碧い山・青い海

趣味の山登りとか、技術とネット情報を照合し個人メモに・・

1708- 毎朝使うトースターの故障

2017-08-03 | テクニクス
 6年ほど使っていた、ポッブアップ式トースターが焼き上がってもパンが上がらない。これも、毎日の暑さが原因なのかも知れない。
4年ほど前に「炊飯器は自動化の始まり」と言う記事を書いたが、トースターについては大昔に設計していた経験で 少し詳しいので分解し修理出来るかも・・と。
 開けて見ると、マグネット磁力の熱特性を利用した電子回路で構成され ヒータも構造も正常だが原因は分らずお手上げ。結局、価格も安いので買換えようと次機種の丈夫そうな物を選び 通販手配することにした。国産品のポップアップ・トースターは20年前から生産されてなく、全てアジア製一色になってしまったらしい。家電王国日本も、ここ20年は敗走ばかりで寂しい限りだが。

 家電に関わったのは東芝系に入社した5年間、炊飯器生産で大忙しの企業だったが その2年目位の入社だ。1年ほど現場生産を体験し、翌年に技術部に配転となり 東芝家電品の品質データーの試験担当。
 毎日、朝から晩までご飯炊きしたり 届けられた食パン20斤を 毎日2枚づつ 焼き焦げ具合をデーター記録して出荷承認の試験官に提出すると言う 倉庫の山積みされた製品の 抜き取り検査の補助的な仕事だったが 検査される側とする側の 駆け引きは面白かった。

 炊飯器は「初めチョロチョロ、中パッパ」を目指して90度になると外鍋水の沸騰で底温度が140度になるポイントで電源を遮断すると美味しい炊き上がりになるのだ。この企業は、東芝系だが実は温度制御の要である「サーモスタット」の技術力は高く定評があった。
 その為に熱器具と言う東芝家電品の多くの、開発から生産まで手掛けていたから 家電好況の真ん中にいたが、トースターを自動化する企画が始まり 自動ポップアップ型トースターの設計担当を命ぜられた。その後にはまるで無経験な炊飯器タイムスイッチ開発の設計補助に回され、上司が主設計を長野飯田から時計技術者を呼び 出向依頼したようでお蔭で時計歯車知識を指導頂きながら仕事だった。
 数か月後、開発が完了すると、生産準備から 配線器具に該当するので 通産省用品認定までも担当したが 次から次へと未体験ゾーンで 通勤途中も家にいても本を買って勉強しなければ仕事を進められなかったが誰でも 好きな事なら頑張れるのだ。

 お蔭で興味があった時計技術にも、触れられたり社内の他部門との人脈も出来たり 虎ノ門の通産省の試験官からも 色々勉強させていただいた。
この頃は、労働力と言えば中卒の若者が中心で この企業も若い企業で大卒技術者を管理者にはしたが 余裕はなく専門高校の採用社員を育て自企業の業績に貢献させようと必死だった時期でもあったから 私は幸運だったのかも知れない。
 
 母と百貨店に行き、担当商品が並べられたトースターを見つけ これば「僕が設計・・」と言うと「そうなの」とあまり興味は無い反応、偶にテレビCMに「朝、起きればご飯が炊けてます」とタイムスイッチの炊飯器CMを見て一人で満足していた様な記憶が残っている。
 レトロな ポップアップ・トースタは、いつもこの時代をいつも思い出させられる。

  故障品 2010年製の日本商社が扱う中国産だった




  欧州メーカー品なのだが 良く見ると中国産 ・・・お前もか 世界家電は全部中国産 ?


  昔の担当トースターがオークション写真に(1960) ・・カラーTV放送開始・だっこちゃん流行の年