用が禁止されていて、帽子を脱ぐのと同じ調子で生徒がヘジャブを脱いでいるのが印象的。

いろんな民族の生徒がいるっていうのは、パリの郊外という場所柄だったり落ちこぼれクラスだから、という成績の理由もあるのかな。クラスは最初、学級崩壊状態で、担任のゲゲン先生が突然の休みで代理の教師になると、勝手に話したり足を踏み鳴らしたりして全く授業にならない始末。ゲゲン先生はそんな彼らに何かクラス一丸となって取り組めるものがあれば、という思いから歴史コンクールへの参加を提案する。テーマはナチスのホロコースト。

重いテーマと授業以外の勉強に不満を見せていた生徒たちも、ゲゲン先生が本気で自分たちのことを考えていることを知り、前向きになる。グループでテーマがかぶったり、集めてきた情報が資料をツギハギしただけだったりで、ゲゲン先生とお手伝いの司書から幾度となく怒られたり失望させたりしながらも、アドバイスを受けたりしながらグループワークを進めていく生徒たち。黒人と白人とで付き合っているカップルがいたり、クラス委員っぽい優等生の男女がいたり、クラスで一言も口をきかなかった男の子がいたり、生徒たちも個性豊かです。近所のユダヤ系お婆ちゃんの部屋の郵便受けの落書きを消したり、グループワークをめぐって友人と喧嘩したり、素直な心を持っている様も垣間見えたりして、そのあたりは日本の高校生と変わらないなあと。

収容所で家族と生き別れ、本人だけ生き残った老人の話を聞き、収容所の博物館にも行って、どんどんと自分の身に引きつけてホロコーストを考えるようになり、最終的にまとめたレポートは大臣から表彰されることに!表彰式に向けて着飾った生徒たちが大人っぽくてかっこいいです。

フランスは第二次世界大戦の被害者だけど、ナチスに協力したヴィシー政権下ではユダヤ人迫害の加害者でもあった。そのことをこうしたコンクールを通じて次世代に伝えていく国家の心意気には素直に感心します。シラク大統領がヴェルディヴ事件(『黄色い星の子供たち』や『サラの鍵』で描かれています)を国家として謝罪したからこそ、真剣に向き合えているのではないでしょうか。

そのフランスでもアルジェリアの植民地支配と独立戦争については謝罪しないなどいろいろと葛藤があり、映画の中でも「戦争中の虐殺と民族抹殺のための虐殺は違う」といったことが言われますが、日本でも自らの犯した戦争犯罪を直視し、原爆の被害や特攻隊の悲惨さだけでなく加害責任についても後世に引き継いでいく必要がありますね。

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