まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

母をたずねて1万キロ

2017-05-14 | オセアニア、中東、その他のアジア映画
 「LION/ライオン 25年目のただいま」
 インドの貧困地で家族と暮らす5歳の少年サルーは、迷子になってしまい遠い町で保護され、養子としてオーストラリアに住む夫婦に引き取られる。成長したサルーは、微かな記憶を手がかりに、グーグルマップで生地と家族を探し出そうとするが…
 なぜタイトルが「ライオン」なのか、映画を観たら判ると聞いて楽しみにしていたのに、たまたま観たバラエティ番組で、ゴーリキあやめとお笑い芸人が得意げにネタばれしてたありえない~ふざけんな~
 とまあ、観る前にテンション下げられてしまいましたが、高く評価されたのも納得の佳作でした。私は冷血人間なので、涙までは流さないものの、ちょっとウルっとなりそうにはなりました。感動しやすい人は、きっと泣いちゃうと思います。悲劇をネタにしたお涙ちょうだいは苦手ですが、喜びと幸せで涙を誘う映画は好きです。
 この映画、実話を基にしているのだとか。世の中たくさんのウソみたいなホントの話が起きてはいますが、サルーの数奇な人生もまさに事実は映画よりも奇なり。グーグルで生まれ故郷を突き止めるというエピソードにも驚かされましたが、もっと信じがたかったのは、幼児が迷子になって家族と生き別れになって、インドからオーストラリアに流れていくという展開。あんなこと、ありえるんですね~。いくら何でも、日本では同じようなこと起きないと思うし。行方不明となった痴呆老人が、数年後に遠く離れた施設で発見されるってのは、たまにあるけど。子どもの場合は、事件事故に巻き込まれていないかぎり、どこかで保護されたらすぐに身元は判明するはずだし。汽車に閉じ込められたサルーが、何日も乗ったまま誰にも見つからないとか、衝撃的すぎました。駅であんな小さい子が独りでいたら、日本ならすぐに駅員やお巡りさんが保護するでしょう。でも、インド人は誰も気にせず無視、もしくは邪険に扱う。街をさまよった挙句、5歳の子がホームレス!しかも数か月も!でもあのインドの様子を見てたら、それもありえるんだろうな~と、日本との社会や生活の相違にカルチャーショックを受けました。

 それにしてもサルー、その心身のタフさに驚嘆!とても5歳児とは思えぬサバイバル力、冷静沈着っぷりでした。私なら、ぜったい精神的に異常をきたすわ。家族を恋慕いながらも、取り乱したりせず淡々と運命に逆らわないサルーの様子に、どうでもいいことで錯乱しかける自分が恥ずかしくなりました。危ない目にも遭ってたけど、うまくすり抜ける賢さ、勇気も大人顔負け。私なら確実に野垂れ死に、もしくは変質者の餌食か売り飛ばされるかです。タフで聡明だったからと同時に、運のよさのおかげで命を落とすこともなく、もっと過酷な運命をたどらずにもすんだサルーです。それにしても。「ムーンライト」のシャロンもでしたが、何の罪もないいたいけな子どもが非道い目に遭うのは、本当に悲しく憤りを覚えます。今もまだ、社会は子どもに冷たく害悪に満ちています。
 シャロンもサルーも、辛酸なめまくりの過酷な少年時代を余儀なくされましたが、一方では人一倍の優しさや愛にも恵まれてもいました。サルーを引き取って慈愛を注いだオーストラリア人夫婦も、まるで生き仏のような人たちでした。サルーは本当に幸運でしたよ。虐待する鬼畜のほうが、出くわす確率は高いですし。冷血人間の私は、愛する家族がいても貧しく絶望的な未来しか待ってないインドを忘れて、豊かで希望に満ちてるオーストラリアで躊躇なく生きることでしょうなのでグーグルで故郷探しもしませんサルーのように、自分だけが裕福に暮らしていることへの罪悪感は、おそらく感じないでしょう

 この映画を観て、私は中国残留孤児のことを思い出しました。ネットがある現代社会に生まれたことも、サルーには大きな幸運でした。
 サルー役は、アカデミー賞作品賞を受賞した「スラムドッグ$ミリオネア」が今はもう懐かしいデヴ・パテル。彼はこの映画での好演で、オスカーの助演男優賞にノミネートされました。

 スラムドッグではまだ少年だったパテルくんが、すっかり大人の男に成長!しかも、なかなかの男前になってる!たま~に、カープの野村祐輔に似て見えたのは私だけ?ノムスケを黒く濃ゆく精悍にした感じ?インド顔だけどインド臭がキツくないパテルくん。それは実際には彼がインド系イギリス人だからでしょうか。インドの濃さとイギリスの文化的なところが合わさった雰囲気が、サルー役に適してました。少年時代とは別人のような男くささ、マッチョなカラダがイケてました。ふたつの故郷の間で心が引き裂かれる繊細な演技にも惹きこまれます。どう考えても主演なんだけど、なぜ助演男優賞候補?オスカーってよくそういうこと、ありますよね。大人の事情?

 幼児サルー役の子役、サニー・パワールくんがミラクルな演技!恐ろしい子!めちゃ可愛いけど、日本の子役みたいな白々しさ、気持ち悪い媚がなく、ガキンチョなのに聡明そうで思慮深そうなところが驚異でした。
 サルーの養母スー役を、オーストラリア出身のニコール・キッドマンが好演。いつもの氷の美女なニコキさんではなく、優しいおばさんな彼女が新鮮でした。大物女優にありがちの悪目立ちに陥らず、押しつけがましい独りよがりな熱演ではなくて好感。実際にもニコキさん、大女優なのにいい人っぽいですよね。スーがなぜ養子をもらって愛を注ぐのか、その理由がスピリチュアルすぎて、ちょっと怖かった。神秘体験を語るシーンのニコキさんも薄っすらヤバい人っぽくて、やっぱフツーじゃないニコキさんでした。
 サルーの恋人役は、「キャロル」での好演も記憶に新しいルーニー・マーラ。彼女もニコキさん同様、私!私を見て!な演技ではなく、控えめで静かな力強さが心地よく印象的でした。
 本編終了後に、本物のサルーがスーを伴ってインドの実母を訪ねる実際の映像が。ここが一番グっとくる感動的なシーンかもしれません。
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