日毎の糧

聖書全巻を朝ごとに1章づつ通読し、学び、黙想しそこから与えられた霊想録である。

わたしが人々に抱く熱情と同じ熱情

2017-09-14 | Weblog
  民数記第25章 
  
   11節「…ピネハスは、わたしがイスラエルの人々に抱く熱情と同じ熱情によって彼らに対するわたしの怒りを去らせた。それでわたしは、わたしの熱情をもってイスラエルの人々を絶ち滅ぼすことはしなかった」(新共同訳)

  1節「イスラエルがシティムに滞在していたとき、民はモアブの娘たちに従って背信の行為をし始めた。」小見出し「ベオルにおけるイスラエル」。前章でバラムはバラク王の呪いの要求に応えずイスラエルを祝福したが、本章はイスラエルが神の呪いを受ける背信行為をしている。娘たちとは、自分たちの神々に犠牲を献げ、神殿で飲み食いし戯れる巫女(シャーマン)で、イスラエルの男たちはその誘惑に陥った(2節)。「ペオルのバール」はペオルの頂きに築かれたバアル礼拝の祭壇と思われる(23章28節)。同じ背信行為は出エジプト記32章5~6節にもあった。主はモーセに指示され、主の審判がなされる。それは民の長たち(口語訳「主領たち」)を捕えて処刑して白日の下に晒すことであった(4~5節)。モーセとイスラエル共同体全体は幕屋の入口で嘆いていると、一人のイスラエル人がミディアン人の巫女を兄弟たちの中に連れて来た(6節)。それを見た祭司アロンの孫ピネハスが槍を手に取り、後を追って奥の部屋まで行き、姦淫している二人を突き刺した。これはバアル礼拝に対する神の審判を示すものであった(7~8節)。これによりイスラエルを襲った災害は治まった。
  9節「この災害で死んだ者は二万四千人であった」。この「ペオルの事件」(18節)として神の審判がくだされたのは、二人の殺害の後である。この時ピネハスの槍で殺された人物の名前が14~15節に出ている。男はサルの子ジムリといい、シメオン族のうちの家族の指導者であり、女の名はコズビといい、ミディアン人の部族の父祖の家の長であるツルの娘であった。この時主はモーセにミディアン人を襲い、彼らを撃ちなさいと命じているが(16節)、シメオン族もまたこの神の審判に遭ったに違いない。
  第二回人口調査が第26章でなされるが、シメオン族の人口は第一回と比べて著しく減少していることは、この災害の結果と見ることができる(37,100人減)。
  祭司アロンの孫、エレアザルの子ピネハスが「イスラエルの人々が抱く熱情と同じ熱情により」主の怒りを去らせた行為がここで評価されている(11節)。「熱情」(口語訳「憤激」、新改訳「ねたみ」出エジプト20章5節と同一語根)
  13節「彼と彼に続く子孫は、永遠の祭司職の契約にあずかる。彼がその神に対する熱情を表し、イスラエルの人々のために、罪の贖いをしたからである。』」。ピネハスは「永遠の祭司職」の契約にあずかる人物として評価されている。歴代誌上5章27~41節にレビの子孫―大祭司の系譜の中にピネハスの名が挙げられ、ツァドクの先祖に組み込まれている(30、34節)。祭司ツァドクはダビデ時代に登場する(サムエル記下15章see)。
16節「主はモーセに仰せになった」。それはミディアン人を襲い、彼らを撃ちなさいと言うことであった。これは約束の地カナンに入る前に、神がイスラエル共同体に警鐘を鳴らした出来事である。
キリスト者もまた誘惑に陥らないよういつも目を覚ましていなければならない(マルコ14章38節、第一コリント10章7~8節)。